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Chapter25 天使と神の子


「よぉーし、皆の者! 我々は扉の外で待機する!

周囲の警戒だけは、おこたるなよ! ガッハッハッ。

では、カルミナ王、お気を付けていってらっしゃいませ。」


ジャックさんは、他の騎士達と目配せをし合った後、馬車から降りたカルミナに対し膝をつき頭を下げた。


あー、そうか、王であるカルミナしか、ここは入ってはいけない感じなのか……

残念だ、天使に会ってみたかったが仕方がない。

カルミナが帰ってくるまで、ミサをイジメるか……


「じゃあ、カルミナ、俺も外で帰りを待ってるから!」


カルミナに続いて俺も馬車を降り、カルミナに向かい頑張れよと言わんばかりに手を上げた。


「ん? 何を言ってるの? Kも一緒に入るんだよ?」


先を歩いていたカルミナが振り返り、キョトンとした目をしている。


「え? いいのか? だって、ここは王しか……」


「Kは私の婚約者で、扱いは王家と同等って言ったでしょ〜、だから大丈夫っ! さぁ、一緒に行こっ。」


俺はカルミナに手を取られ、扉へと向かった。


この時俺は初めて、カルミナの手に触れた。

とても小さく、とても暖かい手だった。


俺達が扉へと近づくと、自動的に扉が動きだした。


どういう事だ? これも魔法の一種なのだろうか。

人を感知して、自動で開く扉……

俺はコンビニの自動ドアを連想して、1人でウケていた。


「ようこそいらっしゃいました。カルミナ王。

……? そちらのお方はどなたでしょうか?」


開いた扉の中へと入ると、頭を下げたままの1人の女性が出迎えてくれた。


この人が神族の生き残り、この塔の住人だろうか。

やはり、俺の予想は当たっていたのかもしれない。

この世界で、神族というのは、神を崇拝し、神の教えを請う者達。


恐らくそれで間違いない。塔の中は教会、いや、大聖堂といった感じがする。それに修道服を身に纏った人が数人いた。

きっと、この人達は聖職者だろう。


「この方は、私の婚約者です。名を、小田 圭といいます。

今後もお目にかかる事があると思いますので、以後お見知り置き下さい。」


「あ、どうも……小田 圭です。よろしくお願いします。」


カルミナが一歩前へと出て、俺に向かい手の平を向け、俺の名を告げる。先に言ってはくれたが、流石に自分の口からもと、自己紹介し会釈をした。


カルミナの喋り方が普通だったのが、一瞬驚いたが、

確か、他に主人を持つ者には覇気が効かないのだった。恐らく彼女の主人は神なのだろう。


「これはご丁寧に。申し遅れました。わたくしは、

クラウンネームを神話、名をサラハと申します。

以後、お見知り置きを。


あ、神話といいましても、神の逸話との意味では無く、神との対話との意味でございます。」


サラハさんは深々とお辞儀をしていた。

修道服に顔以外は隠れ、よくわからなかったが、瞳は蒼く切れ長で、整った顔をしていた。


とうとう神様とお話しできる人まで出てきたか……

もしもーし! 神でーす。とか言うのかな……

俺が会った3人目のクラウンネーム持ち。うむ、美人だ。


「あ、それから、ご紹介が遅れました。あちらに座っておられるお方が……」


サラハさんが斜め後ろを振り返り、手の平を差し向けた。


色白で薄い桃色の髪をした女の人、いや、女の子がペタペタと音を立て歩いてきた。


何故、裸足なのだろうか。その答えはすぐに分かった。


「どうもぉ〜はっじめましてん! 私は天使の、

ナミエルちゃんでーすっ! にひひぃ、よろしくね!」


ペタペタと俺のすぐ側に来て、顔を近づけてピースサインをしている。しかし、かなり顔が近い。


純白のワンピースに、背中には白く大きな翼。

まごう事なき天使だ。

空を飛べるから、恐らく靴は必要が無いのだろう。

ただ、俺のイメージだけで天使を語ってしまうなら、頭の上に輪っかが無いのは残念だ。


「君ぃ〜、圭ちゃんだっけ? なかなかやるじゃない〜カルミナ王を落としちゃうなんてさぁ〜!

圭ちゃん顔もまぁまぁカッコいいし、ナミエルちゃんに乗り換えちゃってもいいんだよ〜?」


俺とカルミナの間に割って入り、俺の腕に胸を押し当てるように組み付き、顔を更に近づけた。


や、辞めろ!うでにしがみつくんじゃない!

俺は女の子に耐性が無いんだ……

しかし、な、なかなかに巨乳ではないか……ゴクリ。


「わ、私の婚約者に、な、何をされてるのでしょうかぁ……? ねえ、ナミエル……ちゃん?」


カルミナの声がワントーン低くなり、怒りで全身と声が震えていた。


ゴゴゴゴゴッ……

塔が揺れてる! カルミナの怒りで塔が揺れてる!


「冗談だってぇ〜もうっ、本当すぐムキになっちゃうんだからカルミナちゃんっ!そこが可愛いんだけどねっ」


ナミエルちゃんは危険を察知したのか、俺の腕から飛ぶように離れ、カルミナに上目遣いをおくる。


おっぱ、いや、失礼。ナミエルちゃんは少し問題児っぽいキャラなのだろうか。

何と言うか、ご馳走様です。


「はいはい、お2人共、再開の挨拶は済んだようですし、これより本題に入ろうと思うのですが、よろしいですか?


……では、わたくしが3日前、神話によって神からもたらされたお話をお聞かせします。」


いいタイミングでサラハさんが2人の間に割って入り、目を瞑り静かに話し出した。


一体どんな話が始まるのだろうか、俺はカルミナと目配せをして、静かにサラハさんの言葉に耳を傾けた。


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