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プロローグ

本作品は、掲載中のファンタジー小説「ミッドナイトブレイカー」の続編にあたります。

 12月も終わりに近づき、しっとりと冷たい空気が部屋を満たしていた。

(さぶ)

 風呂上りの身体を冷やさないうちに、俺はベッドに潜り込む。

 明日は終業式で、その後はお待ちかねの冬休みだ。

 お待ちかね、と言っても特に何の予定があるというわけでもない。が、やはり長期休暇は学生にとっても嬉しいものなのだ。

 部活で疲れていたのだろうか、布団に入ってからしばらくで、いい具合にまどろんできた。

 このまま行けばすっとぐっすり眠れそう……

 ……だったのだが。

 ガラスに何かがぶつかる音で、俺の意識は一気に引き戻された。

(……?)

 虫がぶつかるような音でもなかった。

 なんていうか。

 コン、コン、と。

 人工的な音だったのだ。

 俺は横になったまま、ベランダ側のガラス戸を目視する。

 すると、そこには

『英輔、開けて』

 と口で訴えている、白いジャンパー姿の少女がいた。

 ……

 …………

「!?」

 俺は慌ててベッドから飛び出して、鍵を開けた。

 途端戸が開いて、背筋が震えるような外の冷気を感じる。

「ひゃー、寒かった」

 何を詰め込んでいるのか、かなり膨らんでいるリュックを背負った彼女は、靴を脱いで綺麗に揃え、ごくごく自然に俺の部屋に上がりこんだ。

「朔夜!? なんでお前がここにいるんだ!!」

 俺は下にいるお袋に気付かれないように注意しながらも精一杯叫んでいた。

 すると彼女はけろりと

「久しぶり、英輔。相変わらずだねー」

 なんて、挨拶をした。

 

 相変わらず、という言葉をそのまま返してやろう。

 実際、彼女と会うのは約3ヶ月ぶりだ。

 9月のあの1週間の後、すぐ鷹の方に帰るのかと思いきや、結局彼女は10月になるまでこちらに留まっていた。10月に入って、彼女は前触れもなくまた転校し、それ以来、会っていなかった。

 一応メルアドは知っている。が、特に用もなかったので1度もメールを送ったことはなかったし、彼女も無駄なことはしないのか、同様だった。

 

 それにしても

「なんでいきなり来るんだよ、しかも窓から!? 来るんだったら普通に入ってこいよな!!」

 再会の余韻など感じる暇もなく俺は彼女の大胆さに打ちのめされていた。

「だってもう遅いしー、玄関から入るにしたって英輔のほうが困るんじゃない?」

 と彼女は正論をさらりと述べる。

(……確かに、お袋にはこいつのこと言ってないし……なんか妙に勘違いされそうだし……)

 俺が反論できないでいるのを見て、彼女は勝ち誇ったように満足そうな顔をした。

 そんな顔がなんだか懐かしくて、俺は少しぼうっと彼女を眺めていたらしい。

「英輔?」

 彼女が不思議そうな顔をしたので、俺は慌てて

「……で、急になんだよ。お前、1人で来たのか? ここまで?」

 尋ねると

「うーん、1人って言えば1人だね。ちょっと旅行をしに」

 と、彼女はどうもおかしなことを言った。

「……お前、もしかしてあのお父さんに内緒で来たんじゃないだろうな」

 俺は最悪の事態を予想しつつそう尋ねた。

「ううん、もともとイーグルの用事で来てるんだもん。ちゃんと行き先は教えてるし、ここに来ることも言ってある」

 と言って、彼女はその場にしゃがみこんだ。

「……おいこら、なぜそこで居座る」

 彼女は無視して部屋を見回す。

「英輔、この部屋ちょっと寒くない? エアコンとかないの?」

「話を聞け!!」

「こたつもなさそうだなー。そこの毛布借りるよ」

「お前な!!」

 すると朔夜は呆れたような顔をして

「もー、別にずっと居座る気はないって。明日から『宝探し』に出掛けるんだから」

 と言った。

「……宝探し?」

 俺が呆気に取られていると

「そう、宝探し。この近くの山なんだけど、せっかくだから英輔も誘おうと思って来たの。明日から冬休みでしょ? ちょうどいいかなって」

 と、彼女は有無を言わさぬ笑顔でそう言った。


こんにちは、あべかわです。この度はミッドナイトブレイカー続編にお目通しいただきありがとうございます。えーと、なんだかんだで続編作ってしまいました(汗)。

といっても実はこの2は短編でして、1を完読してくださった方々へのお礼、みたいな短いお話です。加えてクリスマス仕様で、話の中の日付とライブの日にちが合うようにアップしていきますのでこれから4日(?)の集中更新です。

このお話は春に公開予定の3(完結編?)への序章でもありますので、各キャラクターそれぞれに注目していただけるとありがたいです。

ではまた明日、お会いできれば幸いです。

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