第16話 門の守り/剣刃/あなたたちやっておしまい
「みんな、きつねハウスから出たらだめだからね」
孤児院の子たちや元スラムの子たち、今は部下(配下)の人たちにオーガが来た事実を伝えた。
きつねハウスは、完全に攻撃を受けない代物。
わたしの全力のパンチでもヒビ一つ入らなかった。
元Aランク冒険者のラッシュさんの全力の剣でも傷つかなかった。
「お供します」
「します」
ラッシュさんとファミィーちゃんが名乗りを上げた。
その他にも、元冒険者でスラム出身の人たちや腕に覚えのある人たちが武器を手に持ち集まる。
「けが人はわしらに任せて暴れてくるのじゃ」
わたしがエンジェルラファーで治した配下の救護班回復魔法持ちの人たち。
ランゼフさんを筆頭に、ステッキを持っていた。
「はい。お願いします」
きつねハウスに残る組に見送られながら、その場を後にした。
待ち合わせ場所である門へと進む。
街の中は大混乱だった。
別の街へと逃げる面々によって門をふさぐような感じになっていた。
「お待たせしました」
もう準備ができたのであろう。
ぽんぽこっこさんの乗る大きなたぬき。
その後ろに馬に乗って控えている騎士たち。
大きなたぬき、しらゆきよりも大きいんだけど。
「ぽん。今、冒険者たちが前線で頑張ってくれているぽん。ぽんたちも行くぽん」
~オーガ系統との戦闘~
「いざ、進むぽん」
ぽんぽこっこさんに頼まれ討ち残しのために門の前で待つわたし。
1匹たりとも街に入れるつもりはないようだ。
タブレットを取り出しマップを確認。
300はオーガがいると騎士が言っていた。
マップを確認すると現在の数はざっと213。300もいないけど、過剰報告したのかな?
3mのリトルオーガ。赤色がオーガのもともとの色みたい。
Bランク認定モンスター
その他に成体と呼ばれるレッドオーガ、パワータイプ。
木を引っこ抜きブンブンと振り回している。
Aランク認定モンスター
ブルーオーガ、すばやさが高いみたいで、他のオーガは筋肉質なのに対してすらっとしている。
Aランク認定モンスター
グリーンオーガ、守備力が高いみたいだけど、他のオーガと同じで魔法が弱点なのには変わりないらしい。Aランク認定モンスター
オーガは魔法を使える固体はいないらしい。どのオーガにも言えることは高い生命力を持つこと。
隣にいるラッシュさんの説明をまとめると上記のようになる。
「きつねは尾で分かる」
討ち漏らしのリトルオーガが、来たのでステータスを見ておく。
因みに遠くにいるオーガたちも視界には捉えられるが、そのオーガの近くにステータスが表示される為、遠くにいるとなんて表示されているか分からない笑
【ステータス】
『名前』 リトルオーガ
『レベル』 20
以前討伐した際にも見たことのあるレベルの範囲内だった。
「あっ、ユウ様。あれは、最後のあがき状態です。こちらに辿り着く前に亡き者としたほうが良いかと。俺が一振りしてきましょうか?」
腰に掛けた剣に手を添えるラッシュ。
一振りで倒せるんだね。
まともに、ラッシュさんがモンスターと戦ているのを見たことがないため。すこしびっくり。
「最後のあがきってなーに?」
「オーガ系統は、瀕死に近い状態になると自身の生命力の全部を引き換えに、攻撃力を上げると言われています。身体に赤色のオーラを纏っていますよね?あれがその状態の時です。実際に俺も見たことがありますが、あれは強力です。最後の一撃に全力を注ぐみたいで、避けさえすれば後は勝手に死にゆくだけなのですが……」
「命がけの技という事ね。そこまでして勝ちたいのかなー?」
「オーガは、戦闘狂です。年寄り、女、子ども関係なく亡き者としてきます。ゴブリンやオークと違って、女を捉えて、性的行為もしませんので、オーガの現れた村なんかは全滅と言われています」
「分かった。デビルホール」
リトルオーガの両腕のみをデビルホールで収納。
「剣刃」
『スパッ』
わたしの意図を組んだのだろう。
ラッシュさんが、両腕を急に失い混乱するリトルオーガに剣を一振りする。
風魔法のエアーカッターに似たものがリトルオーガを斜めに真っ二つにした。
「ラッシュさん。こわっ」
「いやいや、ユウ様の収納魔法の方がよっぽど怖いですよ」
わたしの近くにいる配下たちがうんうんと頷いている。
ましゅまるも、しらゆきも頭を縦に動かしている。
悪魔さまたちがブラックホールって言っている技だからね。
「あっ、なんか、オーガ系統じゃないのが近づいているみたい」
モンスターの大群が、逃げるようにこちらに向かってきている。
「オーガたちから逃げているのでしょう。小物は俺たちに任せて、運ばれてくるケガした冒険者たちの回復をユウ様はお願いします」
「わかった。無理しないようにね」
「急いで逃げている魔物たちは、疲労を抱えていることでしょう。俺達でも十分やれます。それに俺たちには、ユウ様から授かった回復魔法がありますから」
みんなのわたしを見る視線が熱い。
「じゃぁ、あたいから行くよ。我に従え。我に膝まづけ。我の足を舐めよ。出でよジャック」
なんじゃ、その魔法は笑
魔法だと分かるのは、魔法陣が足元に浮かんでいるから
魔法使いは魔法陣を出すと威力が上がる。
別に出さなくとも魔法は出せるけど威力が上がる為、暗殺とかではないかぎり魔法陣を出す。
紫色の魔法陣、文字が描かれている。
「シャァー」
巨大なヘビが出てきた。召喚魔法か。
召喚魔法を持っているのは知っていたけど、初めて見た。