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H_S ~High_Spec~  作者: シキタ
4/5

人の欲望

最近運動不足のせいか体が風邪も引いてないのに重いです…

一方朱里、シルフィ、ソラの3人はもう手が届く範囲にまで八雲に近づいていた。


「(よし、まだ気付かれて居ないようだな。フッ、まだまだ甘いな古金)」


「(早く捕まえましょう先生!!こんな不審者!!)」


「(格好良さと可愛いを兼ね備えでるのね、この人!!)」


実は気付かれているのを知らない3人は好き放題言っている。だが次の瞬間動きを止めざるえない状態になった。


「 滝里さんいらっしゃるんでしょ? 」


「「「ッ!?!?」」」


こちらを見向きもせず声を掛けて来た。

その中でも姿を消せる張本人はさらに驚いた。彼女の能力名は『近くて遠い存在感』(ノン プレゼンス)その能力は【自身も含め触れた物を意識の外に置き『認知させなくしたり』誤認させたりすることが出来る】と言うもの。

ここで問題なのは『認知外』にいる筈の3人を『認知』したことだ。

この事実にソラ=アルヴァージは面白いと心の底から感じた。


「そこにいらっしゃるんでしょ?姿を消せるのはフィーさんかまたそこにいる別の方の能力ですね」


この言葉でソラ=アルヴァージは確信した。この男居ることだけでなく人数までわかっている、と。

そこまで知られては隠れても意味が無いと思ったソラは能力を解く。

徐々に3人の姿が現れる。





八雲が何もない空間に声を掛けると徐々に見知った顔と見知らぬ顔が出てきた。3人とも驚愕と言う顔をしている。

すると見知らぬ1人が話しかけてきた。


「よくお分かりになりましたわね、良ければ教えていただけないかしら?」


少し上から物を言う彼女は女王気質なのだろう。礼儀正しい純粋な日本人古金 八雲は礼儀正しい人にはちゃんと礼儀を持って接するがしない奴にはする必要が無いと心に決めている。

高圧的な彼女に少しムッした八雲は礼儀無しで答える。


「…別にあんたに話す義理は無いだろ。俺は分かった、それだけだ」


「へぇ…私にそんな態度取っちゃうんだ?知らないぞぉ?」


「やめないかソラ!ったく。古金すまんが大人しく捕まって理事長に会ってはくれないか?」


「滝里さん、それは俺に何かメリットでもあるんですか?あるんなら別に構わないけど」


取り敢えず八雲は外に出て何が何でも情報が欲しい。ここが東京の23区?なのは分かったがどういう場所なのか知り、元の世界に帰れる方法を探さなければいけなのだ。こんなところで油売っている場合では無いのだ。


「メリットか、すまん理事長には話がしたいぐらいしか聞かされていないんだ、それぐらい構わないだろ?」


「じゃあこの話は無しと言うことで。滝里さんこの出口開けてください、後は勝手に出て行きますから」


話は終わりだ、と言う風に水晶をまたペタペタと調べる。八雲のそんな態度に不満を持った者がいた。シルフィ=ドーラだ。


「男!先生が話してるのに何ですかその態度は失礼でしょ!!」


「喧しいな、自分にメリットがない話に別に興味を示さないのは普通だろう。君は見返りも無く焼きそばパン買ってこいと言われて行くか?断るだろ普通、それと同じだ。利用されるだけなんてまっぴら御免だね」


