マスカレイド鶴
-----影に舞う。
夜の闇の中、それは一羽の鶴となった。
「我は鶴………マスカレイド、鶴!」
---ここはサイヴァネティク日本、
"光"の裁定者として悪を討つ!---
「おい、私の依頼人はまだか!」
---鶴のマスクを被る"彼"
彼こそは闇に紛れて悪を討つ、マスカレイド鶴
「ヘヘッ、今来ます………あっ、お見えになりました!」
それに答える若者、"ファイルアート"松永!
「………お前がマスカレイド鶴か。」
「依頼を言え、私は正義のヒーローだ。」
「マクベス首相を殺せ、証拠ならある。」
…!首相の暗殺依頼。
首相の立場を利用して、クローン技術を応用し、国務大臣、その全てを自分自身の記憶を移植し作ったクローンで埋めたという。
まさに汚職の権化!
「こうしちゃいられません!行きましょう、鶴さん!」
「ああ、放ってはオカンな!」
「それを言うならおけんです!」
彼らが勢い勇んで"準備"をする中、笑う者が一人。
依頼人、その名を"デスマスク"岡田という!
(お前らには手伝ってもらうぞォ。"我々のための会議室"をこの日本に作成するためになぁ!)
------時は来た。
ここに悪行の清算を!------
夜中、マスカレイド鶴、ここに滑空!
月とネオンの光に照らされ、
その様はミラーボール
「見つけたぞッ!マスカレイド鶴だ!ここで射殺しろォーーーッ!!」
弾幕の壁がマスカレイド鶴に迫る!
新未来技術により圧倒的な密度で発射されるその弾丸は、マスカレイド鶴の身体を蜂の巣にした!
「キャーッ、マスカレイド鶴さまぁ〜〜ッ!!」
………不思議と、その身体から血は出ていないように見える。さらに………ここに近づいてきている!?
「なんだッ、アイツはァッ、全身を蜂の巣にぃ〜!全身を蜂の巣にしたんだぞォー!!」
「隊長ッ!?そればかりではありません!増えています!」
「そんなことぉ………あり得るくぁ〜〜!!」
---空に浮かぶ無数の白銀の姿、
その全て、紛れもなくマスカレイド鶴!---
「ふ…ふ…ふ…、増えているだとォォーーッ!!!」
「撃て撃て撃てーーッ!!!」
「嫌だァ〜〜〜死にたくねェヨォ〜〜!」
「マンマァ〜〜〜!!」
------混乱する兵
その全て、新兵!!------
「オイ、ホログラムじゃねぇんだろぉなぁ!」
ここにアイデアマン現る!
「はい!ホログラムです!」
「ナンだァッてェーーーッ!!!!」
戦場、さらに混乱!
---混乱静まりし時、
もう既に時間切れ!---
【マスカレイド鶴、侵入!マスカレイド鶴、侵入!】
「クソッ、外の奴らはなぁにをしていたんだァァ!」
------"ファイルアート"松永!
趣味、ハッキング!------
「ヘヘッ、うまく誤報に引っかかってくれた!」
「お陰でェ………!」
「オイッ!何してる!」
「なっ、見つかった!?」
「キサマ…!銃殺してやる!」
兵士の持つ光線銃が発光し、熱線が放たれる!!
「ヒュ〜。あぶねーあぶねー。」
「しぶとい奴…!そこっ!!」
"ファイルアート"松永は四方八方へと飛び回り、撹乱!
-----ついに追い詰められる松永
万事休すか!!-----
「チッ………ここで…終わりか………!」
「ハァ…ハァ…!遂に…追い詰めたぞ…!」
トドメの光線銃が光る!!
「追い詰められたのは…お前…だがな!」
熱線により壊される壁、連鎖し、天井が落ちる!
「クゥッ!?目くらましか!?」
「もっと………大きいもんだよ!ポンクラァ!」
---"ファイルアート"が望むのは建物の崩落
---熱線が施設を焼くほどに発達した科学力が裏目に出た!
「ぐわああああああああああ!!!!!!!!!」
「嫌だ…!嫌だよ母ちゃあぁぁ〜〜ん!!!」
「し…死にたくねぇ…死にたく………!!」
---建物の崩落と共に断末魔!
それと同時に崩れ落ちる"ファイルアート"---
「ハァ………ハァ………!ま、任せまし、たよ…マスカレイド………鶴…!!!」
-----…時を同じくして現れる"本物"!
彼こそはマスカレイド、鶴!-----
----------影に舞う。
夜の闇の中、それは一羽の鶴となった。
「我は鶴………マスカレイド、鶴!」
---ここはサイヴァネティク日本、
"光"の裁定者として悪を討つ!---
------施設内!
白き彼と対峙するは、"黒"!!!---
「おまえが…………!」
「あぁ……私が………!」
---------"マクベス"!!!-------
"鶴"に相対するは"烏"!!!
"光の裁定者"と"闇の破壊者"!!!
------今ここに勝負!!!!
「ゼハぁっ!!」
「くらぁッ!!」
------足刀と手刀。
拳と掌打!------
両者、互角!!!
(スピードを…………上げる!!)
拳撃は過酷に、時間は更に加速する………!!
両者、まさしく………修羅ッ!!!!
------どれほどの時間が経っただろう
「ハァ………ハァ………!!!」
「ガッぁあ………!ウボァッ!」
烏………痛恨のミス…!
腹………貫通………!!!
---足元に血だまり…!
被害は最早………災害級…!!!---
「がっ……あぼッ………!ハァ…マスカレイドォ………!鶴ぅ………!」
「………………なんだ。」
「"次"はァ………!かぁつ……!!
「………………………!」
------ドサリ、と"マクベス"の体が倒れる。
その身体は、やけに軽かった…---
「………………、夜明けか。」
「ロクに…浴びてこなかったな。」
その光は、おれの体を、あたたかく照らしていた。
------------マスカレイド鶴、完