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めんどくせぇ

 翌日、俺は学校へ向かう道中色々と考えていた。


 モナカちゃんはモモちゃんで宇賀神は1人っ子。

ウカノカミさんは地味な恰好をしてはいたが、よく見れば2人はよく似ている……。

俺は鈍感系主人公じゃない。それだけの状況証拠からはじき出せる答えは立った1つ。


 宇賀神はウカノカミさんである。


 つまるところ、2人は同一人物だってことだ。でも宇賀神はDQNと仲良さそうなのに、ウカノカミさんは陰キャっぽい……っていうか人間関係で悩んでるっぽかったし違和感があるんだよなぁ……。

その違和感の正体が無理してるってことなのか……? 確かに宇賀神も東城も悪い奴ではない気がするし。

宇賀神だけじゃなく東城にも探りを入れていった方がいいかもな……。 

 

 そんなことを考えているといつの間にか学校に着いていた。

いつも通り遅刻ギリギリで教室に入ると宇賀神と東城が控えめに挨拶をしてきた。


「おはよっ!」


「おはよう……」


 東城は朝からテンション高く、宇賀神はまだ眠気が覚めないようで控えめに言ってきた。


「ああ……」


 俺は2人のことを考えていたことや、朝の低いテンションのためか挨拶を返すわけでもなく生返事をした。

ホームルームが終わりクラス中でだりーという声や、ねみーという声が聞こえ始めたときだった。

東城が俺の席のところにやってきてこの前のメッセージのやりとりについて茶化してきた。


「私達の写真かわいかったでしょ?」


 からかってくる東城に俺は顔を熱くしながら答えた。


「ハァ!? いきなり何言ってんだ!?」


「写真が欲しいだなんて積極的だねぇ~」


「お前らがあんな写真とってるからわりぃんだろ!

おっ俺はあんな写真欲しくなかったんだ! 仕方なくだ!仕方なく!」


「だから犬の写真がかわいかったでしょって聞いてるじゃん?

あれ~顔赤くなってるけどどうしたのかな~。ねぇねぇ~。」


 顔を近づけ、挑発するようにいってきた。その姿に俺の顔はさらに熱くなった。


 この野郎、わざとわかりにくく聞いてきやがったなと恥ずかしい反応をしてしまったことを後悔しているとDQNも俺の席の近くにやってきていきなり絡んできた。俺はこんな朝一番からめんどくさいことが起こったなと気分が落ち込んだ。


「なぁ俺も混ぜてくれよ。

歩も真琴も最近コイツに絡みすぎじゃね? どうしたの? きょどる姿でも見て楽しんでんの?」


「違うって。友達になったから話してるだけだよ。はい!いったいった~」


 東城が前と同じようにあしらおうとしたが今回はどうしても俺に突っかかってくるようだった。


「じゃあ俺も友達になるわ。はい友達ー。」


 DQNは勝手に俺と肩を組みながら言った。


「ちょっとちょっと。マジでウザいから」


 東城は初めて見るテンションの低さとまじめなトーンでDQNに言ったが引き下がる気はないようだった。


「友達になったんだからいいだろ? 真琴と歩だけで遊ぶなよ。俺らも構ってやるからな!」


 あくまでも俺を下に見る話し方にイラついて、適当に流すことを忘れつい反応してしまった。


「お前らは宇賀神と東城がほんとに好きなんだな」


「ハァ?」


「構って欲しいからって人の交友関係に口を出すなんてガキのやることだぞ。マジでくだらない」


 DQNも下に見ている俺からの思ってもみなかった反応に突然激高した様子で返してきた。


「てめぇ喧嘩うってんのか。真琴と歩にちょっと話しかけられたからって調子のってんのマジキモイよ?

遊ばれてるだけって気づけ」


 俺の胸を押しながら大きい声で言う姿にクラス中の視線が集まりガヤガヤし始めた。

俺は喧嘩なんて柄じゃない。そんな気は毛頭なかったがDQNは一触即発の空気を漂わせた。

ぼっちとDQNが一悶着起こす姿にまくし立てる声や喧嘩を望む声が明確に部屋中から聞こえ始めた。

ほとんどがDQNを応援する声援でぼっちの俺は当然引き立て役のようにしか思われていなかった。 


「2人とも落ち着いて落ち着いて」


 東城は間に入りいきなり雰囲気の悪くなったこの場をどう収拾したものかと思案していた。

DQNは俺の方を睨み、敵意をぶつけてきた。そんな中、宇賀神は遠くの方でおどおどするばかりで間に入ろうとしたり何か声を上げようとする気配はなかった。


 俺はその様子にウカノカミさんの悩みを思い出し、急に熱が下がるように冷めてしまった。


「はー。もういいわ。好きにしていいよ。宇賀神も東城ももう俺にかまわないってことでいいんじゃね?」


 俺はそういってその場を後にした。どこに行くわけでもないがとにかく教室を出て適当に歩いた。

後ろの方でDQNがなにか俺を罵倒するような、バカにするようなことを言っていたが詳しくはわからなかったし追いかけてくる様子もなかった。大方東城がなだめているのだろう。


 歩いてしばらくすると後ろからぱたぱたという足音が聞こえてきた。


「雨宮っ!ちょっと待って!待ってってば!」


 小走りで息を切らしながら俺の腕を取るようにして宇賀神が声をかけてきた。


「なんか用? 俺もああいっちゃったしもう関わらない方が良いと思うけど。めんどくさいし……。」


「ごめんね……。私達が絡みすぎたせいであんなことになっちゃって……。でももう学校では迷惑にならないようにするから……友達でいよ?ワンちゃん同士も仲良くなったことだし……」


 俺はウカノカミさんと宇賀神のことを探り、疑問を丁寧に解き明かしていこうと思った。でも今日みたいなことがあってもたまらない。なによりめんどくさいと思ってしまった。陰キャの俺にはそんな遠回りで気を使ったやり方はできないんだ。


「あのさぁ……。どうしたいの? あいつらとこれからも付き合っていきたいのか。縁切りたいのかハッキリした方がお互いのためだよ。無理して付き合っても良いことないと俺は思うけど……。っていうかそう言ったよね? 悩んでるんでしょ?」


 俺は核心に触れることを決意した。


「え……? いきなりどうしたの? 別に悩んでなんか――」


「宇賀神ってウカノカミさんでしょ?」


 俺のそのセリフに宇賀神は驚きで口をあんぐりさせていた。

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