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幸せは、夢オチの中に。

「これで、全てのイレギュラーは消滅した……」


あは。クソ。


「君のおかげだ。文字通り、これで君は私の恩人だな」


そうだもんね。僕いなきゃあれ使えないもんね。

でもさ、1時間チャージで全滅は違くない?

攻撃範囲地球全土はおかしくない?

へへ。やっぱクソ。


「はは。どうでもいいや」


「そういうな。それにまだ、君にはやってもらわなければならないことがある」


「はは……え何て?」


「力の大半を使い切ったせいで、もうすぐ私には変化が訪れる。だからその前に、この世界にマインドコントロールを施す」


「まいんどこんとろーるぅ?」


「この世界はもうじき、私という脅威に晒される。だからそれに対抗するために、君には抑止力になってもらう」


「よくしりょくぅ?」


「さらばだ恩人。力が戻った時にまた会おう……。それまで、この世界は……」


ユニバースコアちゃんが、ヒカリになって消えていく……。


「いや待って!?待ってくれ!なんで急にそんな事になってるのさ!?勝手に押しつけて、勝手に満足して、そんな笑顔して消えようとするな!というか世界なんて、ただの高校生に背負えるわけ無いでしょうが!こういうのは絶対、統一政府にでも押し付けといた方が絶対……」


「君に……任せたぞ……」


押し付けられたぁあああああああああ!


こうして、世界の命運をただの高校生に託したユニバースコアちゃんは、安心した表情で消えていった。

それとは対象的に、日常崩壊確定演出によって絶望したカスカベ・マリンフォードは、まるでち◯かわみたいになって立ち尽くしていた。

かわいい。


「あっ……あっ……」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「あっ……あっ……あっ?」


見たことのある天井。沈むふかふか。

正気を取り戻した時、僕はベッドの上にいた。


突然過ぎて、理由がわからなかった。

だが、考えてみれば当たり前で、わかりきったことだった。

ーー全部夢だった。

きっとそういうことだったのだ。


「男性専用車両と女性専用車両に加えて、性自認男性専用車両と性自認女性専用車両が、11月から導入されることに……」


リビングで流れる朝のニュース。

世界中の怪物オブジェが暴れまわったっていうのに、こんなどうでもいいニュースが流れている。

これが夢だったと言える何よりの証拠だ。

夢にしては、やけにリアルだったのも、ただリアルなだけの夢だっただけ。

そういうものだったってだけなのだ。

今になって思えば、全部夢っていうのならいろいろ説明がつく。

ユニバースコアと名乗る謎の女の子も、怪物オブジェが動き出したのも、僕がやけに飲み込みが早かったのも。

夢って結論づけるだけで、全部繋がる。

こうして僕は、いつものように夢を夢だと決めつけるのだった。


「そういえば、明日から学校だけど、宿題はちゃんとやったの?」


そういえば、今日は夏休み最終日だった。

夏休み最終日といえば、僕のような学生が地獄を見る日。

今の今まで楽したツケが、たった1日に集約して帰ってくる……そんな最悪の1日になるはずなのだが、ことしの僕は一味違う。

今年の夏、僕は18度の失敗から得た教訓を元に、毎日コツコツの精神を身に着けた。

それにより、僕に残された課題は、ちょっとした程度にまで減少……夏休みという天国を天国のまま、最期の一日まで余すこと無く堪能することができるのだ!


「母さん。僕だって人間なんだ。失敗から何も学べない人間モドキ共と同じだと思わないでほしいな」


「アナタ、去年の冬休みまでその人間モドキだったの忘れたの?」


「勘違いしてもらっては困るよ母さん。確かに僕は18の失敗を犯した。しかし、それは僕という人間を知り、夏休み&冬休み攻略作戦をより完璧にするために必要な失敗だった……ただそれだけのことなのだよ」


「10度目までに気付けないもんかねぇ」


「10度目時点じゃ、僕はまだ10歳だぞ!?ついでに、僕の大切な残り8回を否定する気か!?」


「アンタの妹はその10歳ですでに、その作戦とやらを完璧に遂行できてるのよ。少しは見習いなさいな」


「すでに課題を済ませている僕にその必要性は皆無だ。変わりに僕のポジティブなところを……え妹?」


妹……妹……?

え、妹?しかも10歳!?

生まれてこの方、兄弟なんて持ったことのない僕に、妹!?

妹ってあの妹だよね。

あの、お兄ちゃーんとか言って、兄をついて回るあの可愛いの具現化みたいな生き物の……妹!?

突然のカミングアウトの衝撃で、一時的な無◯空処状態なんですけどォ!?

あ……あかん!情報が完結しない!!

理解しろ!理解したい!だけどやっぱり、なんでかわからない!


「ごーはん!ごーはん!起きたらすーぐの朝ごはーん!」


なんだこの愉快な声は!?

もしかして妹!?この声の主が!?

僕の知らぬ間に父と母がせっせと作って隠してた僕の妹!?

やめろ!今この状態での対面は、頭の中が絶えられない!

だけど……気になるぅ!!!!


「あら、真理ちゃん。まだ夏休みなのに早起きなんて偉いわねー!」


くる!くるぞ!初めての妹との対面!感動的なようで、全然そうでもない出会いの瞬間!

いったい、どんな子なんだ……!?


「ママのごはんを食べられるなら、早起きなんてよゆーなのだ!」


妹を見たその瞬間、僕の頭の中に溢れ出した……存在しない記憶。

そして、理解した。彼女が何者で、彼女がどういう存在なのか。

そして、気づいた。マインドコントロールの真相を。


ユニバース・コア(おまえ)かぁああああああああ!」


やっぱり夢じゃなかった。

夢じゃなかったということは、やっぱり僕の日常は終わったし、新しい日常が始まった。

妹という名の、取り扱い注意な危険人物との、兄弟生活が……今この瞬間、始まってしまったのだった。



バイト始めさせられました。

せっかく始めたのに、いらん不安要素を与え続けられるので、やっぱり今すぐ辞めたいですが、そんなことしたら、父と母から胸アツ共同作業SMASHが飛んできそうなので、我慢します。

モバイルバッテリー失くしたのがくっそいたいです。

ぴえん。

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