第39話 自傷
第39話 自傷
「第2試合の会場はこの先にありまぁす!」
マリアーヌが進行する。
「行くぞ。」
上藤が一行を鼓舞する。
第2試合の会場へ着く。
「似たような場所だな。」
宗也が言う。
「皆さん揃ったところで、
第2試合のカードを発表します!
第2試合!ウェント・ポンラーズ様VS
東海林玲衣奈様!さあ、お二方は壇上へ!」
マリアーヌがそう言うと、二人は
コロシアムの上へ誘導される。
「玲衣奈!負けるな!」
宗也が声を掛ける。
玲衣奈は笑顔を見せる。
「バリア発動!」
マリアーヌの声と同時にバリアが
展開される。
「ウェントか、これもまた厄介だな。」
上藤が呟く。
[Grave幹部、ウェント・ポンラーズ。
幹部に入ったのはかなり最近で、
約5ヶ月前。昔は上藤の席をずっと
狙っていたが上藤に一切勝てなかった。
上藤が抜けてからはしばらく幹部を
諦めていた。しかし、逆鷹が幹部から
降ろされた事でその後釜につかされた。
ソウルスキルは
武器無限生成。
ありとあらゆる武器を生成し放題のスキル。
当然の如く、生成した武器は全て
使いこなす。GraveランクはB。]
「第2試合開始!」
マリアーヌの声で最初に動いたのは玲衣奈
だった。
「先手必勝!」
玲衣奈はウェントに向かって走る。
パァン!
「んんんん!」
玲衣奈のパンチを片手で止めるウェント。
「遅いよ。玲衣奈ちゃん?」
ウェントは玲衣奈を煽る。
「離せ!」
放った拳がウェントに掴まれたまま
離せない。
「玲衣奈?」
玲衣奈の豹変ぶりに驚く宗也。普段は怒りの
ままに拳を振るうことがない優しい子なのに
と、思っている。
バキッ!
「っ……!」
玲衣奈は自分の手の骨を折り、ウェントから
離し、距離を取る。
「なにっ!」
ウェントも驚きを隠せない。
「ソウルスキル解放、ゲールズ!」
スキルにより骨折を治した。
「なるほど、治療能力使いは玲衣奈ちゃん
だったのか。それにしても狂ってるね。
治療能力ありきで自ら骨折させるなんて。」
ウェントは少しニヤつく。
「痛みなんてどうでもいい。アンタを
倒せればね。」
玲衣奈は凄む。
「怖いね。なら、こっちもソウルスキル
解放するね。ソウルスキル解放!
武器無限生成!」
ウェントの手に剣が現れる。
「剣を無詠唱で?いつの間にそんなことを?
そのおかげで幹部になれたのか?」
上藤は少し困惑している。
「何か変ですか?」
宗也が聞く。
「ああ、奴は出したい武器の名を言ってから
出していたんだ。しかし、今何も言わずに
剣を出した。つまり、何を出すか
わからないって事だ。」
上藤は少し熱を帯びている。
「な、なるほど。」
宗也は少し圧倒された。
「武器生成のスキルか。関係ないわ!
はぁぁぁぁぁ!」
玲衣奈はウェントに向かって走る。
「女の子を斬るのは趣味じゃなんだけど、
仕方ないね。」
ウェントは剣を構える。
「ぐっ!」
「玲衣奈!」
玲衣奈の拳はウェントの顔面を捉えたが、
ウェントの剣は玲衣奈を袈裟斬りしていた。
「ゲールズ!うぉぉぉ!」
玲衣奈はすぐに治療し、畳み掛ける。
「んなっ!」
ウェントも応戦する。
「ぐっ!…ゲールズ!……ぐっ!…ゲールズ!」
攻撃と治療を繰り返し、ウェントを殴る。
「無茶だ!やめろ!玲衣奈!」
とんでもない光景に焦る宗也たち。
ウェントは剣を捨て、短剣を生成。
その他、状況に合わせコロコロ武器を生成
する。
「ゲールズ!おらぁ!」
玲衣奈は自らを大きく捻り、骨折しながら
回し蹴りをする。
「ぐっ!」
ズザザザザ!
玲衣奈の回し蹴りにより後ろへ飛ばされる。
「……ゲールズ!……はぁはぁ…はぁ。」
玲衣奈は骨折を治し、肩で息をする。
「ゲールズを使ってるとはいえ、怪我する
時には痛みが走るはず。あれじゃ心が
持たないはず。」
上藤が解説する。
「じゃあ、どうしたら。」
宗也が困り果てる。
「このバリアは壊せない。だから、
俺たちには何もできない。」
上藤は宗也を宥める。
「恐ろしい女の子だねぇ、キミ。」
息を整えて話すウェント。
「私はずっと考えてたんだよ。もし戦うなら
どうするかって。」
何かを語る玲衣奈。
「それがこれか。」
ウェントが答える。
「そうよ。このスキルは戦闘向きじゃない、
だけど私にはこれしかない。でもみんなは
戦って私だけ戦わないなんて無理なんだよ。」
玲衣奈は涙を浮かべながら話す。
「ますます恐ろしい女の子だね。」
ウェントは少し焦ってるようだ。
「狂気に満ちた人間ほど恐ろしいものは
ないよ。」
ウェントは説明しながら落ち着きを
取り戻す。
「どうでもいいわ、そんな事。」
また、玲衣奈は走り出す。
「本気で相手しないとこっちが死んで
しまいそうだ!」
ウェントはメリケンサックを生成する。
「おらぁ!」
「はぁぁぁぁ!」
ドンドンドンドン!バキバキバキバキ!
二人はとてつもない殴り合いを始めた。
ドンドンドンドン!バキバキバキバキ!
「玲衣奈!治療してくれ!死んでしまう!」
殴り合いが始まってから一度も治療
していない。そのことに気づき焦る宗也。
「おらぁ!」
玲衣奈が殴りと蹴りを同時に出し、
ウェントを後ろへ飛ばす。
ズザザザザ!
「ゲールズ!……はぁはぁはぁ。」
治療したものの、息は上がっている玲衣奈。
「そろそろ終わらせないとだな。」
ウェントは数個の武器を空中で生成する。
「そんなのアリぃ?」
玲衣奈は驚く。
「生成できる武器は一つとは言ってない。
ましてや、手持ちのみとも言ってない。」
ウェントは少し余裕を見せる。
「後だしなんて……。」
玲衣奈が悔しがる。
「行くぞ!」
ウェントが構える。
第39話 完




