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精霊人に助けられ

こんにちは。著者です。

今回からやっと本編に入ることになりました。

まだまだ未熟で、見苦しい文が目立つと思いますが、楽しんでいただけたら何よりです。

それでは、どうぞお楽しみください。

「あの・・・大丈夫ですか」



 暗い意識の中、声が聞こえる。



「えっと・・・凄い怪我をしてるけど・・・もしかして、死んでる・・・」



 死んでません・・・。でも、反応するほどの体力も残っていません。


 体の所々が痛い。特に背中が燃える様に熱く感じる。

 何とか返事をしようとしたが、動いてくれない。



「い、生きてます・・・。」



 生きている事をなんとかアピールする。

 そしてゆっくりと目を開ける。

 目の前には女の子が居た。

 髪が緑色で、額には綺麗な宝石のようなものが付いていた。

 その宝石の様なものが、あまりにも綺麗だと思った。と同時に



「綺麗だな・・・」



 と、言葉を発していた。


 女性が急に赤くなり始める。



「あの、照れてしまいます・・・。」


「あ、ごめんなさい。初対面の相手にいう言葉じゃありませんね。」


「いえ、その・・・ありがとうございます。」



 ボクとその女の人の間に、妙な空気が流れる。

 お互い、無言のままだ。



「エリル、ここに居たのか。見ろ、デカイ獲物を捕まえだぞ。」



 と、女性の背後から、声が掛かる。



「兄さん。」




  ・・・・・。




 会話を聞くに、どうやら兄弟らしい。

 部外者のボクにはあまり関係の無い話だったので、今の内に立ち去ることしよう。

 体を引きずる様でだが、歩けない程でも無い。


(たしかボクは、崖の上から川に落ちて・・・ここまで流されて来たのかな。)


 周りを見渡すと、崖の様な絶壁は見当たらず、ジャングルの用な木々に囲まれた森の景色だ。

 目の前の川も、浅いものになってる。



(喉が渇いたな・・・ 川の水は綺麗だし、たぶん飲めるよね・・・)



 ボクは川の水面に手を伸ばす。

 自分の手と腕が毛むくじゃらだ。


(そういえば、あのエロじじいにこの姿に変えられたんだった。)


 思い出すと怒りが出てくる。

 そういえば、ボクの体ってどんな姿になってるんだろう。


 じっくりと川の水面に映る自分自身を見てみる。


(狼、男・・・?)


 顔は人間とはかけ離れたイヌ科の顔になり、体もイヌ科の様な毛並みで全身を覆われている。

 元のボクの姿の面影なんて一つもない。



(あ、でもちょっとカッコイイかも・・・)



 見慣れない姿に加えて、引き締まった体。毛並みも良さそうだ。

 元の姿の時に抱いていた『女の子と間違われる』というコンプレックスを持つボクには、少し嬉しい姿だ。

 できれば人間ではいたかったが、この際、これで良しとしよう。

 落ち込むよりかは、こうやってポジティブになった方が良いしね!



