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Chapter56 10日後


……ん? ここは何処だ? みんなはどうなった……


『……シンパイナイ、キミハヨクヤッタ。』


終わったんだよな、神楽には逃げられはしたけど、

闘いは一先ず終わったはずだよな……?


『……アア、キミノオカゲデ、コノクニニハフタタビヘイオンガオトズレタ。』


イテッ……何だか頭がズキズキするな。

俺、みんなを守る事できなかった……

悔しいよ……カルミナに会わせる顔がねぇ……


『……アマリオオクヲモトメルナ、ギセイハデタガ、キミハコノクニヲマモッタ。』


犠牲か……そんな簡単な言葉だけで済ましてしまって良いのかな……

いや、いい訳が無い!! 俺、みんなに謝らなきゃ!!


『……キミハムカシカラカワッテイナイナ。

ココロヤサシイショウネンノママダ。』


いやいやいや、全然優しく無いって!! ハハッ……

本当ロクでも無いゴミみたいな奴だぜ俺!?

たださ、この世界に来てから俺は変わろうって決めたんだよ。

今迄の人生は、生きてんのか死んでんのかわかんねぇような生き方をしてたんだ。


だから、1度自分から捨てた命をせめて人の為に使おうって決めたんだ。

せっかく繋いでもらった人生なんだ、いつ死んでも悔いのないように残りの人生を使おうってな。


『……ソウカ。デキルダケキョウリョクハシヨウ。

シカシ、キミノカラダデハ、ワタシヲウケトメルニハゲンカイガアル。

キミノセカイノタンイデ10プンガゲンドダロウ。』


そ、そんな!? もし10分以内に敵を倒せなきゃ完全に負けって事かよ……

抜けた後は気を失ってしまうもんな、完全に諸刃の劔状態って奴か……迂闊に使っちゃダメだな。


そうだ! お前に聞きたい事があったんだった!

前、洞窟で双頭の大蛇と闘った時


『……ソロソロジカンダ。 ミナガキミヲシンパイシテイル。 サア、メヲサマセ。』


ち、ちょっと待ってくれ!


ーー




「……こ、ここは、王室??」


「Kっ!! やっと目が覚めた……

……よかったぁ……うわぁぁ〜ん……」


俺が再び目を開けた時、そこには見慣れた天井があった。

未だ状況がうまく掴めてない俺の横では、カルミナが涙を流しながら、俺の腕にしがみ付いていた。


「カ、カルミナ……あれからどうなったんだ?」


「グスッ……本当に心配したんだからぁ……あれから10日経ってもKは目を覚まさないから私どうしようかって……」


10日だって!? 俺そんなにも寝てたのか!?

マジかよ……もしあそこで神楽が引かなかったら本当にヤバかったのかもしれなかったな。


「あの……カルミナ、ゴメンな。本当にゴメン。

肝心な時に守ってやる事が出来なかった……

覇気、奪われちまったよな、俺何て言っていいのか……」


「ううん、Kが謝る事なんてないっ! 確かに今の私からはクラウンネームは無くなってる……

でも、Kが無事だった事が私は……私は……」


布団に横たわる俺の腕にしがみ付いたままカルミナは、さらに力強く俺の腕を握り、目からは大粒の涙を零していた。


俺はただ無言でカルミナの頭を撫でた。

これ以上掛けるべき言葉が俺には分からなかった。

俯き泣くカルミナの首筋には、ナイフによる傷跡が生々しく残っていた。


「覇気があろうと無かろうと、この国の王はカルミナだ。もし、誰かが今のカルミナを否定するならば俺はそいつを全力でブッ飛ばす。」


「……ふふっ、ありがとうね、K。」




俺が眠り続けた10日の間、カルミナは王室に篭り俺の看病を続けた。外には出なかったようで、他の者とは一切接しなかったみたいだ。

つまり、今のカルミナの現状を知り得る者は恐らく俺だけなのだろう。


クラウンネームに寄ってカルミナの従者となった者達の目には、クラウンネームを無くしたカルミナがどのように映り、どのような心境の変化をもたらすのかは俺には知る由もなかった。


引き篭もりの国王。

俺が部屋を出て、他の怪我をした人達の様子を見てくると伝えると、カルミナは待ってると言った。

今のカルミナが他の者に顔を合わせ辛いのは充分に分かる。

俺がカルミナの支えになると、改めて心に誓った。



詰所が並ぶ通路の1番奥に、この城の診療所と病室がある。この病室には扉が無い為、俺は恐る恐る中へと入ってみる事にした。


「……こ、こんちわぁ〜。」


辺りを見回すと、以外と中はだだっ広くそこには簡易ベッドが合計13床並んでいた。

手前から順に、ロア率いる騎士団が9人、ジャックさん、ヴァイスさん、ディアンが横になっていた。


中には俺に気付き、頭を下げる騎士もいたのだが、大半の人が眠っているようだったので小さな声で挨拶だけをし、静かに奥へと歩いた。


「あ、アイリがいねぇ……まさか……」


1番奥のベッド、本来そこに居るであろうアイリの姿がそこには無かった。

まさか死んでしまったりしてないだろうかと、俺は不安に掻き立てられた。


「……く、苦しい。 た、助け……て……」


「ディアン!? だ、大丈夫か!?」


髪の毛だけが飛び出た状態で布団にくるまり丸まったディアンから苦痛の声が漏れ出していた。

俺は女性の布団をめくるという非常識な行動を咄嗟に行ってしまっていた。


「ディアンだいじ……」


「はうぅぅぅ〜アイリィ〜可愛いよぉ〜」


「……た、助けて……け、圭。」


布団をはだけるとそこには、ディアンが嫌がるアイリを抱き締めているという理解し難い現状だった。


「何やってんだ……お前。」


「ッ!? けッ、圭!? い、いや、こ、これは……

た、ただのスキンシップであってだな……」


「……ふぅ、頭のおかしい女め。」


俺の存在に気付いたディアンはアイリを抱き締める手を緩めた。その隙にアイリは魔の手を掻い潜り俺の背後へと逃げる事に成功した。


「お前なぁ、いくらアイリが可愛いからって、いくらなんでも嫌がる他人を無理矢理抱き締め」


「た、他人では無い!! ア、アイリは私の……


……私の、実の妹なのだッ!!」


「な、なにぃぃぃッ!! ほ、本当かアイリ!?」


振り返ると俺の背中のシャツをギュッと握り締めたまま、少し涙目のままアイリは無言で頷いていた。


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