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Chapter41 大天使ミカエル


俺とカルミナは天使族の向かいの席へと並んで着く。


大天使と言えば、おれの認識ならば神直属の天使。

その大天使様の頭上にも輪っかは無いと言うならば、

アイリが俺に降霊させた天使には何故、輪っかがあったのだろうか。

安易な考えで、天使が死ぬと頭上に輪っかが出るという認識でいいのであろうか。


「あの、すいませんミカエルさん。全然関係無い話で悪いんですけど、天使族の方達って頭の上に輪っかとか無いんですか?」


俺は、どうせ考えていてもわからないので、居ても立っても居られなくなったので聞いてみる事にした。


「輪っかですか? あぁ、エンゼルリングの事ですね。何故、その事をご存知で?」


しまった。アイリには天使降霊(エンゼルフレイ)は内緒にしてくれと言われてたんだった。


「え、えっと、いや、……夢。……そう、夢に出て来たんですよ! 夢の中に出てきた天使にはエンゼルリングでしたっけ? それがあったのにミカエルさん達には無いなぁーって、……ははは。」


俺は焦り、あたふたとしながら誤魔化した。


「私を含め大天使にはエンゼルリングがありますよ。

普段は見えないですが、聖力を解放した時のみ視認する事ができます。

それはそうと、夢の中にエンゼルリングを出せる天使ですか。私はその話に興味がありますわ。」


ミカエルさんはテーブルに両肘をつき、組んだ手の平にアゴを乗せ話している。


そうか、あいつは大天使だったのか……

死んで霊体となった大天使。ミカエルさんに聞けばすぐに分かりそうだけど、絶対に色々突っ込まれるだろうから辞めておこう。


「い、いやいや、ただの夢っすから! 気にしないで下さい。さぁ、本題に入りましょう!」




本題。災いの王、いや、今は災いの魔王神楽。

最強チート野郎をいかにして倒すか。

カルミナが話を進める為、話し出す。


「私達人間だけでは、魔王神楽を倒す術を持ちません。天使族の使う白魔法が有効な手段だと私は思うんです。」


カルミナはミカエルさんの目を見つめたまま、訴えかけるように話した。


「なぁ〜に言っちゃってんのカルミナちゃん! その神楽ってのも人間なんでしょ〜? そりゃナミエルちゃん含め天使族だって力は貸すけど、白魔法ってまたまた大袈裟だなぁ。それにただの人間を魔王なんて呼ばないでよ、もぉ〜!」


少しカルミナを馬鹿にしたような口調でナミエルちゃんが横槍を入れてきた。


カルミナが喋り出した途端に元気になったな、ナミエルちゃん。カルミナに対抗意識でもあんのか?


「え、いや、だから悪魔や魔物には白魔法が有効って私聞いたんですけど……」


カルミナは少し困惑した表情で食い下がる。


「確かにそうです。私達大天使の使う白魔法は、悪魔や魔力を持つ者には有効です。しかし、ただの人間相手には……悪魔等が出てきた場合は我々も対処致しますが、人間相手に悪魔が間に入るとも思えませんが。」


おやおや? ナミエルちゃんもミカエルさんも何か話が合わないぞ……

カルミナも頭の上にハテナマークが出てるし。


「あ、あのー、ちょっといいすか?」


俺は、まさかなとは思ったが、確認する為に手を挙げ、話に割って入る。


「どうかしましたか?」


「魔王サタンを神楽が倒した事はご存知ですよね?」


「「はあぁぁぁぁぁぁぁ〜?」」


「悪魔もほとんど神楽に付いたみたいっすよ?」


「「ええぇぇぇぇぇぇぇ〜!」」


ミカエルさんとナミエルちゃんは椅子から立ち上がり、驚きの表情のまま固まっていた。


やっぱりかよ! てかなんで大天使様ともあろう人が魔王が倒されてる事に気付いてないんだよ!

天使とかだったら神話の能力無くても直接神に聞けんじゃねぇのかよ……


「け、圭さん……それは確かな情報ですか……?」


ミカエルさんは額からタラタラと汗を流し、ゆっくりと椅子に座り直している。


「あぁ、悪魔から直接聞いたから間違いないっすよ。

えーっと、確か……ベリアルとマスティマとベヒモスって奴等から色々聞きました。教えてくれたのは、ほとんどマスティマって女の悪魔でしたけど。神楽は魔王サタンも倒しちゃったみたいで、今は神楽が実質の魔王みたいな感じですね。」


ナミエルちゃんが口を開けて固まったままなのが、気になるが、俺は淡々とミカエルさんに話を続けた。


「あ、あのマスティマですか? 魔王サタンを倒し、大悪魔マスティマまで従えてしまうとは……

実を言うと、この一件、大天使は私1人だけでいいでしょうと結論付けていました。ですが、これでは天使族側も考え直さねばなりませんね……」


ミカエルさんは驚きの表情を見せた後、少し俯き考えている様子だった。


「あと1つ、神楽のクラウンネームについてです。」


「能力が分かったのですか!」


俺が人差し指を立て話し出すと、ミカエルさんは食い付くように俺の目を見据えた。


「はい。神楽の能力は略奪です。発動条件は教えられませんでしたが、神楽は能力、技術、魔力何でも奪えるようです。天使族が相手だと、聖力も奪われるかもしれません。」


説明を終えると、ミカエルさんはまた少し俯き、腕を組み何かを考えているようだった。


「分かりました。少し、私に時間を下さい。今はどこにいるかわからない大天使達を探し出し、話を付けに行きますので。

ナミエル! 私はしばらく戻らん、テメェは適当にその辺で暇つぶしでもしてやがれ!」


再び俺に視線わ合わせ、真面目な表情をした後、ナミエルちゃんに向かい怒号を浴びせる。


「ハッ! 了解したでありますっ!」


ナミエルちゃんの石化状態が一瞬で解け、訓練された軍隊のような素早い動きで、手の平をおでこに当てミカエルさんに敬礼をした。


ミカエルさんは、失礼しますと礼儀正しく一礼した後、急ぎ足で部屋を後にした。


「わりぃ、カルミナ……俺、かなり出しゃばっちまった。」


「んーん、助かったよぉ、ありがとうねK。」


王より出しゃばってしまい、カルミナの顔を潰したかと謝るが、俺に向けられたカルミナの笑顔は、いつもよりも嬉しそうだったような気がした。


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