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最強姉妹は異世界でも無双する。シスコン上等、家族仲が良くて何が悪い!  作者: 文字書きA
第二章 湖の国

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外へ行く

橡蝠守(アーティグル)が映し出した森は、どこにあるのか。


「帝国領なのは間違いないと思うわ。それでも、行くのね?」


ウィリが真剣な表情で問いかける。(かな)がウィリの目を見つめて、言った。


「うん。そこに行けば、ルナちゃんの記憶も戻るかもしれないから」


「そう言うと思ったわ。舟を作って、湖を渡りましょ」


「……ウィリちゃんも、来てくれるの?」


「アタシとアートが行かないと、どこだか分からないでしょ」


ウィリは笑って、言いきった。(れん)は詰めていた息を吐いて、ジゼルを見た。ジゼルは、太めの木の枝を銀の糸で縛って、いかだを作っていた。ルナは感情のない瞳で、それを見ている。蓮はその隣で、ジゼルの作業が終わるのを待った。やがて、いかだが完成する。5人はジゼルの後を追って、光の壁を通り抜けた。湖面に、いかだが浮いている。帆が無い、いかだ。けれど、それは5人が乗った瞬間に動き出した。蓮は、ジゼルの方を見た。彼女は片手の指を見せないようにしていたが、蓮は迷わず近づいて、その手を取った。蓮が思ったとおり、その指には真新しい切り傷が付いていた。


「……ジゼルさん。どうして、隠したんですか?」


蓮は、平成を装って聞いた。ジゼルは、蓮の目を見ないようにしながら、口を開いた。


「お見せする必要はないと、判断しました。レン様のお手を(わずら)わせるほどのことではありません」


「前に、言いましたよね。私のためにしてくれたことをそのままにしておくのは、嫌だって。私はジゼルさんのことが好きなんです。ジゼルさんは戦う人だから、きっとこれからも傷つき続ける。騎士でありたいと願うジゼルさんの体には、これからも傷が増えると思います。私は、ジゼルさんが騎士として生きることを否定はしません。でも。ジゼルさんの主は、私です。私が選んだ道が戦うための道だから、ジゼルさんは傷を負うことになるんです。そんなことも分からないほど、私は子供ではありません。私は傷は負わないけど、でも、主だから。その責任だけは、負わなければならないんです」


蓮は喋りながら、傷の手当をした。ジゼルがゆっくりと、蓮の方に視線を向ける。そうして彼女は、心からの笑みを見せた。


「ありがとうございます。……本当に貴女はいつも、騎士としての私を否定せず、主として振る舞ってくださる。貴女は、騎士を持ちたいなどと願ったことは、無いでしょう。私が願うことを、ただ叶えてくださるだけだ。そんな貴女に、私は何をお返しすることができるのか……」


「ジゼルさん。お返しなんて、要りませんよ。だって、私は私の意志で、ジゼルさんの主になることを選んだんですから。主になるのはそういうことだって、私は最初から分かっています。分かった上で、選んだ。だから、これは当然のことなんです」


蓮は笑顔で、そう告げた。ジゼルは無言で、蓮の前に(ひざまず)いた。

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