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Chapter20 異世界2日目


チュン。チュンチュン、チチチチ…


「……ねぇ! K、起きてってばぁー朝だよ〜」



「……ん? あ、あぁ……もう朝か……おはようカルミナ。」


翌朝、カルミナに肩の辺りを揺さぶられ、俺は眠い目をこすりながらも目覚めた。


俺は、元の世界の夢を見ていた。

散らかって、ろくに掃除もしていない部屋で毎日毎日

、自堕落な生活。

定職にも付かず、フラフラと遊び歩く毎日。

親戚、すれ違う人達の冷ややかな目線。


夢の中でさえ俺は、死にたいと思ってしまった。

もしかして異世界に行った事自体が、夢だったんじゃあないのか? とも考えていた。


眠る前に、もし次に目を開いた時、元居た世界に戻っていたとしたら、俺は生きていこうと思うのか?

はたまた、2度目の自殺を図るのか?


そんな事を考えながら眠りについたもんだから、

こんな夢を見てしまったのかも知れない。


目が覚めて、カルミナの顔を見た時は本当に安堵した。


「おはようーK。 今朝早くにね、中立の塔からの使者が来て、報告したい事があるから来てくれないかってお話があったのね。

天使族の人も呼んでるみたいだから、流石に私達が行かない訳にはいかないの。

だからKも、一緒に行こ?」


カルミナは話をしながら、テーブルの横にある椅子へと腰掛けてた。


「ん? あぁ、もちろんいいよ!

何せカルミナの騎士(ナイト)だからな、一応。

……って、さらっと言ったけど、天使族ってなんだ?

それに、中立の塔だって……?

この世界には天使がいるってのか?」


俺は起き上がり、あくびをしながらカルミナが座った椅子の対面の椅子に腰掛けた。


「あれ? 言ってなかったかなぁ? じゃあ、少しだけ簡単に説明するね、


まず、この世界は4つの国と、1つの中立の国で成り立っているの。

東のイルム王国、西のガルム帝国

北の天使族の国、南の悪魔の国

そして神族の生き残りが中立国。

中立国はこの4つの国のちょうど真ん中に位置しているの。


私達、イルム王国は天使族とは友好関係で、Kも知っての通り、ガルム帝国とは敵対。悪魔とも、私達は敵対関係にあるの。


ガルム帝国は、あまり交遊を持たない独立国家みたいな感じだね。

悪魔も同じく、何処とも繋がりは無くて、私も悪魔に関してはよくわからないの。


中立国は、文字通り全ての国を贔屓にしない中立の立場だねっ。


こんな感じかなぁー?」


カルミナは俺の方を見ながら、ジェスチャー混じりに説明をしてくれていた。

寝起きの頭が回らない時にはキツい話だ。


天使に悪魔に神だって?

想像以上にとんでもない世界じゃねぇかー!

いや、異世界はやっぱりこうでなくっちゃ!


「あ、あ〜、何となく分かったよ……

敵はガルム帝国だけじゃなかったんだな、悪魔が敵に回る事があるのならヤバそうだな……


それで、これからその中立国に行くって事だよな?

そこは、ここからどれぐらいで着くんだ?」


本当に何と無くしか分からなくても、分かったフリをしてしまうのが、本当に俺の悪い癖だ。


「んー、そうだねぇ〜、馬車で丸2日ぐらいだったかな?」


「へー。結構かかるもんだなー。魔法か何かで、

一瞬で行けたりしないのか? ピューンってさ。

そんな魔法とかありそうなんだけどなー。」


カルミナが2本指を立てていたので、俺の指からカルミナの指にジャンプするような仕草を見せた。


「あははっ、何言ってんのよぉ〜もぉー、

テレポート系の魔法を使える人なんて、よっぽど魔力の強大な、本当の大魔法使いぐらいだよぉ〜。」


カルミナは俺に対し、少し呆れるような笑いを見せた。


へぇ、そうだったのか。

何か最近どこかで、テレポートっぽい魔法を見たような気もするが……

まぁ、恐らく気のせいであろう。


「それでね、行くのは私とKとヴァイス、それに第2騎士団、あと、魔法騎士も1人ぐらい連れて行こうと思ってるの、あまり大勢で行っても迷惑になるだろうし、

かと言って、私達だけで行って魔物の襲撃にあっても怖いしねっ。」


カルミナは連れて行く人間を、指を折るように数を数えていた。


「んー、分かった! 所で、魔法騎士は誰を連れてくか、決まってるのか?

決まってなけりゃ、ミサの奴連れてこうぜ!」


俺は少し考え、すぐに何かを思い出したかのような顔付きでミサの名前を出す。

ミサにささやかな復讐をするチャンスだ。


「……ミサちゃん? それは何でなの……?」


カルミナさん! 顔、顔ー! 怖いっすよ!


「い、いや、俺も、知らない人ばっかりよりは、少しは知ってる人が居た方がいぃなぁ〜……って……」


カルミナのジトーッとした目線が痛い。

俺はただ、あいつのおかげで危ない思いをしたので、ささやかな仕返しができればと思っただけである。


「まぁ、いいけどねっ、プンッ」


カルミナは横を向き、頬を膨らませていた。

実に、可愛い。思わず抱き締めてしまいそうなぐらいであったが、もしそんな事をすれば俺は暴漢として、

牢に入れられてしまうのだろうか。


「よし! じゃあ、準備するついでにミサに声掛けてくるわ!」


俺は、ガタッと椅子から立ち上がりカルミナに笑顔を見せた後、元気よく部屋を出ていった。


いよいよ異世界の冒険らしくなってきたぞー!



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