第20話 兎
第20話 兎
ウサギを追いかけてしばらく走っている。
迷路に行手を阻まれ時間は掛かったが、
やっとウサギに追いついた。
「なっ!ここまで来るとは、なかなか
しぶといぴょん。」
2人に気付き焦るウサギ。
「もう逃げられねぇぞ。観念しろ!」
宗也が構える。
ウサギは走り出し先の角を曲がる。
「なっ!まだ逃げるのか!」
2人は追いかける。
ウサギが向かった角を曲がると、
そこには樽坂がいた。
「うちの子を追いかけ回したのは
あなた達ね。」
樽坂はウサギを抱えて撫でている。
宗也と玲衣奈は少し驚いたが、
これはこれで都合が良いと思い構える。
「あなたがこの空間のソウルスキル
保持者だな。」
分かりきってはいたが確認する。
「ええ、そうよ。」
「なら、倒させて貰う!」
その場は一気にピリつく。
「うさ実ちゃん!行くよ!」
樽坂はうさ実ちゃんと呼んだ例のウサギに
カプセルのようなものを投げ、食わせる。
カリッ!
「あいよ!」
ウサギはカプセルを食べた。すると
唸り声をあげながらウサギの身体が大きく
おどろおどろしくなっていった。
「ヴォォォォォォォォ!」
先程までの可愛らしいウサギから一変、
巨大な化物になった。
「なっ!なんなんだこいつ!」
2人は驚きのあまり思わず後ずさりする。
「さあ、うさ実ちゃん!
やっちゃいなさい!」
ウサギだったそれは2人に向かって
走ってくる。
「ブォォォォォォォ!」
「ソウルスキル解放!
グラスマン!植物牢獄!」
極太の多数の根っこが化物を縛る!
「ヴォォォォォォォォ!」
化物は暴れる。
バキバキバキバキバキバキバキバキ!
化物は植物牢獄をその
パワーで壊した。
「なっ!植物牢獄を
破った……!?」
宗也は焦る。
「植物操作!
鉄格子!」
植物が鉄格子に似た物へと変化し、
化物を囲った!
「ヴォォォォォォォォ!」
少しは抵抗出来たものの、化物に容易く
壊された。
「ブォォォォォォォ!」
化物は宗也を掴み、ぶん投げる!
ドォォォォン!!
「宗也ぁぁ!!」
玲衣奈が叫ぶ!
第20話 完




