第1話 こまったらだれかにつたえよう
とある国に双子の男の子と女の子がいました。
ふたりは白い羽とやさしい心をもつ天使の子です。
そんなふたりのおはなしをはじめましょう――。
♡
「ただいまー」
男の子がおうちに帰ってきました。
「おかえり! おにいちゃん……」
お部屋で本を読んでいた女の子がげんかんに向かっておにいちゃんをむかえます。
その女の子は男の子を見て、大きな声でなきはじめました。
それはひざに大きなきずがあったからです。
おにいちゃんはお友だちけんかしたことがしんぱいになったのかな?
「ユーリ、なかないで?」
「わたしはおにいちゃんがお友だちとけんかはゆるせないからね!」
ユーリとよばれた女の子は「うわーん!」となきながらお部屋にもどってしまいました。
「……ユーリ……」
げんかんにのこされた男の子は家の中に入ります。
「ジニー、おかえり。どうしたの!? そのきずは!?」
その子のお母さんがジニーとよばれた男の子のひざのけがを見て、はなしかけました。
「………………」
「ジニー、だまっていたらママはわからないわよ?」
「………………」
ジニーはだまったまま、何も答えません。
その時、ユーリがお部屋から出てきました。
「おにいちゃん、ママにちゃんとはなそう?」
「……うん……」
ユーリに言われてジニーはようやく口をひらきました。
「…………ママ、ぼくは何もわるいことをしていないよ。ぼくはひとりでいたお友だちに声をかけて、みんなであそんでいたらけがしちゃったんだ」
「そうなの?」
「うん。ほんとうだよ?」
「わかったわ。おいすにすわって、手当てをしましょう」
ジニーのお母さんはきゅうきゅうばこをたなからもってきて、きずの手当てをはじめました。
「おにいちゃん、パパとママにすなおにはなそうよ?」
「大したことじゃなかったもん」
「そうでなくても、みんながしんぱいしちゃうよ? わかった?」
「うん。わかった。ユーリにしんぱいかけてごめんなさい」
ジニーはユーリにあやまりました。
「ユーリがおねえさんみたいだね。ジニーはこれで手当てはおしまい」
「ママ、ありがとう」
「どういたしまして」
何かこまったことがあったら、なやまないでだれかにつたえることを学んだジニーでした。
2016/11/24 本投稿
2018/01/07 改稿