「ごちゃごちゃ五月蝿い!!貴方は黙って従えば良い話なんです!!行きますよソラ先輩!!」


「良いわよ、ちょぉ〜と痛い目見して上げる」


「コラ!待たんか!」


朱里の制止を聞かず2人は八雲を捕まえる為に行動を起こした。ソラ=アルヴァージは先程同様、姿を見えなくし、シルフィ=ドーラは手に何かを掴む様に握った。


『ほぁら!!』


「んッ!」


どこからともなく声が聞こえ、見えない何かが飛来してくる。八雲は気配を感じた除ける。除けた物をが落ちた場所を見ると拳の一回り小さな石だった。


「なるほど、石を見えなくさせたのか。厄介な能力だな」


「こっちも忘れないで頂けますか!!」


いつの間にか近くまで来ていたシルフィは何も無い手を横薙ぎに振る。


「ん!?ッッ!!??」


その動作に八雲は何か直感的なものを感じ咄嗟に腕を盾にし防御姿勢を取る。

その瞬間八雲はダンプカーにでもぶつかった様な衝撃が盾にした腕に現れ、その姿勢のまま20m程勢い良く弾き飛ばされ、花壇に激突。その衝撃で土煙が立ち昇る。


「あら?シルフィ、終わっちゃったのぉ?」


「大型車にぶつかった程度の衝撃です、まぁ骨折してるかも知れませんが」


「馬鹿者!!能力者かも分からない者にそんな威力の衝撃与える馬鹿がどこに居る!!!」


「「あっ!」」


そこで2人は気がつきハッとする。

馬鹿みたいな身体能力を持つ八雲だからこそ能力者だと勘違いしてしまった、だが滝里 朱里の言う通り本当にただの一般人。そんな男にダンプカーと同等の威力の衝撃がぶつかって軽傷で済む筈が無い。

最悪死んでいるかもとシルフィは内心焦る。

その時土煙の中から声が聞こえた。


『____♩』


「これは……」


「鼻歌ね…」


煙の中から鼻歌を歌っている者、八雲が姿を表した。着ている制服は埃だらけになり破けている部分もある。さらには吹き飛ばされた時に頭も怪我したのか血が出ている。


「これは…」


「センセ、あの人本当に人間なの?」


『___♪___♪』


八雲は歌い続ける、怪我をしている筈なのに静かに歌い続けた。


「__♪……あぁ眼鏡壊れちまった、まぁ別にいいか。ところで滝里さん」


「なっなんだ唐突に?それよりも怪我は大丈夫なのか?直ぐに治療をした方が」


突然朱里に話しかける八雲。一瞬驚きで、どもってしまった朱里だが呼ばれた事にきちんと反応を返した。


「俺は昔、虐められてたんだ中学まで。なんでか分かるか?」


それには滝里 朱里は考える。

容姿は間違いなくかっこいい部類に入り、あの身体能力から運動もかなり出来ると思う。頭だって性格だって悪くは無いだろう。そんな彼を虐める点など無い。これには朱里は正直に分からないと答えた。


「虐められる節など無いだろう?そんなになんでもできるなら何故だ?」


「…何でも出来るからだよ滝里さん」


「えっ?」


「人は自分に無い物を欲しがるんだ、それは金であったり、権力であったり、はたまた才能であったりね。じゃあ死んでも欲しい物を他の人が持ってたらそこの美人の人、貴女ならどうすると思う?」


ソラ=アルヴァージは八雲に急に話を振られ慌てて考え答えを出す。


「えっと、奪い取る?」


「そうだ、奪い取るもしくは利用しようとする。だがそれは強者だからこそ言える言葉だ。弱者が欲しい物を持ってたならそれで奪えたり利用できるけど強者よりも強かったらどうすると思う?」


話の流れからしてこれはシルフィが答える雰囲気。それを感じたシルフィは自身だったらどうするか考えた。


「私ならそこで諦めますね、どう頑張っても奪えないならやっても無駄ですよ」


力尽くでダメなら無理だ。素直に諦めるしかない。その答えに八雲は悲しそうな顔を横に振り不正解だと示した。


「なっ!何故ですか!」


「奪い取れなかったり利用出来ないと思ったら、人は排除しようとするんだ。自身が劣ってるから利用したら自身が輝けるんじゃないかと近寄るけどダメで、それなら消そうと考える」


コメント宜しくお願いします!

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