第53話 戦後
第53話 戦後
一行は反Graveコミュニティへ到着した。
一人が宗也たちに気付き、皆の元へ走って
行った。しばらくして皆が集まってきた。
「おーい!!」「帰ってきたのか!」
「帰ってきたぞー!」「やったー!」
ただちに一行の周りには人が集まる。
「ひどい怪我!すぐにでも治療しないと!」
慌てて一行を治療施設へ促す。
「な、なんだこれは?」
とんでもない傷に驚く医師たち。
「ひどい怪我だ。」
数日後。
「おい、これはなんだ?」
荷車に乗ったモノを見て驚く基地のみんな。
「こいつは俺のクソ親父だ。」
まだ傷が治り切っていない宗也が答える。
「???」
情報がまだない基地の皆に事の顛末を話す。
「!!!」
皆は衝撃の事実に翻弄されている。
「つまり、ここに縛られてるのがあの
ゾルディックなんですね?」
「ああ。こいつについては俺がなんとかする。」
宗也はゾルディックを連れて歩く。
「そ、宗也!どこに行くんだよ!」
鷹斗が聞く。
「せっかくの親子水入らずなんだ。あとは
頼むね。」
宗也はスタスタを歩いていく。
「分かった。」
鷹斗は向き直り、上藤と共に基地の皆と
話す。
宗也は家に帰り、ゾルディックを椅子に
座らせて植物牢獄で縛る。
「おい、クソ親父!起きろ!」
ゾルディックを叩き起こす宗也
「ん?………な、なんだここは!くっ!
離せ!すぐにこの植物を外せ!」
ゾルディックはゆっくりと状況を把握し、
すぐに暴れる。
「落ち着けよ。ここは俺の家だ。
話をしようか。」
ゾルディックの前に椅子を置き、そこに座り
落ち着いて話す宗也。
「ちっ!なんだバカ息子。話す事なんて
ねぇよ。」
少し落ち着きを取り戻したゾルディック。
「まあ、どうせ暇なんだから話くらい
なんでもあるさ。」
宗也はくつろぎながら話す。
「それで?何を話すんだ?」
もう抵抗が無駄だと気付き、冷静になる。
それと、息子の家を壊すのは気が引けるため、
ソウルスキルで無理やり抜け出すのはやめた。
「そうだな、俺の母親について何か知ってる
事を教えてくれ。」
顎に手を置き、ゾルディックの目をまっすぐ
見る宗也。
「ああ。お前の母親、つまり俺の妻は残念
ながら地球に来る前に死んだ。」
ゾルディックは言葉を選ぶようにゆっくりと
話す。
「そう…だったのか。何故だ?」
ショックを受けつつもまっすぐ見る宗也。
「火星で、俺たちGraveに反感をもつやつらに
殺された。俺は火星を支配していたが、
それでもデモは起こるし、末端の構成員は
時々殺されていた。だから警戒はしていたが
俺の見てない間に……。」
ゾルディックはゆっくりと話すも言葉に
つまる。
「そうか。俺に兄弟はいるのか?従兄弟とか。」
宗也は更に聞く。
「いいや、いない。お前が産まれる前は
忙しくて子供はお前だけ。妹や弟を…と
考えた頃にはアンナは殺された。」
ゾルディックは少し涙を目に浮かべ、思い出す
ように話す。
「そうだったのか。」
宗也はゆっくり頷く。
「他に何か聞くか?この話はもうしたくない。」
ゾルディックはまっすぐ宗也を見る。
「そうだな、今後Graveはどうなる?」
宗也はガラッと話を帰る。
「ん?それはお前が俺を倒したんだから、お前
次第だろ?」
ゾルディックは悪い顔をする。
「そうなのか?なら、俺が乗っ取ってもいい
のか?」
宗也も悪い顔をする。
「勿論だ、まだ末端の構成員は俺が倒された
事を知らないはずだ。どうにか集めて
発表したらいい。そのあと、お前のしたい
ようにGraveをいじれ。」
ゾルディックは割ときちんと説明した。
「どうにかって、具体的にはどうやるんだ?
通信方法とかあるのか?」
宗也は色々と頭をぐるぐる回す。
「ああ、通信役がいる。ソウルスキルですぐに
でも構成員と話せる。王宮内に居たはずだが。
まあ、その内状況を見てあっちから連絡が
来るかもな。」
ゾルディックが説明する。
「そうか、まだ親父の力が必要なようだ。
植物を退かすが、抵抗するなよ?
めんどくさいから。」
宗也はゆっくり植物を退かす。
「勿論、今更抵抗しないさ。もう
ソウルヴィジョンを出せない以上、お前に
勝てない。ナチュラルにソウルヴィジョンを
出せるお前には恐れ入ったよ。お前が
円滑にGraveのトップになれるように
協力してやる。」
縛りの取れた手を確かめつつ、優しく笑う。
「おう。早速始めようか。まずはその通信役を
探すところからだな。」
宗也も何故か手を確かめ、不敵に笑う。
「まだ治り切ってないんだろ?まずは治療が
先だ。」
ゾルディックはくつろぎ始めた。
「分かったよ。とりあえず今日はおやすみ。」
宗也は立ち上がり、自室へ向かう。
第53話 完




