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最強姉妹は異世界でも無双する。シスコン上等、家族仲が良くて何が悪い!  作者: 文字書きA
第一章 4人の旅

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発露

「この山から、下りるんですか?」


獣しか通ることができないような山道は、オルヴェントに来る時に通ったのと同じような道だ。(かな)が心配そうにするのも、無理はなかった。あの時、(れん)も華も、ほとんど気力だけで歩き続けていたのだから。


「そうだな。宿の部屋に残してきた荷物を取りに行くことができれば、他の方法もあるが……」


ジゼルの言葉を聞いて、蓮が口を開いた。


「荷物を取ってこられればいいんですね。それなら、私に任せてください」


華は目を丸くして、姉を見た。


「何か、方法があるの?」


「実はそうなの。ほら、華も見たでしょ? 私が、スマホを持ってたの」


「見たけど、でもあれって、ポケットに入って……」


言葉に出してから、気づく。姉が、この世界の服を着ていることに。こちらに来て、ジゼルに会ってから。2人で一緒に、選んだ服だ。前に着ていた物は、荷物の底に入れて、ジゼルに持ってもらっていた。連がスマホを持っているのだから、ここに居る状態で、荷物を取ってくる方法はあるはずだ。


「……ひょっとして、精霊魔法?」


華の言葉に、蓮が頷く。それを見て、ジゼルが目を見開いた。


「お待ちください。マクデブルクでは、精霊は……」


「Sarcinas meas manibus《お返しください。私の物を、私の手に》」


蓮が詠唱した呪文を聞いて、ジゼルの言葉が途切れた。連が差し出した手の上に、円形の穴が開く。穴の奥は暗くて、よく見えない。そこから、宿に置いてきた荷物が落ちてくる。蓮は荷物を受け止めて、ジゼルに差し出した。


「ジゼルさん、これを」


ジゼルは荷物を受け取って、真剣な顔になった。


「レン様。貴女とカナが持っている力は、神の加護ではありません。マクデブルク帝国は、神や精霊を排斥し、人間の力だけでこの世界を治めようとしています。……私のように神の血を継いでいるのならば別ですが、何の準備もなしに、帝国の領内で魔法を使うことなど出来ないのです」


ジゼルの問いに、蓮が頷く。ウィリが口を尖らせた。


「それが何? どんな力を持ってたって、関係ないでしょ。それとも、アンタもこの人たちの力を利用しようとしてるの?」


ジゼルは、ウィリの挑発には反応しなかった。ただ、淡々と言葉を続けた。


「そうではない。お前も森人ならば、知っているだろう。今も残る神の加護は、世界を構成する3つの属性……炎と風、水だけだと。本来であれば、もう1つ。大地の加護も、残っているはずだった。帝国が神殿を壊し、神を殺さなければ」


ウィリが不機嫌な表情になった。


「そうね。本当に、バカな奴らだとは思うわ。大地の恵みを失った世界がどうなるかなんて、子供でも分かるでしょうに」


「そうだな。だが、それよりもずっと、ずっと昔。遥かな過去に失われたものがある。それが、世界の加護だ」


「なにそれ。アタシはそんなの、聞いたことないわよ。お貴族様の間じゃあ、そんな話が伝わってるの?」


「まさか。セルフォスの王宮でも、こんな話を真面目にする者など、1人もいない。これは、子供向けのおとぎ話。世界から見捨てられた私たちは、神と精霊の加護だけは、何としても守り通さねばならないのだと。それを教えるために、人の手で作られた話だ。……それでも、真実は含まれていたようだが」


そう言って、ジゼルは姉妹に目を向けた。

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