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Chapter23 VSゴブリン軍


騎士団が輪となり、馬車の周囲を囲い守る形でゴブリンとの睨み合いになっている。

確かにゴブリン単体の戦闘力は高くはないだろう。

だが、こうも数で押されたら分からない。


よく見ると他の個体より、少し大きなゴブリンがいる。

言葉はわからないが、何やら他のやつにジェスチャーを交えて、指示を出しているようにも見えた。

ゴブリンの中にも、統率者と呼ばれるような個体がいるのだろうか。


「ガッハッハーッ そろそろ来るようだそ〜?

前衛にはワシらが出るが、騎士団で全てのゴブリンにまでは対処はできんだろう。

間を抜け出たゴブリンは君らに任せよう。

圭くんに魔法騎士さんも、我らが王の為に頼んだぞ!」


ジャックさんは馬上で腕を組み、不敵な笑みを浮かべている。これから始まる闘いが楽しみで仕方がないといった表情をしていた。


「はい、お力になれるかは分かりませんが、体を盾にしてでもカルミナを守ってやりますよ。」


革ベルトの鞘から長剣をスラリと抜き、馬車を背にゴブリン達へと長剣を構えた。


統率者と思われるゴブリンが手を挙げ、甲高い雄叫びを上げると、馬車の周囲で指示を待っていたゴブリンの大群が一斉に馬車へと向かい襲いかかって来た。


騎士団とヴァイスさんが散り散りに前へと出る。

俺とミサは馬車の外で待機し、騎士団の隙間を縫って来たゴブリンを倒す作戦だ。


「な、なんだぁ? ジャックさんの持ってる武器は……

お……斧……なのか……デカすぎだろ!?」


一瞬、俺には巨大なうちわに見えてしまったが、

それは紛れもなく巨大な斧だった。


いくらパワータイプだって限度ってもんがある。

もはや人間ではないだろあの人……


大きな声で高らかと笑い声をあげ、片手で巨大な斧を振り回し、目の前のゴブリンを一瞬で次々と殲滅してゆく。

俺は昔プレイした、何とか無双というゲームを思い出していた。


「……ハハ、いくら何でも強すぎでしょ〜!

それに、ジャックさんだけが凄いのかと、思ったけど、他の騎士団の人も相当強いぞ……

おい、ミサ。こりゃ俺達の出番は無いかもし……


って、お前何やってんだよ!」


俺は額に汗し、苦笑いを浮かべていた。ふと、ミサの方に目線をやると、ミサはしゃがみ込み何かに夢中になっているようだった。


「え? 何って、見てわからないんですぁー?

蟻の巣に、石を詰めてるんですよ!」


ミサは少しムッとした顔で、意味のわからない逆ギレをしていた。


「あー、それはそれは、お忙しいところ、すいませんでしたね。」


くそう! 何てフリーダムなんだこいつは!


その時、俺達の前と後ろの2方向から1体ずつ、

騎士団の間を縫うようにゴブリンがすり抜けてきた。


「おい、蟻の巣使い! 間違えた、魔法使い!きたぞ!

お前は、後ろを頼む、俺は正面から来る奴をやる!」


抜け出たゴブリンを視認し、正面から走ってくるゴブリンに対し長剣を構えた。


「ふっふっふ、しょぉ〜がないですねぇ〜。

この大魔法使いが相手してやりますよー!」


お? どうしたんだろうか、今日は全然ビビッてないじゃないか、ミサのやつ……

まぁいい、俺は目の前の敵を殺るだけだ!


小さな斧を持ったゴブリンが俺の目の前で止まり、

睨み合い対峙する。


「これでも食らえやぁー! ウラァー!」


先手必勝とばかりに、俺は長剣をゴブリンの頭目掛けて、全力で振り下ろす。


ガキィーーンッ


「な、何……う、受け止めた、だと? く、この……」


俺は驚きの表情を見せる。まさか攻撃を受け止められるとは想像していなかった。

ゴブリンは恐らく知能が低いだろうと、少し馬鹿にしていた節があった。


俺は、たかがゴブリンと、侮っていた。

はぐれゴブリンとは違い、明らかにこいつらの戦闘力は高い……


否! 俺が弱い!


グギィィィィイッ!!


ゴブリンは俺の長剣を小さな斧で弾き返すと、

そのまま、小さな斧を俺に向かい振り下ろした。


俺は左肩から右脇腹にかけて、切り裂かれた。

そして、その場に崩れるように前のめりで倒れた。


致命傷となる一打を与えた事でゴブリンはニタニタと笑い、俺に背中を向けながら呑気に斧を掲げ、勝ち名乗りを上げている。




ーーーよかった、ちゃんと発動してくれて……


「……戦闘中に余所見は感心しませんな? ってかぁー!

ウラァーッ!」


俺は悟られないようにゆっくりと立ち上がり、背中を見せたゴブリンに斬りかかった。ついついヴァイスさんに言われた言葉が口から出てしまった。


ザシュッ!! グ、グガァァァ……


完全に油断していたゴブリンを容赦無く斬りつける。

ゴブリンはそのまま前のめりに倒れ絶命した。


「ふぃー、肉を斬らせて骨を断つ作戦、成功だな!

まぁ、実は肉も斬れてないんだけどな。」


勝負が決まり、汗を拭い息をついていた時、俺の目の前に突如として薄紫色の魔方陣が現れた。


魔方陣が光り出し、中から何かが召喚される!

な、なんだ? 何が出てくるんだ……


出てきたのはゴブリン。

は? なんで? と、不思議な顔をしていると、

対するゴブリンも、は? なんで? と言う、何が起きているのか理解できていないような顔をしていた。


もしかしてと、ミサの方に目をやると、ミサが相手をしていたはずのゴブリンが見当たらない。


しかも、俺を見て薄ら笑いを浮かべていやがる……

あの野郎、完全にテレポートを使いこなしてるじゃねぇか!


……あれ? そういえば、カルミナがテレポートを使えるのは、どうのこうのって言ってなかったっけ……?


まぁいい、気のせいだろう。


俺はすぐ様長剣を握り直し、未だ状況を把握出来ていないゴブリンに斬りかかる。


「……っだらぁあー!」


ザンッ!! グッ、グゲェェェ……


呆然と立ち尽くすゴブリンを容赦無く、斬り捨てた。

ゴブリンは後方にゆっくりと倒れた。

俺は、ゴブリンが絶命した事を確認すると、長剣に付いた血を振り払い、革ベルトの鞘へと刺し戻した。


そこで周りを見渡すと、戦況は大きく動いていた。

と、言うよりかは、圧勝である。

残りのゴブリン達も両手で数えられるほどしか残っていなかった。

その残ったゴブリン達も次々に逃げ出し、俺達はこの状況を打破したのであった。



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