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森林  作者: 二階堂刹那
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ここはどこか別の世界

自分は今夢の中にいる。それだけは確かに実感できてはいる。そんな形の夢を見ることはだれにでもあるだろう。しかしそれが毎晩であるとなると話がかわってくる。もう何度もこんな類の夢を見ている。どうせなら、夢の中くらいは自分が望むようなものを見てみたいというのが、本当のところだろう。真っ暗な風がそよいで木の葉が擦れる音、そして得体の知れない何者かにみられているような、視線を感じている。そして、この夢にこれから出てくる、あいつとまたこれから顔を合わせないといけないと思うと、もう逃げ出したくなる。疾走してやりたい。だが、いつものようにここでは思うように体が動きはしない。もうこんな夢は何度も見ている。苦しめられている。多分いつかはあいつに食われてしまうんじゃないのかとも思えてしまう。俺を毎日毎日苦しめて最後は殺してしまおうとでもいうのだろうか。少しずつ気配を感じ始めた。得体の知れないあいつが、近くまで来ている。五感がさわぐ。俺の目の前に影があらわれる。、、、、少女の姿ではあるが生きた存在なんかじゃない。霊なんて優しいものでもない。そんな軽いもんならここまで俺を恐れさせやしない。人間の嫉妬、殺意、狂気そんなもの優しすぎる。こいつの放つ妖気に比べれば。そこまで理解した上で俺はこいつと対峙する。「俺の精神世界の中まで入りこむくらいだからそれなりの目的があるんだろう。ちゃんと解るように説明しろ。毎晩毎晩、あらわれやがって。命が欲しいのか。」いつもよりも体の自由が利く。こいつの妖力に体が適用しはじめたということなのだろう。最初にこいつとであったときは、体の自由がきかないばかりか、めまいと吐き気すらした。夢の中とはいえ、縛られているような感覚さえ覚えた。でも、今となってはそんな症状なんてない。こいつも出てくるばっかりで、俺に手出しができないようだし。憑りついて命を奪えるようならとっくにそうしてるだろうし。なんとなく察してはいる。こいつは俺に存在を知らせたいのだ。しかしなんのために。見ず知らずの俺にしらせること。俺に発する信号は全く役にもたってなんかない。理解不能だ。この夢も。この景色も。ただ風がそよいでる。そして俺はこいつの声も聞けぬまま夢から覚める。



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