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【和風ファンタジー】7話 (3)【あらすじ動画あり】

ご閲覧、ありがとうございます!

お忙しい方のための、あらすじ動画↓


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◆忙しい方のためのショート版(1分)

https://youtu.be/AE5HQr2mx94


◆完全版(3分)

https://youtu.be/dJ6__uR1REU

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【あらすじ】


時は大正と昭和の境目、帝都一の歓楽街・浅草。

少年・銀次は、口先ひとつで芸を売る香具師しょうにんとして生きていた。


震災で家族を失い、浅草の裏町〈幻燈町げんとうちょう〉に通いながら、人々が失った「大切なもの」を探し出す——それが彼のもう一つの仕事、「探しモノ屋」だ。


ある日、浅草紅団の頭領・紅子が失踪する。

銀次は、幼なじみで黒団団長の辰政とともに、紅子を探すことに。


銀次は果たして紅子を見つけ出せるのか。

そして、自らが探し続ける「失ったもの」は、どこにあるのか——。



一瞬だけだが、紅子の声がかすかに震えた。


「あの時、私は自分の魂をどこかに落としてしまった。……それ以来、自分が誰で、どこから来たのか、わからなくなった——私はね、空っぽなの」


紅子はただ事実を読み上げるように、淡々と言葉を紡ぐ。

その声には、絶望も、怒りもなかった。ただ、どこまでも深い空虚があった。


紅子は続ける。


「そんな時よ。彷徨っていた私の前に、ある商人が現れた。彼は私の魂を探してくれると言った。どうやら私の魂は、こことは違う世界に流されてしまったらしいから。その代わり、私は彼が欲しいものを手に入れる手伝いをする契約をした。貴方をここへ連れてくるのも、その一つ」


紅子の眉間に、わずかに皺が寄る。


「ごめんなさい。騙すような真似をして。でも仕方なかったの。商人が持ってきてくれる他人の魂の欠片がなければ、私は生きていくことも出来なかったから……」


紅子は、ふっと寂しそうに息をついた。

その時初めて、銀次は紅子の心の影に触れた気がした。


咄嗟に何かを言おうとした。しかし、何も出てこなかった。

彼女の空っぽの哀しみを慰める言葉は、自分にはない。


その時、紅子が友禅の着物の袖をおさえながら、後ろの広場を指差す。


「行って。私に魂を運んでくれている商人が、あそこで待ってる。どうやら彼は貴方にも商談があるらしいの」

「商談? 俺に……?」


銀次は紅子が指さす方を見た。そして絶句する。


空き地だったはずの場所に、雲を突き刺すほど高い、赤い八角形の塔がそびえ立っていた。

挿絵(By みてみん)


「十二階⁈ 何でっ……⁈」

「気づかなかった? ここはもう裏町の中。裏町では、現世で失われたものも存在できるの。ただ、あれは魔法使いが新たに創り出したものだけど」


銀次は、視線を十二階に留めたまま尋ねる。


「魔法使い……」

「えぇ、行けばわかる。貴方には、欲しいものがあるでしょう? それならば、お行きなさい」


紅子の強い口調に押されるように、銀次は一歩踏み出した。



下から見上げる十二階は、ありし日のものより遙かに高く、不気味に見えた。


銀次は入り口で一瞬、足を止めたが、グッと拳を握り直す。


(商人ってことは……俺の探してきたものが手に入るかもしれないっ)


考えるより先に、身体が動いていた。

銀次は入り口の扉に手をかけ、開く。ぎぎぎ、と鉄製の扉が軋みをあげた。


銀次ははやる足をもつれさせながら正面の階段を駆け上がり、頂上を目指した。


一段、一段。

階段を上がる度に、胸の鼓動が強くなる。


期待と、恐れ。焦り。

それらが胸の中で渦を巻いている。


それでも銀次は、ただ足を進めるしかなかった。


商談がしたいという商人のもとへ。



「……はぁ」


頂上に辿りついた銀次を、冷たい風がなぶる。


物見櫓の先には、表町とも裏町ともつかない浅草の町が広がっていた。

六区、浅草公園、瓢箪池に世界堂。


その混沌とした美しさに、銀次は思わず息を呑んだ。



「——やぁ、よく来てくれたね」


柔らかな声が響く。

銀次は驚いて辺りを見渡し、息を飲んだ。


赤い夕陽を背に、欄干に腰掛けている男が一人いた。

わずかに身を傾ければ落ちてしまいそうな場所なのに、彼は涼しい顔で笑っていた。


その顔を見た瞬間、銀次の胸が音を立てた。


「……兄ぃ」

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