第3話 決闘/冒険者ランク/ホテル事情
なんか『おこ』な男、ガルドと決闘を行なうことになった。
ガルドは、Cランク冒険者で中級と呼ばれるみたい。
Fランク 新人←最下級ランク
(森の浅い付近の薬草採取やゴブリン討伐、街のゴミ拾い、馬糞拾いなどがメイン。)
Eランク 駆け出し←下級ランク
(グリーンゴブリンをソロで3匹相手に討伐できる強さ)
Dランク 半人前←下級ランク
(イノオークをソロで討伐でき強さ。護衛依頼などを行えるのもこのランクから)
Cランク 一人前←中級ランク
Bランク 銀行を利用できるようになる←上級ランク
Aランク 準貴族(準騎士爵)として国から扱わられる←上級ランク
Sランク 貴族(騎士爵)として国から扱わられる。国に数名しかいない←最上級ランク
冒険者ギルドの地下にある練習場で決闘を行なうことになった。
『俺と決闘しろ』と言うガルドに、『結婚しろ』と聞こえたわたしは、『結婚?絶対にいや』と返事をしたら、再度ギルド内で笑いが起きた。
冒険者に案内されてやってきた練習場。
観客として、冒険者やギルド員がいる。
あっ、ギルド員の1人は、審判をするみたい。
「謝るなら、今のうちだぞ?」
一定の距離に立ち、向かい合うわたしとガルド。
「はい。ごめんなさいっ。では」
謝るなら今のうちだぞというので、素直にペコリっと頭を下げてみた。
謝ったので、せっかく来たけど、練習場を後にしようと思う。
「おい、お前、舐めてんのか?」
ガルドは、手に持った大きな斧を練習場にたたきつけて言った。
「謝ったら、許すってことじゃないの?」
「そんなわけねえだろ。さっさと始めるぞ」
ガルドが斧を手に持つ。
えっと、決闘のルールは。
①決闘責任者は、冒険者ギルド員が行う。
②勝利条件は、片方が負けを認めた場合、または、決闘責任者である者が続行不能と認めた時、致命傷を負ったと判断した場合。
③武器や魔法の使用は自由。但し、決闘参加者以外の者への被害や、ギルドを壊すなどの損害が過剰に出ない程度であること。
「さぁさぁ、どっちに賭けますか?」
どうやら、賭博が行われるみたい。
賭博が行われる場合の主催者(胴元)をし始める冒険者ギルドのギルド員。
まず全ての掛け金を集めるようで。
勝負が決してからだと負けた人が払わない可能性があるためだろう。
そこから胴元が手数料を取るのかな?
残った金額が賞金となり、それを勝ち馬(人)に賭けた人たちで、賭けた金額に応じて配分するといったところだろう。
お金を払った人に数字の書かれた木の札を渡している。
それが証明書となるのだろうね。
わたしの方に賭けた人は、青色の札。
ガルドに賭けた人は、赤色の札を持っているようだ。
どちらか一方にしか賭けられないみたい。
賭けたほうのエリアに賭けた人たちは色付きの札を持ち立っている。
全部で50人ほどいるけど、わたしのエリアにいるのは10名程度。
80%がガルドたちの方のエリアにいる。
「ギルド員の人も賭けるんですね」
胴元ではない、冒険者ギルドのギルド員の人も購入していた。
「自分は今、休憩中なので」
そのような返答がかえってきた。
「自分に賭けるのはありですか?」
胴元をしているギルド員に聞いてみたが駄目だった。
首を左右に振られてしまった。
「それでは、決闘を始めよう。俺が石を上に投げる、それが地面に落ちたら決闘開始だ」
ギャラリーはぎゃぁぎゃぁとうるさい。
酒場の店員さんは、わざわざ飲み物などを運んでいた。
もしかして、決闘は日常茶飯事なのかもしれない。
「頑張ってー」
「ふぁいとだよー」
わたしに賭けてくれている主に女性陣が、黄色い声援を上げる。
「ガルド、お前に賭けてるんだからな」
「負けんなよガルド」
ガルドへの声援は男達ばかりだ。
「お前、その白いのは使わねえのか」
ましゅまるを指差すガルド。
「何言ってるの?危ないっ。わたしの家族ですよ?」
ましゅまるを戦闘に出すなんてそんな危ないことできない。
今日出会ったばかりだけど、ましゅまるは家族同然だ。
「ふんっ。調教魔法使い風情が、使役している動物かモンスターかは知らねえが、そいつを使わないなんてな」
何がおかしいのか分からない。
調教魔法使いとやらは、弱いのだろうか?
