表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/61

Chapter6 王の[覇気]


皆さんはギャップ萌えという言葉をご存知だろうか。


よくある例としては、普段、行ないの悪い不良が、

たまに良い事をすると、善良な人間が同じ行動を行なった時より、相手に与える好印象が大きいといった所であろうか。


わたくし、小田 圭は只今、痛感しております!

あの見た目だ、可愛らしい可憐な少女だよ?

背も小さいし、まだ顔も幼い。

それで、あの高圧的な態度……これは萌える。

しかし、俺がただのドMなだけじゃないのかよ!

という考えは辞めて頂きたい。その結論はまだ早い。



「も、申し上げますッ! さ、昨晩、西の湖に地理の調査に出ていた第10騎士団が、ガルム帝国の者と思われる人間と戦闘になり、し、死者はでなかったもの……ほぼ全滅状態に……」


1人の兵士が、緊張した面持ちで、カルミナの前に出て来て片膝をついた。

少しカルミナに怯えているのだろうか、その兵士は僅かに震えているように見えた。


「して、敵の勢力はどのくらいの数だったのだ?」


カルミナは、少し前のめりになり兵士の顔を覗き込むような形で話を聞く。


「え……っと……あの……」


兵士はカルミナの目力に耐えられなくなり、言葉が詰まり、目を逸らしてしまい、うつ向いてしまった。


「ハッキリ答えんか!!」


カルミナは業を煮やし、脚を組みドッシリと座ったまま、兵士に対して怒号を飛ばす。


「は、はぃぃ!……報告によると、ひ、1人であったそうですぅ!」


兵士は大汗をかきながら、カルミナと目を合わせる事なく、声を絞り出すように答えた。


「ほぅ……貴様はふざけておるのか……?」


「い、いぇえ!! そ、そのような事は!」


兵士は再び顔を上げ、カルミナの目を見て自身の話が嘘で無いと言わんばかりに目で訴えていた。


「フン、わかった。騎士の怪我が回復したのち、第10騎士団団長から直接話を聞く。お前は下がれ。」


カルミナは、兵士から視線を外し、椅子に深くもたれ掛かるような姿勢で目を閉じた。


「は、はぃぃいー!!」


兵士はすぐさま立ち上がり、カルミナに一礼した後、

走って自分の持ち場に戻って行った。


な? 叱られてみたいだろ?

健全な男子諸君ならわかってくれるはずだと、

俺は信じている。だが、決してマゾではない!


「この者の他に、報告のある者はいるか!」


カルミナは再び目を見開き、周囲を見渡し叫んだ。

それを聞いた一同は、黙り込んでしまった。


「いないのであれば私から、皆に報告がある、K!こちらへ来い!」


カルミナは、椅子からゆっくりと立ち上がり、俺を指差し、こちらに視線を向けた。


推定中学生に、来い! と言われ素直に従う23歳。

こんな姿、親が見たら泣くぜ!

心なしか、皆に睨まれている気がするのだが……


片膝をついた、皆の視線を一点に背中へと浴びながら前へと進み、カルミナが立つ壇上の前へと立つ。


「この者は、名を小田 圭と言う。 私の婚約者だ!

なお、待遇は王家の者と同等とする! いいな!」


前に立った俺の元に、カルミナは壇上を降りて歩み寄り、俺の肩に手をポンと置いて、皆に言い聞かせた。


ん? えぇぇぇー! いきなり何言い出すんだ!

やっぱり俺にも心の準備というものが。


俺は予想もしていなかった出来事に、言葉も出ず、

ただただ立ち尽くす事しか出来なかった。


「お、お待ち下さい! 王ともあろうお方がこのような……」


1人の、騎士のような格好をした男がその場に立ち上がり、少し汗をかきながらカルミナに意見した。


「何か異論があるようだな! 私の前に立ち、意見を述べてみよ!」


カルミナは俺の肩から手を離し、一歩前へと出た後、

騎士の目を見て凄むように話す。


何だろう、カルミナの背後から見えてはいけないような、オーラのような物が見える。


「い、いぇ……ございません……」


騎士はすぐに目をふせ、すぐさま片膝をついた。

恐怖からか、騎士は少し震えていた。


異論? いや、あるよ! あるに決まってる!

婚約者? そんな話し聞いてないぞ!

いくら何でも話が飛び過ぎている。


カルミナの意図を探ろうと、ヴァイスさんを見る。

一瞬目があったと同時に、光の速さで目を逸らされてしまった。

多分ヴァイスさんもいきなりの事で事態が飲み込めていないのだろう。

しかし、何かに怯えているようにも見える。


カルミナに……? そんな、まさか。


「では、私は王室に戻る! 各自持ち場に戻れ!」


カルミナの戻れの一声で、その場に片膝をついていた大勢の人間が、ハッ、と言う掛け声と共に立ち上がり、ゾロゾロと部屋を出て行った。


やはりオーラが見える……目が疲れているのだろうか、

色で例えるなら薄い黄色のモヤみたいな物だ。


「Kっ!」


「ひゃい!!」


思わず声が裏返ってしまった///


「私に着いて来て。」


カルミナはくるりと身を翻し、歩き出した。

大広間から繋がる長い廊下を歩いている間、カルミナは一言も喋らなかった。


しばらく無言のまま歩くと、長い廊下の先にカルミナの王室があった。

カルミナがそこの扉を開くとそこは、豪華絢爛の一言に尽きる、絵に描いたような王室だった。


スイートルームてやつだ! いや、スイートルームなんて泊まった事は無いけれど、スーパースイートだ!


部屋の中へと入ったカルミナと俺は、2人きりになった。

俺は、カルミナの意図を探るべく、色々と質問をしてみる事にした。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