表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

8/14

デスゲームってなんですか?

教室は静かだった。

もうすぐHRだというのに、あまりにも静まり返っている。

いつもならば、どこからともなく話し声が聞こえてきてもおかしくないはずなのに……だ。

それだけじゃない。クラスに生徒が半分もいない。

これはまさか、インフルエンザ大流行からの学級閉鎖の流れきた?

だとしたらクッソ熱いな。


すると突然、トントンっと右肩を叩かれた。

無視しても可愛そうだと思ったので、後ろを振り向いてみると、そこにいたのはクラスメイトの女子だった。


「カスカベくん。学校……きたんだね」


マドンナドンナ二世。

マドンナが名字。

名前通り、ちゃんと美少女と呼べる美貌を持ちあわせている。

男女問わず、学校中からモテモテな彼女だが、はっきり言おう。

僕は近寄りたくない。

それもこれも、あの時見てしまったあの一面が全ての元凶なのだ。

考えることすら恐ろしいので割愛するが、とにかく僕にとって、あんまり近づきたくない存在なのだ。

だから、彼女の顔を見た瞬間に一歩後ろに引いてしまった。

しかし、あの時の光景がフラッシュバックした結果、反感を買うのが怖くなり、引いた一歩分、僕は前に出た。


「一歩引いたり進んだり。もしかしてマイトレンドってやつ?」


「なんでもない、なんでもないんです……」


さすがに変に思われてしまった。

しかし、反感を買ったわけではなさそうなので、よしとしよう。


「そうなんだ。ふーん」


本当に買ってないよな……?


「あっ、そういえばさ、今日って何かあったっけ?あまりにも静かで、あまりにも誰もいなくて、不思議に思ってたんだけど……?」


ちょうど良かったので、マドンナに聞いてみることにした。

と同時に、僕は聞いたことを後悔した。

どうして聞いただけで、こんな「え?」みたいな顔されなきゃいけないんだろう。

まるで、今日という日に、何があるかを知らない僕に、疑問をもってるような……。


「へえ、知らないんだ。それで私に聞こうとしたんだ。だけど残念、私からは何も教えられないんだ」


教えられない……やっぱり誕生日なのかな?

もう終わってるんだけど……。


「マドンナさん!」


僕たちの会話に割って入った男が一人。

こいつの名前はモブ杉平太。

普通。以上。


「もし!もし今日生きて帰れたら……この僕と、付き合ってください!」


なにその100%成功する告白。

他に何も思いつかなかったんかコイツ。


「考えておきます」


マドンナのその一言に、クラス中の男子が舞い上がり、先抜けさせるかと俺も自分もと、告白パーティーを始める。


「マドンナさん!僕も今日生きて帰れたら……」


「マドンナさん!俺、マドンナさんのために生きて帰ってみせる!だから……」


「マドンナさん!」etc……。


そんな告白一つ一つに、マドンナは「考えておきます」と返していった。


「まるで、テニスの王◯様の、無我の境地へと至った越前の打球を、マジレスしながら淡々と全て返した幸村みたいだ……」


この例え、絶対に誰にも伝わっていない。

ともあれ、クラスに活気が戻ったといえば戻ったので、良かった…のか?

結局、静かだった理由もクラスの半分しかいない理由もわからなかったし、なんだかなーって。


「よーし!今日のデスゲームを生き残って、マドンナちゃんとデートするぞー!」


ちょっと待て!モブ杉今なんていった!?


その気になるフレーズをサラッと口にしたモブ杉に問いただそうとした次の瞬間。

一発の銃声が、鳴り響いた。

倒れるモブ杉。

次々と鳴る悲鳴。

そんな中、僕はただ呆然と立ち尽くしていた。

何が起こったのか、理解できていなかったのだ。

頭の中で残っている銃声の余韻が、現実であると教えてくれる。

しかし突然過ぎて、僕には現実がよく分からなくなっていた。

えっ……とか、はっ……?とか、そんな簡単な一文字しか出てこない。

言葉が形にならない。


「おいおい。始まってもいないのに、周知させるのはルール違反だぞ〜!まったく、だーれが教えたんだが。だから事前告知ルールは止めようって言ったんだ」


聞き慣れた声が、クラスに一台備えられているテレビから聞こえた。

電波が悪いのか画面は砂嵐だったが、このクラスの人間ならば、知らないはずはない声だった。


「先……生……?」


砂嵐が止むと共に、先生がその姿をあらわす。

その姿は、全身黒ずくめな上に、不気味な仮面をつけていて、まるでデスゲーム主催者のようだった。


「おいおい、もう正体バレかよ。モブ杉のバカ野郎のせいでボイチェンつけ忘れちまったじゃんか。まあいいや、そろそろ始めるぞ」


意味がなくなった仮面を外してすぐに、先生は僕たちに向けてこう言い放った。


「ようこそ、デスゲームへ。君たちの参戦を歓迎しよう」


これ……これ絶対……マインドコントロールのせいじゃねぇかぁああああああああ!


「わくわくしてきたのだ」


わくわくするな妹。







はい。最後ちょっと暗くなりましたが、これ以上暗くならないように頑張ります。

もっとギャグみたいにモブ杉殺れたらよかったんだけどなぁ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