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Chapter3 襲撃


「え、えーっと、そっ、そ〜なんだ〜へぇ〜…

じ、実はそんな気がしてたんだよねー!

い、一応聞いておくけど何で俺なんだ?

特に俺には何か取り柄がある訳でも……」


頭をポリポリと掻きながら少女に問い掛けた。

俺は何故、このカルミナという少女に呼ばれたのかわからなかった。


そこにはほんの数十分前まで、

死ぬ気マンマンだった男の姿は無い。


こんな楽し過ぎる展開、楽しまなきゃ損でしょう!

こんな経験できるなんて、若干、厨二病をこじらせている俺にとっては、神からの最高のご褒美だ!


しばらく何かを考えていたカルミナが頭を上げ、申し訳なさそうに話し出した。


「……いえ、別にKさんだから召喚したって訳では無いと思います。」


なんだよ! 選ばれし者的なノリだったよ!

Kさんて呼び方も、匿名希望みたいで恥ずかしいしよ……


「私を守れる力がある者を召喚して下さいとしか、術者には伝えていなかったもので……」


ふう……やれやれ、予想通りこの俺様は、この世界ではかなり特別な力を持つのだろうな……

仕方ない、このいたいけな少女の為に力を使おうではないか。


とは、思ったが力とは一体なんの事であろうか。

俺は元の世界では、何方かと言えば冴えない人間の部類に入る。

アニメの知識と、ゲームの腕前は自信あるのだが。


「守るっていったって、一体全体何から何だ?

話の流れ的には敵国が居て、そこから狙われている……て、そんな感じでいいのか?」


テンプレを当てはめ、簡単に予想した話の流れをカルミナに問い掛けてみると、カルミナは無言で小さく頷いていた。


ストーリーとしては、若干、王道ではあるが、

この物語の主人公は多分、俺だ。

いや、主人公では無いにせよキーマンではあるはず!

いや、やっぱり主人公がいいなぁ……


「ほう……さしずめ俺がカルミナの騎士(ナイト)て事か、

略してカルミナイト! ってか!」


俺は、右の手の平を顔に当て、ポーズを決めた。


ふふ、ウケる。


……って、うわ、カルミナめっちゃ澄ました真顔でこっち見てる!

恥ずかしい……死にたい。

しかし、カルミナ凄い可愛いな……

顔立ちも整ってるし、優しそうだし……

いや、ちょっと待て。 俺はロリコンでは無い!


その時、森の方から僅かに物音が聞こえ、俺達は音のする方へと視線を向けた。


ガサガサッ……


「ん?」


「きゃっ!」


「見つけたぜぇ、カルミナァ〜! 覚悟しろやぁ!」


森から、1人の男が飛び出し俺達の前に立ちはだかる。

その男は、カルミナに向けて敵意を剥き出しにしているようだった。


そいつは、見るからにモブの雑魚キャラのような、

キャラの薄い男だった。


こいつは敵って事で、いいんだよな? 覚悟しろとか言ってたし。


こいつなら素手で何とかなりそうだ!

自慢ではないが素手での喧嘩はいくらか慣れている。

俺の通信教育で習った、極真空手が火を噴くぜ!


俺は、本物の騎士のように、カルミナを守るように前に立ち、思い切り叫んだ。


「誰だテメェ!!」


ヤダ……// 俺……カッコイイ……


「ハッハァ! 聞いて驚くな〜?

俺様は西の帝国、最強のロベルト騎士団に物資の搬入とかで、出入りさせてもらっている……

ファンキー D ルビー様だぁあ!!」


敵は謎の自己紹介と共に謎の決めポーズを取っていた。


は? 某、腕が伸びる系海賊の親戚か何かか、この野郎……

てか、こいつただの出入りしてるだけって ププッ


「この俺様の邪魔をするってぇんならお前からやってやらぁぁあ!さぁーてぇ、 コレを見てもそんな態度でいられるかなぁ〜?」


モブキャラは、肩から掛けている皮ベルトのような物の、背中の部分から日本刀のような物を取り出した。


ゲッ、こいつマジもんの刀みたいなん出しやがった!

フッ……甘いな……俺はこの世界では最強だ! 多分。

で、俺の何が最強なんだっけ?

どんな力を持ってるて言うんだ? まだ聞いてないよ?

素手で刃物に立ち向かうとかありえないんですけどおぉお?


「ヘッヘッヘ、後悔しても遅ぇんだよぉー!」


モブキャラは、日本刀のような物を振りかざし、俺に向かって、走ってきた。


「えっ、ちょっ、まっ……うわぁぁぁあ……」


「オラァァァァアー!!」


俺は、本物の刃物に怖気付いてしまい、恐怖の余り、相手に背中を見せてしまった。

モブは、背中を見せた俺に容赦など一切見せる事も無く、日本刀のような刃物を勢いよく背中に振り下ろした。


「ぐぁぁぁぁあぁあっ……」


「キャアァァァッ! K〜!」


俺は、背中を切られ、そのまま前のめりに倒れた。

それを見たカルミナは、無我夢中で俺に走り寄り、顔の横に座り込んだ。

今にも泣き出しそうな顔をしている。


「ケッ、調子に乗ってるからだ。」


モブキャラは日本刀のような物を背中の鞘にしまい、ツバを吐き、悪態をついていた。


あぁ、こんな所で死ぬのか。

せっかく楽しくなってきたのに……

元々は死にたかったが、今は死にたくない……

この世界でなら楽しく人生を送れると期待したのに……


切られた服の隙間から、背中に風が入って気持ちがいい……



……?


……?


い、生きてる?


いや、むしろ、キレテナァーーイ!


えーと、何故だ?


俺は仰向けに倒れたまま、目をパチクリとさせ、

目の前にあるカルミナの太ももを見つめていた。


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