マインドコントロールは突然に。
「怪物オブジェ?そんな二次元的存在が、リアルに存在するわけないじゃないか」
メガネをくいくいしながら、ドヤ顔で当然かのように話している。
こいつの名前は、プロフェッサー・知識。
いわゆる天才なのだが、それを自覚しているせいか、自身を世界一の超天才と自負するナルシストだ。
通称、プロフェッサー。
「まあそうだよね。変なこと聞いてすまんね」
「別にいいさ。この天ッ才は、知識を求める者を拒んだりはしないのさッ!」
ね。ナルシストでしょ?
あれから一日。街を散歩したりしてみた結果、やはり怪物オブジェは見当たらなかった。
しかしそれだけでは、確証を得たとは言えなかったため、プロフェッサーの知恵を頼ったのだが、やはり怪物オブジェは世界中どこにも確認されていないらしい。
それどころか、怪物オブジェは最初からいなかったことにされていた。
おそらくこれも、マインドコントロールの影響なのだろう。たぶん。
「お兄。これナルシストってやつ?」
んで、たぶんメインがこれ。
ユニバース・コアちゃんが、僕の妹になっていた。
「いやなんでここに!? お前も今日から学校でしょうに……というか不法侵入では!?」
「ほほう……まさか貴様、兄だというのに知らないのか」
「なんの話!?」
「お兄ちゃん法第7条。お兄ちゃんは妹が望むのならば、学校に妹を連れて登校しなければならない。お兄ちゃん10年目なのならば、この辺の法律は学ぶべきだ」
ちなみにこれは、今朝のマインドコントロールが原因だ。
少し、今朝の様子を思い出してみよう。
ーーーーーーー
「嫌だ!私もお兄と学校いく!」
「ダメ!お前も学校あるの!だからお前はそっちに行くの!」
「やだ!法律変える!」
「無理です!変えられません!不可能です!」
「無理じゃないもん!私できるもん!」
「無理でーす!できませーん!できるもんならやってみせてくださーい!」
「わかったやる!」
「へっ!そんなこと言ったってでき……」
そっか!コイツできるやん!忘れてた!
「お兄の学校についていける世界になれー!」
ーーーーーーー
その後のことはよく覚えていない。
ただ、世界が作り変わったような……。
分解……後に再構築みたいな感じだったような……。
それで気づいた時には朝に戻ってて、なんやかんやでこんな感じになって……。
「そんなわけでついてきたのだ。ぶい!」
ついてくんな。
「これを気に、貴様も法律を勉強してみるといい!今なら私が著作した新世界法律全書解説本を譲ってやるぞ!」
「いらん。とかいいつつ、貰っとく」
「ありがとう!これでこの本を貰ってくれたのは君で二人目だ!」
「ちなみに発行部数は?」
「残念ながら五万部程度……自信作だったから50万部以上を期待していたのだが、まさか10分の一とは想像もしてなかった。しかし、君が貰ってくれて僕は嬉しいぞ!」
いや普通に売れとるやん。天才の考えることはわからんな。
まあ、そんなことはどうでもいい。僕は彼の知識は心の底から信頼している。
そんな彼の知識が詰まったこの本があれば、今後マインドコントロールが起こった際にも対応が可能だ。
これで、次から法律が変化しても対応できる。
「カスカベ、プロフェッサー。授業中は静かにしろー」
後ろの席の僕たちに向けられた大きな声。
どうやら、さすがに授業妨害と思われるほどに白熱してしまったようだ。
この時間は大人しくすることにしよう……。
「授業を続けるぞー。エコだなんだSDGSで、環境に配慮しまくった結果、弥生時代レベルにまで文明が退化してしまった。これを新弥生時代という。これ、よく弥生時代の次だと思われがちだから、間違えないようになー」
バイト休んだ。
明日から頑張ることにした。
普通に一日目が一番つらいのだ……。
少し猶予をおくれなのだ……。