1章「予感」
太陽と月それは、常に対照となる存在。
月が太陽を飲み込む時もあれば、太陽の大きな存在が
全てを包み込むこともある。
これは王家に認められた2人の兄弟の物語である
「太陽の欲望に選ばれし者゛マーティ・フレイ゛…」
「ハッ!」
「月の切札に選ばれし者゛マーティ・マーニ゛…」
「ハッ…!」
「本日より貴方達をこの国の名誉ある゛戦士゛に任命すると共に、魔剣を授けます」
「マーティ・フレイには゛バルムンク゛を…」
「マーティ・マーニには゛グラム゛を授ける」
「貴方達はこの力を国の為、民の為に使わなければいけません」
「「ハッ!!」」
「ではいきなさい!おのれの力を信じ!皆の為に戦うのです!」
「やっと終わったか…」
戦士に選ばれるのは嬉しいが、儀式が長くて気が持たん。
「おい、」
「なんだフレイ」
「お前とは兄弟として今日まで共に鍛え、共に暮らし
てきたが、金輪際俺に関わってくるなよ」
チッ、本当にムカつくなこいつ…。弟の癖に偉そうに…。この国では年下に敬意を払わないといけない、未来を切り開く力を持ってるからだとよ。
お前みたいな弟とは関わりたくない。
「あぁこちらこそ、ぜひともそうしたいね」
「じゃあな!二度と会うことはないだろうけどな!」
「はいはい…」
強がってるけど、どうせまたでかい態度で助けを求めてくるに決まってる。
いつでもそうだ。こいつのお決まりのパターン
でも剣術や戦闘に関してはあいつの方が上ってのがまたムカつく。素質はあるのに全然それを活かしきれていない。
「さぁ…そろそろ街の外の見回りか…面倒なスピリッツがいないといいが…」
一応説明しておこう。スピリッツとはこの世界のあちこちで現れる怪物…いや悪魔のような生物だ。
スピリッツには大きく分けて3つの種類がある。
スピリッツの中でも1番弱いと言える
プレーン・スピリッツ
フレイは子供の頃こいつに襲われて。漏らした。
次にスピリッツの中では中級程の魔力をもってるだろうか…
ハントスピリッツ
こいつに出会すと通常の剣士や魔術師なら中々に手こずる。ちなみに剣術も魔力も持っている俺たち戦士にかかればそこまで脅威ではない。
次に3種類の中ではもっとも厄介なのが
オーガスピリッツ
こいつは「火」「水」「闇」「光」のいずれかの属性を持っている。しかも1度暴れ出すと抑制するのにかなり手こずる。
それこそ゛戦士゛でも少し時間がかかってしまう
どいつも凶暴で人を見つけると襲い掛かるし、人が多くいる場所に引き寄せられる。
そのために俺たち戦士。その他諸々の奴らが存在している。
「さぁどんなやつがいますかなっ…と」
街を少し出てあたりを見回す。
「はぁ…プレーンしかいねぇじゃん…」
戦士としての役目1日目はかなり暇かな…
そう思った時
「ぐぉがぁあぁぁあぁぁぁ!!!!!」
「…ッ!?」
なんだ今の叫び声は丘をの向こうから聞こえた…
村にスピリッツが現れたか…
とにかく行かないと。村には剣士すらもろくにいない!俺が行かないと村人がスピリッツに殺されるかもしれない…!叫び声からして恐らくハント以上…
「急がないと…!」
しかし戦士になってからの初戦闘か…少し緊張するな…。まだ誰も死んでねぇといいけど…。
「少し移動に時間がかかったな…スピリッツはどこだっ…」
「なッ……!?」
な、なんだこいつ!?でかすぎる…。オーガの中でもこいつはかなり強いな…。
なんてこった。これじゃあ村人が既にやられてる可能性も…
「くそッ!」
今はこいつを殺すことに集中しよう。まずは属性を見分けないと。
こいつは…闇か?しかし、闇にしても闇が深すぎる気がする…
ここは授かった魔剣を使うか…!
「ハァァァァァァアアっ!!!!!」
゛月の涙゛
よしっ!手応えはあったぞ…
「何…?」
「シャギイィイィィイィィィ!!!!!」
こいつっ!やはり強い!オーガなんてもんじゃない!
こいつは。こいつはっ…スコールドスピリッツ…!
やばいぞ。本気を出さないと村どころか街まで被害が及ぶ!
「デリャァァッ!」
゛月の激昂゛
「ふぅ…」
おかしいな。こんな村の近辺に大型のスピリッツが現れるなんて。今までになかった…
何かが引っかかる…。少し調査をする必要がありそうだな。