少女の秘密
お風呂から上がった姉妹に連れられて、5人は奥の広い部屋に移動した、姉妹が協力して、5組の布団を持ってくる。布団を横に並べて、蓮がルナに問いかけた。
「お布団しかないんだけど、ルナちゃんは大丈夫?」
ルナは笑みを浮かべて、頷いた。橡蝠守が床を這って、ルナに近づく。
「アート? どうしたの?」
ウィリが声をかける。橡蝠守はルナを見上げて、小さく鳴いた。ウィリが目を見開く。
「森の、友達……? でも、その子は森人でも獣の子供でもないわ。なのに、どうして?」
橡蝠守がジゼルの方を見てから、再びルナに目を向ける。その後に、短く鳴いた。ウィリがその声を聞いて、翻訳する。
「ジゼルとその子が、同じ……? 何が?」
橡蝠守が円を描くように動く。円の向こう側に、森が見えた。森と、子供。地面に葉っぱが敷いてあって、子供がその上で眠っている。円の外から、誰かが歩いてくる。その人は大人で、男か女かまでは分からなかったけれど、子供を見つけて拾い上げた。森の情景が、薄れていく。それはやがて完全に消えて、元通りの床が見えるだけになった。
「ねえ、ウィリちゃん。さっき見たのって……」
「どこかの森の記憶。私の記憶にもないし、フェルセンの森とも違うからアートの故郷でもない。……だから、多分、本当なんだ。今、アートが見せてくれたのは、その子が持ってる森の記憶。その子はきっと、森で生まれたんだと思う。でも、分かんないことがある。その子の近くには、人も動物も居なかった。その子がどこから来て、拾われるまでどうやって生きていたのか。それが、どうしても分かんない」
ウィリの言葉を聞いたルナが俯く。ジゼルが目を細めた。
「私と同じ、か。ウィリ。橡蝠守が見せられるのは、森の光景だけなのか?」
「そうね。アートは精霊に近い生き物だけど、地に属しているのは間違いないし。他の属性の世界は、見せられないと思う」
ジゼルとウィリの会話を聞いた蓮が、華と顔を見合わせた。森に落ちていた子供がルナで、彼女がジゼルと同じ存在だというのなら。ジゼルも、拾われた子だということになるのだろうか。
「でも。……でも、ジゼルさんには、お父さんが」
「ええ。私は、アルベルティの人間です。物心ついた頃から、ずっと。そのように、扱われてきました。ですが、一度だけ。父から、言われたことがあるのです。私は特別な才能を持っていて、それは生まれた時から分かっていると」
蓮が言いかけたことを察して、ジゼルが口を開いた。
「もし、その言葉に理由があるのだとすれば。私は、別の場所で生まれて、才能を見出されて拾われたのかもしれません。私に、そのような記憶はありませんが」




