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最強姉妹は異世界でも無双する。シスコン上等、家族仲が良くて何が悪い!  作者: 文字書きA
第一章 4人の旅

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明かせない話

「……そうか。お前が言うなら、信じよう」


少しして、男が言った。


「要らぬ話をしたな。忘れてくれ」


目を伏せた男の言葉に頷いて、ジゼルは口を開いた。


「それでは、私はこれで失礼します」


男はジゼルを引き止めなかった。ジゼルは入り口にいた精霊たちにまとわりつかれたまま、部屋から出てきた。その目が、天井近くを浮遊していた橡蝠守(アーティグル)に向く。橡蝠守は視線を感じて、慌てて動いた。目を共有していたウィリには、その視界が見えたけれど。橡蝠守が見ていたものは、ウィリだった。それも仕方ないと、ウィリは微笑んで。感覚の共有を止めた。橡蝠守は真っ直ぐに飛んで、ウィリの着ている服に潜りこむ。隠れるように服の中に入って、姿が見えなくなってしまった友達に。ウィリは想いを込めて、言葉を伝えた。


「ありがとう、アート」


ジゼルの足音が聞こえてくる。その音は、ウィリの前で止まった。


「聞いていたのか」


低い声。ウィリは怒られると思って、身を縮めた。けれど。


「……そうか。仕方ないな」


ジゼルは声を荒げることも、手を上げることもなかった。ウィリは恐る恐る顔を上げて、目を見張った。自分よりも強くて、皆に頼られているはずの人が。諦めたような笑みを貼り付けて、自分の前に立っている。


「ちょっと。なんて顔してんのよ」


一瞬で火がついた。ウィリはジゼルを睨みつける。


「アタシより強いくせに、(あらが)うことを諦めないでよ」


ジゼルは虚をつかれたような顔で、ウィリを見た。ウィリは泣きそうな顔でジゼルに相対していた。ジゼルが目を閉じて、息を吐く。


「ああ、そうだな。……ありがとう」


次に目を開いた時には、彼女はもういつも通りに戻っていた。ウィリは安堵で力が抜けて、その場に座りこむ。橡蝠守が心配そうに、服の中から顔を出す。ジゼルが笑って、右手を差し伸べた。


「立てるか?」


ウィリはその手を見つめていたが、少しして、自分の左手を伸ばした。重なる瞬間に、ウィリが手首を曲げて、その勢いでジゼルの手を弾いた。


「レンさんには良いけど、アタシにはやめて。そういうの」


そうしてウィリは、自分1人の力で立ち上がる。橡蝠守がウィリの肩に止まった。2人は、会話もなく、歩きだす。ウィリが前で、ジゼルが後ろ。間に開いた距離は、決して詰まらない。それでも、これまでよりはずっと、心の距離は近くなった。向かう先には、何も知らない姉妹がいる。きっと今も、深く眠っているだろう。大事だから、大好きだから。いつだって、笑っていてほしい。その気持ちは、同じだった。だから、何も言わなくても、お互いに察していた。今夜のことは、2人だけの秘密だと。

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