第4話 冒険者カード/ココンちゃんの配達
練習場のある地下から受付窓口まで戻ってきた。
冒険者ギルドカードの作成を進めてもらう。
「名前、年齢、性別、職種、パーティ希望の有無、得意なことを教えてください」
書いてくれるみたい。
文字が書けない人もいるからかな。
文字などの識字率、算数などの算学率が乏しいのは異世界ではお約束みたいな感がある。
「ユウ・フォックス・ヨザクラ。18歳。女、魔法使い、パーティ希望ないです。えっと、得意なことは……」
得意なこと、なんて言えばいいのかな?
わたしが年齢を伝えると驚いた顔をされた。
でも、わたしの胸をみて、驚いた顔は落ち着きを取り戻したみたい。
なんか、栄養が胸に言っているんですねーみたいに思われた気がしてならない。
「調教魔法ですか?それとも収納魔法でしょうか?あるいは、火魔法ですか?」
受付員さんは、ましゅまるを従えているのを調教魔法。
きつね矢を出したのは収納魔法。
きつね火を火魔法だと思っているみたい。
「はい。収納魔法です」
デビルホールが使えるため、収納魔法ということにした。
火魔法って言ってもいいけど、きつね火しか出せないからね。
バリエーションは揃えております笑
「かしこまりました。念のため、技を披露してもらえないでしょうか?最低限で大丈夫ですので」
嘘の申告の防止かな。
パーティ希望の旨は無しって言ったんだけどね。
「あっ、はい。油揚げ」
皿に乗った状態で、油揚げがでてくる。
もちろんデビルホールに入れていたわけではなく、きつねスキルから油揚げをだしたんだけどね。
「すごいですね。皿に乗っています」
「えっ!?すごいんですか?」
「すごいですよ。油揚げ?でしたっけ?それを、皿に乗って出てこいと言っていないにも関わらず、皿に乗って出てきましたから」
一瞬驚いた顔をした受付の人。
「それにしても、調教魔法の他にも魔法が使えるってすごいですね」
「そうなんですか?」
「そうですよ?知らないんですか?属性魔法以外の魔法を覚えている人は他の魔法を覚えられないのが一般的です。魔法の波長が合わないとか聞いたことがあります。その他にも相反する魔法は覚えられないあるいは、どちらも中途半端だとか、火魔法と水魔法がその例にあてはまりますね」
へぇー、そうなんだね。
「では、登録にしばらく時間がかかりますので、席に座ってお待ちください」
待っている間、わたしがガルドに放ったきつね矢を集めて持ってきてくれた女の子と一緒に軽く食事を取った。
もちろん、奢ったよ。いろいろと質問して情報も仕入れることができたし。
ちょうど、小腹が空いていたので、お店で一番小さなステーキを頼んだ。
ステーキを食べるわたし。食べる姿がかわいいとか高校でも、よく餌付けされていた。
女性冒険者たちがわたしの周りを囲んでなんか、女子会みたいになってしまった。
ミュウちゃんは、孤児院の子で10歳。
髪の色は、白色がベースでところどころ薄い紫色の混ざった色、瞳の色は水色。
主に薬草採取をして、孤児院に貢献しているみたい。
ミュウちゃんについては、あまり詳しくは聞かなかった。
踏み込みすぎると悲しませてしまったりといった感じで相手にとって良くないこともあるからね。
ミュウちゃんに教えてもらった冒険者や冒険者ギルドについての内容。
冒険者ギルドカード、通称冒険者カードには、名前と冒険者ランク、年齢、クエスト達成確率、討伐したモンスターの名前などが表示される
表面に、名前と冒険者ランク、年齢、クエスト達成確率が表示される。
裏面に、討伐したモンスターの名前と数が表示される。
冒険者カードは、マジックアイテムの為、自動的に倒したモンスターの名前が登録されていく。
ギルドランクは最下位がF、それから上に、E、D、C、B、A、Sと上がっていく。
Eランク冒険者は、グリーンゴブリンをソロで3匹相手に討伐できる強さ。
Dランク冒険者は、イノオークをソロで討伐でき強さ。
Cランクから、適性試験が行われる為、Dランク冒険者でくすぶるのが多いらしく、冒険者で一番多いのがDランク冒険者みたい。そのため、強いけど、協調性がないため、Dランク冒険者をしている者も少なくないみたい。
ランクを上がるためには、クエスト掲示板のクエストをクリアしてポイントを貯める、あるいは、Dランクまでは各冒険者ギルドの長であるギルドマスターが自己責任でランクアップさせることが可能。
掲示板のクエストには、冒険者ギルドが推奨するランクが記入されているが、それに満たなくても、受付のギルド員が許可を出せばどのランクでも受けることが出来る。
自分が受けたいクエストがあったら、依頼書を掲示板から剥ぎ、受付まで持っていく。
受け取った冒険者カードを見る。
『名前』ユウ・フォックス・ヨザクラ
『ランク』F
『年齢』18
『クエスト達成率』 0%
裏面を見たけど討伐したモンスターがいない為、名前と数が表示されていなかった。
ミュウちゃんとバイバイして、冒険者ギルドを出た。
その後、街を出て、森の中にある川に向かった。
ココンちゃんにもらったタブレット端末のおかげで、川まで迷わずに来れた。
マップ機能さまさまである。
川に来て、分かったこと。
ましゅまるは、泳ぎが得意。
しかも、器用に魚を捕まえてた。
とりあえず、デビルホールに収納して、ホテルへと持って帰った。
ホテルの人にお願いして、魚を焼いてもらった(後日、きつねスキル、きつね焼きを使えば焼けることに気づいた。てへぺろ)
普通に、おいしかった。
塩が効いていて、ホクホクだった。
魚の他にも、ホテルの夕食を食べた後、大浴場で身体を洗い終わり、部屋に戻った。
部屋に戻り、ましゅまると遊んでいると、白色のモヤモヤの空間から、ココンちゃんが現れた。
存在を忘れていた。タブレットは有効活用していたのに申し訳ない笑
「お待たせしたこん。サインをお願いするこん」
そう言って、小さな段ボールを渡される。
「ココンちゃん、油揚げって好き?」
サインをしながら、聞く。
「大好きこん」
「食べてく?」
「食べるこん。食べるこん」
部屋のテーブルの上に、皿に乗せて山盛りの油揚げを出す。
「なっ、絶妙な甘さと辛さのハーモニー。噛むたびに口に広がる染み込んだ汁がたまらないこん」
1つまた1つと油揚げを食べていくココンちゃん。
「じゃぁ、また来るこん」
ココンちゃんは、茶色黄色のしっぽをフリフリしながら、白色のモヤモヤの中に消えて行った。
今度は、きつねうどんかそば、きつね寿司、きつね飯のどれかを食べさせようと思う。