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Chapter33 俺と神楽の格差


カルミナは、門周辺に集まっていた騎士達へ、各々持ち場や詰所に戻るように命じた。

ロアは最後までカルミナの顔を見ながら、何かを言いたげに首を傾げていたが、カルミナがキッと睨むと慌てて城内へと戻って行った。


俺もカルミナと一緒に王室へと戻る事にした。


「んーっ、やっぱ納得いかねぇ……普通は正義側である俺がチート設定だろうがよ。なんで悪役がチートなの?

おかしい! 神様あいつだけずるいよー!」


「ち、ちょっと落ちついてK? 私には何を言ってるのか、よくわからないんだけどっ。」


王室の扉を開け、中へ入ると気が抜けたのか考えていた事が口から出てしまい、カルミナが頭上にハテナマークを浮かべて俺をなだめる。


しまった。心の声が思わず出てしまっていたか。


「わ、悪い……何でもない、気にしないでくれ……

しかし、ふと思ったんだけど、マスティマって悪魔が、神楽は魔王サタンを倒したみたいな事言ってたよなー?」


「……うん。言ってたね。」


俺は少し冷静になりながら、椅子を引きゆっくりと腰掛けた、カルミナもそれに続き対面の椅子に腰かける。


「それってさぁ、ひっじょぉ〜にマズくないか?

あいつの能力は略奪だろ? まず間違いなく、魔王からも魔力を奪ってると思うんだよ。

て事は、実質魔王以上の存在な訳だ。おまけに剣技やら魔法なんかも誰かから奪ってるかも知れない……」


ま、まさか、真の主人公は神楽説 浮上!


「それに俺達、普通の人間が魔王クラスの魔力を持った奴に、有効な攻撃手段なんかあるのか…?

それに、略奪の条件が分からない。迂闊に近づけばチカラを奪われてしまうか……うー、わからん!」


神妙な顔つきでテーブルに肘をつき手を組んでアゴを乗せ、どうしたものかと俺は考える。


俺は、もしかしてカルミナのクラウンネームも略奪されてしまうのではと考えたが、口にしなかった。


「うん。私にもどうしたらいいのかわからないよ……

ロアみたいに攻撃型のクラウンネームなら別なんだけど、普通の人間に悪魔が倒せるとは私は思えないの。

ましてや魔王なんて……

だけどねっ、天使族の白魔法なら悪魔に効果的だってのは知ってるよ。そこに頼るしかないのかなぁ…」


カルミナも右手で頬杖をつき、真剣な表情で悩んでいる。


白魔法、闇を照らす聖なる魔法。

しかし、白魔法があるなら黒魔法もあるだろう。

黒魔法、光を呑み込む闇の魔法。


「俺達、人間だけで考えても打開策は浮かばないってかぁ……天使様達が来てから考えるとすっかぁ〜」


「……ふぁぁ〜、そうだねぇ〜私、今日は疲れたからそろそろ寝るよぉ〜」


俺は頭の後ろで手を組み、椅子を前後に揺らす。カルミナはゆっくりと立ち上がり、けのびをした後、ベッドへ向かいパジャマを取り出す。


「おう、おやすみカルミナ。 俺はちょっと夜風に当たってくるよ。」


「うんっ。わかった。おやすみKっ」


まさか目の前で着替えるのかと、驚き期待したが、自称紳士な俺は、慌てて部屋から飛び出した。

夜風に当たりたいと言うのは本音だったので、俺は廊下を抜け城の外に出た。


今日は色々な事があり過ぎた。

天使と出会い、悪魔とも出会った。

そしてラスボスが俺と同じ日本から来た事を知った。

俺は、少し浸りたい気分だった。


城から出て、意味も無く敷地内を歩く俺。

すると、少し離れた所で何かが激しくピカッと光り、魔方陣が見えた。

俺は、また敵襲かと思い、急いで駆け付けた。

だが、そこにいたのは……


「……なんだよ、お前か。こんな所で何やってんだよ。」


「おやおや、その苦虫のような顔は、圭ぽんではないですかぁ〜」


息を切らし慌てて駆けつけると、いつもの生意気な顔をしたミサが立っていた。


「それを言うなら、苦虫を噛んだような顔をした! だろがっ! 人を虫みたいに言うな」


ミサの後ろにもう1人若い魔法騎士が立っていた。

ミサよりも若く、とても人見知りなのかミサの後ろに隠れるように立っている。


「ところで、後ろの子は誰なんだ?」


「あ、この子ですかぁ〜? 私の後輩のアイリちゃんですよ。この子はまだまだ修業中の身なので、大魔法使いであるわたしが教育係に選ばれたのです。テヘッ☆」


ミサは1度後ろを振り返り、隠れように立っている後輩の頭をポンと叩き、先輩風を吹かしている。


は? お前は教育される係だろうが。


「初めまして、アイリちゃん。俺は小田 圭。よろしく」


「……。」 スッ


目を逸らされた……完璧無視された……

教育係よ、まずは挨拶から教育したほうがいいぞ。


「あ、あー、いや、えっと……こんな時間にミサは一体何をやってたんだ? 魔法の練習か?」


無視された恥ずかしさを誤魔化したいが為に、ミサに助けを請うように話をふる。


「ふっふっふ、聞いて驚くがいいです。この大魔法使いミサ様は、とうとう魔法の詠唱破棄をマスターしたのですよぉ〜。」


詠唱破棄とは、呪文を唱えるタイムラグを無くし、

すぐに発動できる。上位の魔法騎士しか詠唱破棄はできないとされている。

との事らしい…0


ミサが言うと、何もかもが嘘に聞こえてくる。

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