第5話 第7世界2日目/クエスト/ゴブリン/アニス草/きのこっこ
第7世界に来た2日目。
ホテルで朝食をとった後、ましゅまると共に、冒険者ギルドへと足を運んだ。
「うーん、どれにしようかな?」
現在、クエストの張り出されている掲示板に来ている。
冒険者ランクFのわたし。
証明書として、冒険者になったようなもんだから、本腰を入れて活動する予定はない。
ランクEに上がるまで、冒険者活動を取り組もうと思う。
【クエスト F】
『内容』 グリーンゴブリンの討伐 5体
『報酬』 魔石と引き換えで合計銀貨3枚
『点数』 ランクFの2ポイント
『注意点』 ゴブリンは、繁殖数が多い。女性の人族を攫って孕ませ、ゴブリンを産ませようとする。女性冒険者は注意。
点数にどんなランクのポイントか記載されているのはEランク冒険者がFランクのクエストをこなしても点数が入らないようにするためなどの処置。
低ランクばかり倒して弱いAランク冒険者とかが出ないようにする為の配慮らしい。
ゴブリンの魔石が1つで大銅貨5枚(500円/500J)ほどということになる。
因みに、同じゴブリンでも、固体の強さ(能力値)があるわけで、ランクFの冒険者には、能力値が低いゴブリンを見分ける力もこのクエストで試されるというわけだ。
基本的に、冒険者はパーティーを組むのがギルドからも推奨されている。
生存確率を上げるため。
【クエスト F】
『内容』 アニス草の採取 10本
『報酬』 アニス草との引き換えで合計大銅貨5枚
『点数』 ランクFの1ポイント
薬草は低ランク冒険者が主に採取することが多い。
森の奥地にまで行かない限り比較的安全だからだ。
安全であるがためか分からないが、報酬は、安いことが多い。
案の定今回のアニス草のクエストは、500円相当と低めだ。
一本冒険者ギルドでの買取は、50円というわけだ。
同じFランクのクエストのゴブリンに比べると10分の1だ。
だが、冒険者はパーティーを組んでいることが多い。
そのため、6人パーティーだったら、1人あたまアニス草のクエスト報酬と変わらない大銅貨5枚と言うことになる。
そして、もしも、ゴブリンの討伐で怪我を負ったり武器防具が壊れたというケースではむしろマイナスにもなり得る。
その辺に生えている薬になる草のことを薬草という。
薬草以外は雑草あるいは調味料として使われている。
薬草はそのまま使える場合と、マジックポーションの材料として使用しないと効果を出さないものとがある。
薬草は基本的にそのまま使えても(口にしても)、効果が弱かったり不味かったりすることもある。
効果のあるものほど苦いと言われている。
「あのー、どうかしたの?ユウお姉ちゃん」
昨日知り合った、ミュウちゃんが、いつの間にかひょこっと現れたかのように隣にいた。
「おはようミュウちゃん。クエスト、どれを受けようかなーと思ってね」
「高ランクを受けるのですか?」
「いや、Fランクを受けようかなと思ってるよ?」
「それなら、アニス草がおすすめです。ゴブリンの討伐は常時クエストの為、わざわざ受付に行く必要もありませんので」
昨日も説明してくれた内容を思い出した。
常時クエスト以外は、掲示板から紙を剥がして受付窓口に持ってこなくてはならない。
他の冒険者との重複を避けるためだ。
しかし、常時クエストは、クエストをクリアした後にその証拠を持っていけばクエスト達成となる。
因みに、クエストを受けずに依頼をこなした場合は、最悪報酬が支払われない場合や、他の冒険者の仕事を奪ったことになり罰金などのペナルティーが発生することもあるらしい。
アニス草のクエストの紙を剥ぎ取り、受付窓口へと持っていった。
「アニス草クエストですね。わかりました。気をつけて行ってらっしゃいませ」
スムーズに受注してもらえた。
~森の中~
「ユウお姉ちゃん。運が良いんだね」
わたしの方を見てそう言うミュウ。
タブレットをデビルホールに収納して、腰にぶら下げた初心者セットの1つであるスコップを手に持つ。
タブレットのマップ機能により、アニス草の場所が分かると言うチート。
「そうだねー。びっくりだよねー。近くにミュウちゃんが探しているキノコッコもあるんだから」
食用のキノコの一種、キノコッコ。
コリコリしておいしいらしい。
わたしはキノコ嫌いなので食べません(笑)
因みに、キノコッコとアニス草が近くにあるのは偶然ではなく、マップ画面で確認した。
効率良さが大事だからね。
「グリーンゴブリンがいるみたい」
アニス草を取り終えたわたしは、再びタブレットを手に持つ。
赤色のマークがこちらに向かって近づいてきている。
害意や悪意のある生物は赤色で表示されるみたい。
赤色マークをタッチするとグリーンゴブリンとモンスター個体名が表示された。
この付近にゴブリンが出ることは、冒険者ギルドで確認済み。
ミュウちゃんもたまに見ると言っていた。
いやいや、あぶないんじゃない?と思って聞いてみると、グリーンゴブリンは肥満体系で動きが遅いため、ミュウちゃんのスピードで逃げ切ることができるらしい。
囲まれたらアウトに感じるのはわたしだけかな?
「どうするの?」
「倒す。ましゅまるは、ミュウちゃんの護衛ね」
グリーンゴブリンの向かってくる方向に立ち、ミュウちゃんとましゅまるを後ろに下げる。
「わかったー」
「こぉーん」
返事を聞き、きつね矢、きつね火、きつね石を顕現させ戦闘準備する。
右手には念のために初心者セットとしてもらった木の槍。
槍を選んだ理由は、剣よりもリーチが長いからだ。
洞窟とかだと、リーチが長い武器は振り回せないから不利になるらしいけど、ココでは関係ない。