遭遇
今回はあまり時間が無く短くなってしまいました!すみません!
その頃、八雲を追う滝里 朱里とシルフィ=ドーラは水晶のある場所に向かっていた。
「さてと、この学園中の生徒には大方念話して置いた。とにかく奴の身柄を確保する方針で行くつもりだ。異論は無いなフィー?」
「…それは滝里先生の独断ですか?あれは不法侵入者です。それも男です、即刻罰を与え無くても宜しいのですか?」
「心配するな、先程理事長に事の顛末とあの異常な身体能力の事も報告して置いた三階から身体能力だけで飛び降りるのは普通では無いからな、理事長からは『その男の身柄を確保し、連れて来い』との命令も頂いたぞ?」
それにはシルフィ=ドーラは目を丸くした。理事長自ら八雲と会話する気なのだ。確かに八雲の事は不思議な事が多いがそれほどの重要な事だとは思わず驚いた。
「…了解しました。頑張ります」
「うむ、期待してるぞ」
しばらくすると白い装飾をした大きな水晶が見えてきた。そこは美しい広間になっており綺麗な花々が花壇に植えられた場所。その中央には白い美しい装飾のしてある大きな水晶が存在している。学園唯一の玄関だ。
「さて、まだ古金は来て居ない様だな?まぁ教室からここまで来るならまだかなり時間が掛かるとは思うが、もう何処かに隠れていよう」
三階から平然と飛び降り無傷な身体能力をした男なら今来てもおかしくは無い。
「滝里先生、隠れるならばそろそろ来る筈のソラ=アルヴァージ先輩の能力が1番だと思うのですけど?」
シルフィ=ドーラが丁度そう言った時、いきなり彼女の横に女性が出現した。突如出現した彼女はシルフィの耳元で妖艶に呟いた。
「もういますわよシルフィ?」
「ッッ〜〜!!やっ止めて下さい!ソラ先輩!!」
妖艶な声の持ち主、ソラ=アルヴァージ、シルフィ=ドーラの一つ上の先輩だ。純白の髪をロングにし、その目は綺麗な蒼色をしている。そして他の生徒とは違い制服着崩しその服装は露出が何かと多く、一言で言えばエロい。さらにはスタイルも非常によくエロさをさらに際立せているそれにより数少ない男性能力者の一部では女王と呼びファンクラブが存在する。ちなみに性格も外見に一致しているが彼女自身男性経験は無いらしい。
「ソラ来たか、早速で悪いがお前の能力で私達を隠してくれ」
「分かってますよ、センセ。」
そう言うとソラ=アルヴァージは滝里とシルフィの肩に手を起き静かに目を瞑った。すると背景に溶け込むように数秒程で3人の姿が見えなくなった。
見えなくなると朱里は自身の能力で2人の思考をそれぞれに分かる様に繋ぐ。これにより3人は声を出さずとも会話が出来る様になった。
「(それにしてもあの男は本当に来るのでしょうか?)」
「(出口が分からぬ以上来たざるえないだろう、…それに来なければ困るからな…)」
最後の方は小さくなり聞き取れなかった。その時会話に出ている八雲に興味を持ったソラ=アルヴァージが興味津々に会話に入って来た。
「(それでその男の子噂では身体能力が凄いらしいんでしょ?カッコイイのかしら?)」
そう聞かれ2人の頭には珍しい黒髪黒目の目つきが鋭い男の顔が横切る。確かに八雲はその性格の為元の世界では女子は牽制がちだが顔立ちは整っておりカッコイイ部類に入るだろう。
「(たっ確かに顔立ちは好みだったな、フィーはどうだ?)」
「(へっ!?えっと、まぁまぁですね?)」
「(へぇ〜、カッコイイのね。あのセンセが気に入るぐらいだから期待できるわぁ)」
「(ッ!!)」
その時シルフィは周りの空気に何かが引っかかったのを感じ取った。それはどんどん近づいてくる。
「(先生達!来ました!!)」
その言葉にシルフィ以外2人が即座に息を潜め、近づいてくるものに警戒する姿勢を取った。シルフィの言葉通り暫くすると一人の人物が現れた。勿論絶賛逃亡中の古金 八雲だ。
彼は目的の水晶を見ると嬉しそうな顔をした後慌てて周りを警戒する様にキョロキョロしていた。
その姿はあたかも警戒心の強い小動物の様だ。
「(彼奴は獣ですか……)」
「(……これがギャップ萌えという奴か)」
「(かっ!可愛いわ!!何!?あの生物!!)」
「「……」」
時間を少し遡り古金 八雲が水龍院 美岬と風見 奈津の2人と別れた後1人水晶の場所を目指していた。
「ホントにここ場所は広いな、東京ドームぐらい余裕ではいるな」
この男マラソン感覚で走っているが実際は世界陸上も真っ青なかなりの速度で移動していた。流石はハイスペック高校生。
そうこうしているうちに目的地らしき綺麗な水晶が遠目で見えてきた。
「おっ!あれっぽいな、やっとここから出られるな」
水晶のある広場に出ると、一面に広がる美しい花々に思わず思わず見惚れた。直ぐに我に帰り辺りに人が居ないか警戒する。
「…見た感じ居ないな、それにしても」
辺りを警戒するのをやめずに水晶に近づく。白い装飾のされた水晶だが、八雲の目的の出口は見当たらない。隠し扉でもあるのかと手当たり次第に触ってみる。
「うーん、忍者屋敷じゃあるまいし無いか。もしかして俺騙されたか?」
脳裏にあの美少女2人組の顔が横切る。だが別に嘘を着いている感じは全くしなかった事から本当に出口はここらしいなと1人で納得する。
「……つまり特殊な方法出ないと開かないと言うことか?はぁ…面倒臭ぇなこりゃ」
その時八雲の五感が違和感を捉えた。八雲は人よりもかなり身体能力や五感が優れている。それはもはや獣の類だ。これのせいで八雲は小さい頃苦い経験をした。
人には見えない物が見えたり、匂いが分かりったり普通では聞こえない音を聞こえたりなど。
当たり前だ。人間は自分の許容範囲外の出来事を起こされると畏怖の念を抱くのだから。
そんなハイスペックな五感に何かが引っかかった。
「(今微かに人の気配がした…)」
直ぐに周りの視界、音、匂い、直感で感じ取る。すると八雲の背後5m程に微かに気配がする。
「(1人じゃ無いな、…3人か)」
と言うことは待ち伏せされたか、と若干うんざりする。つまりあの2人はわざと出口を教え八雲を罠に掛けたと言うことだ。
憎めないねぇと軽くため息をつく。
「(と言うことは滝里さんとシルフィちゃんか。後1人は誰か分からんが、姿が見えないのはシルフィちゃんかその誰かの能力で間違いないな)」
そう考えているうちに距離は3メートル程まで近づかれたのを感じ取る。
「(さてどうするかなぁ?)」
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