わたしに賭けてくれた人たちも、心配そうにしている。
『大丈夫なの?』
『安心しな、やばそうになったら、あたしが止めに入るから』
ボーイッシュなショートカットで男勝りな感じ。
りんごのような髪色の女性冒険者がいざとなったら、わたしを助けてくれるみたい。
にこっとした笑顔でわたしに賭けたエリアの人たちを見る。
「それでは、始めるぞ」
『ほいっ』と言った感じで、石を上に投げる審判のギルド員。
床に落ちると同時に、ガルドがわたしめがけて走ってくる。
攻撃範囲になったみたいで斧を振りかざしてくる。
後ろに2mほど飛び楽々(らくらく)避ける。
ましゅまると追いかけっこ、ホテルでしたもんね。
2mくらい軽く飛べるのは把握済みだよ。
「きつね矢。出現、ターゲット確認、発射」
とりあえず、太ももを狙う。
ガルドが重装備じゃないから良かった。
ちゃんとした装備だったら、きつね矢が刺さらないかもしれないからね。
「ぐがっ」
きつね色の矢が刺さり、そこから血がにじむ。
両手で持っていた斧を片手で持ち、もう片方の手で刺さった矢を抜くガルド。
その後、ガルドは再度わたしに向かって斧を振りかざしてきた。
「きつね矢。出現、ターゲット確認、発射」
今度はさっき放った場所とは逆の太ももを狙った。
「いっ」
痛いのだろう顔がゆがむガルド。
「きつね矢。出現、ターゲット確認、発射」
「きつね矢。出現、ターゲット確認、発射」
動きを止めているガルドの、右腕と左腕にきつね矢を放つ。
念のため、いつでも狙えるんですよ?という意味を込めて、きつね火を準備。わたしの右手に顕現させる。
~数秒後~
「勝者、ヨザクラさん」
審判の声が練習場に響いた。
「参った」
あっけなく決闘は終了した。
ガルドは顔が真っ青。
「じゃぁ、そう言うことで」
ガルドの方に向かって告げる。
回復?エンジェルラファー使ってあげないよ。
自業自得ってやつだね。
わたしのことを心配してくれていた女の子がガルドについて、教えてくれたけど、いろいろと評判悪いみたいだし。
ましゅまるの元まで歩き、抱きかかえる。
ましゅまるの方を見るとしっぽを振り振りして喜んでいた。
きつねって賢いって言うから、今の状況を理解しているのかもね。
『あなた強いのね』
『あんた、強いな』
女性冒険者に囲まれて、ましゅまると一緒にモフモフされることになったわたし。
誰?わたしのおっぱい揉んだの?わたしの周りにいるのは女の子ばっかりだからいいけど。
まったくー。お金とるよ?
「冒険者登録をして、ホテルに戻って食事をして、お風呂に入ろう」
わたしが寝泊まり予定のホテルは、この街で一番の宿らしい。
ホテルを出る前に、ホテルの従業員の人に聞いた。
宿屋とホテルの違いは、その人曰く、お風呂があるかどうかのようだ。
お風呂は火の魔石と水の魔石を使う為、格安宿屋なんかでは使っていないらしい。
「あっ、その前にましゅまるを川に連れて行って身体を洗わせないと」
ホテルの大浴場に動物は入れないと言われてある。