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Chapter40 天使の訪問


無事、ではないが、城に帰り王室へと戻った俺は、カルミナに今回の洞窟での冒険譚を聞かせてあげた。

俺がバジリスクを討伐した話をすると、信じられないと言うリアクションをされたが、あくまでも事実なので自信満々に、俺が斬ったと言ってやった。


真実を言ってしまえば、俺の身体で天使が斬ったのか、

天使の身体で俺が斬ったのかは、よくわかっていないのだが、アイリに天使降霊(エンゼルフレイ)の話はするなと言われているので、その場合、俺の身体で俺が斬った。と、なる。


それと、カルミナには俺の能力の欠点は話さない事にした。俺がカルミナを守る騎士(ナイト)であり、カルミナの盾となる事に、この欠点を知ったカルミナならば、決して快よく思わないであろうと言う事は容易に予想できたからである。


カルミナは俺の話をもっと聞きたがったが、俺は疲れ果てていたので、そのまま布団に入り、晩御飯も食べずに先に眠ってしまった。



そして翌朝


「おーきーてー、K。朝だよぉー。」


「んん、 あぁ……おはようカルミナ。」


いつものようにカルミナに肩を揺らされ、ゆっくりと身体を起こした。


「おはよう、K!」


おや? カルミナがなんかいつもよりオシャレしてないか? なんつーか、えらい着飾ってんな……


頭に王冠を乗せ、いつもの純白の羽織ものではなくドレスを着て、装飾品を身に付けていた。


「ど、どうしたんだ、その格好。今からデパートでも行くような感じだな。」


俺は布団から起き上がりながら、カルミナの全身を舐めるように見た。


「デパート? なぁに、それぇ? 何処かに出掛ける訳じゃあないよー。今日はお客様が来るんだよぉ。」


しまった。子供の頃、日曜日の朝に起こされた時に、デパートへ出掛けるオカンの派手な服装を思い出して、思わず変な事を口走ってしまった。


「あ、いや、なんでもない。誰が来るんだ?」


俺は椅子に座り、テーブルの上に置いてあった朝食のリンゴを嚙る。


「天使族の人達だよぉ。今朝、思念伝達(テレパシー)で連絡があったみたいだから、もうすぐ来るんじゃあないかなぁー。」


カルミナは話ながら、何やらクローゼットのような所でゴソゴソと何かを探しているようだった。


なるほど。外交的服装って事か。

って、俺も早く準備をしなきゃ!


「はいっ、これが今日着るKの服ねっ。」


「……え……これ、俺が着るの……?」


カルミナは天使のような笑顔で服を差し出してきた。

それを見た俺は驚愕の表情を隠せない。


「うんっ。そーだよ、Kも一応王族って事になってるから、やっぱり正装じゃあないとねっ。」


一言で言おう……超絶ダサい!

黒のジャケットに紋章の入ったマント。これはいい、

ここで何故か短パン。俺はジャニ○ズJr.か?

それに、なんだこの首の周りをぐるりと囲む白いジャバラみたいなやつは……エリマキトカゲみたいだ。

いや、待て、この世界ではこれが、マジでイケてる服装なのかも知れない。可能性は0ではない。


俺は、この謎の衣装に身を包み、カルミナと共に俺の世界で言う、会議室のような所へと移動した。

道中、すれ違う騎士や従者達が俺を見て、顔を伏せ肩を震わせていた気がする。


その部屋の扉をノックし開けると、既に天使族の人達が2人席に着き待っていた。


「お待たせしました。カルミナ レオ イルムです。」


「お、小田 圭です!」


カルミナが礼儀正しく名乗りながら深々と一礼したのを見て、俺も其れにならって礼をした。


「あぁ〜圭ちゃんまた会ったね〜、ぶふぉっ。」


女の天使族が2人、俺を見て吹き出した1人は中立の塔で会った桃色の髪の天使、ナミエルだった。


「あはははっ、な、な、何その格好……ヒィィイ〜お腹痛い、ナミエルちゃんマジウケるんですけどぉ〜。」


ナミエルは左手でお腹を抑え、右手で目の前のテーブルをバンバンと叩いている。


薄々は勘付いていたさ……俺だってこんな格好した奴が前から歩いて来たら、笑いを堪えるのに必死だっつーの。

カルミナが目を輝かせながら、似合う似合うって、言うもんだから、これは無いとは言えなかったんだよ……


「……あら、ナミエルちゃん? イルム王国の正装に何か文句でもあるのでしょうか?」


おおおお……部屋がカルミナの怒りでビリビリ震えてる。


「えぇ〜? これはないよぉ〜カルミナちゃぁ〜ん!

短パンて……短パン! ひゃぁっ、 おかしいって! しかも首のグルグル何? 完全にウケ狙いじゃぁ〜ん。」


ナミエルは俺を指差しながら、遠慮の欠けらも無く笑い続けている。


ヤバい……死ぬほど、恥ずかしくなってきた……


「……ナァ〜ミィ〜エェ〜ルゥ〜……」


今まさにカルミナがブチ切れそうになった瞬間、ナミエルの横に座ったもう1人の女天使が初めて口を開いた。


「……ゔぉい! ナミエルゥー! 黙って聞いてりゃあ、

テメェ……何ナメた口ばっか聞いてんだ! コルゥアッ! ブッ殺すぞぉ!」


椅子からガタッと勢いよく立ち上がり、ナミエルの胸ぐらを掴み、顔を近づけ凄んでいた。


すげぇ巻き舌でブチ切れてる! この世界にもヤンキーがいるのか……天使の女ヤンキーか。

キャラ立ち凄いな。


ナミエルちゃんは一瞬で小さくなってしまった。


「……ウチのバカが本当に失礼しました。このご無礼お許し下さい。後でちゃんとシメておきますので。

私はミカエルと申します。どうぞ、宜しくお願い致します。」


大天使ミカエル。天使でヤンキーで見た目はドS。

ナミエルとよく似た白のワンピースに薄紫のロングの髪、黄金色の瞳は神々しさすら感じる。

スラッとしていて俺よりも背が高い。


やはり頭の上に輪っかは見当たら無い。

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