 半分自分に言い聞かせてる気はするが、気にしない気にしない。




「えっと・・・そこのアンタ。」


「・・・ボク?」



 振り返ると、さっきの女の子とその兄らしき人がこちらに近づいてくる。



「アンタ、獣人だろ。こんな辺境の地になんでいるんだ。しかも見る限り、結構な怪我もしてるし。」



 聞かれたので、ボクはとりあえず今の状況を話した。

 エロじじいからこんな姿に変えられて、空から落とされて、見ず知らずの山を歩いてたら筋肉の猪に追われることになって、気が付けば崖から川に落っこちた。



「アンタ、頭大丈夫か?」



 ボクも自分の頭が気になります。

 だけど、体に走る痛みが、これは夢じゃないと告げている。



「ボクもこれがウソだったら良いとおもってるところだよ。」


「まぁ、アンタがウソを付くのは勝手だし、どうでもいいけどな。」



 頭が正常な人がこの話を聞いたら、ウソの作り話と思いますよね、普通。



「とりあえず、妹がアンタの怪我を治療したいと言ってる。近くに俺たちの村があるんだ。よかったら来るか?」



 その言葉に、ボクは快諾。怪我の治療をしてくれるなら大いに助かる。



「とりあえず名前だけでも教えてくれ。アンタって言うのも変だろ。」


「ボクは『アンタ』でも良いんだけどね。ボクは恵。河野恵だよ。」


「カワノケイ? 変な名前だな。獣人はみんなそんな名前なのか?」


「・・・呼びにくいなら恵でいいよ。」



 説明するのも少し面倒だなと思い、下の名前を提示する。



「ケイ、か。その方が呼びやすいな。俺はルフト。でこっちが妹のエリル。」


「エリルです。」



 エリルとルフトが軽い自己紹介をする。

 ルフトも、エリルと同じで緑色の髪に、額に宝石の様なものを付けている。


(ルフトたちの村での習慣かな・・・。)


 まぁ特にきにすることもないだろう。

 そんなことを考えながら、ボクはルフトたちについていくことにした。












「ここから先は俺達の村になる。長老に話しをして来るからここで待ってな。」


「わかった。」



 ルフトたちが村の方向に進んでいく。

 ボクは丁度良い岩を見つけ、それをイス代わりに座る。


(ここが異世界って、あのエロじじいが言ってたけど・・・ホントに来ちゃったんだよね。)


 空いた時間で、想いに深けこむ。

 考える事は沢山あった。

 幼馴染の事。家族の事。自分の姿の事・・・。


 あ、だんだん頭が痛くなってきたぞ。

 考えるのやめようかな・・・。



「待たせたな。」



 考えるのを止めた時、声が掛かる。ルフトだ。



「いや、全然待ってないよ。」


「そうか。長老が待ってる。付いてきてくれ。」



 ルフトの後ろを付いていく。

 すると1つの小屋があった。

 村の長老が住むにはかなりボロな小屋に見える。


 ルフトが小屋に近づき、戸を開ける。



「長老、連れてきました。」


「入っておいで。」



 長老らしき人からの返事を聞き、ボクとルフトが中に入る。


 中には長老らしき人と、エリルが待っていた。



「獣人の方よ。こんなボロ小屋ですまんが、許してやってくれ。」


「いえ、怪我を治療してもらうのに、不満なんて無いですよ。」


「それは良かった。村のしきたりでな。部外者は村の中心には呼べないのじゃよ。この小屋はお主みたいな部外者のためにある小屋なんじゃ。手入れは時々しておるが、もう200年以上まともに使われてないがの。」



 つまり、部外者が来るのが200年以上ぶりって事なのか。



「エリルや、治療の準備をしておくれ。」


「はい、長老。」



 エリルが大きな布を取り出し、床に敷き始める。



「すまないが獣人の方。治療術を使うので服を脱いでおくれ。ついでに奴隷紋が無いかも確かめさせてもらうからの。」


「奴隷紋・・・? わかりました。脱ぎますね。」



 よく分からないが、とりあえず服を脱ぐことにする。

 体の形が変わってしまっているため、少し動きづらい。

 なんとか脱げた。



「獣人ってやつは変わった服を着てるんだな。」



 ルフトが横から話かけてくる。

 獣人をみたことが無いので何とも言えない。

 この世界に学生服なんてのもないと思うけど・・・。



「下は・・・どうします。」


「エリルや、少し後ろを向いておきなさい。わしらで奴隷紋の確認をするからの。」


「はっ はい!」



 エリルが慌てて後ろを向く。

 それを確認して、ボクは全裸になる。


(全身が毛だらけだから、あまり服を脱いだっていう実感がないや。)


 全裸になったボクを、長老とルフトが見つめてくる。

 奴隷紋とやらの確認をしているのだろう。



「ふむ。大丈夫なようじゃの。」


「そうですね。後ろ側にも奴隷紋は見当たりません。」


「すまんな。獣人の方。どうかそのままそこに敷いてある布に、うつ伏せになってくれぬか。見たところ背中が一番怪我が酷いようじゃから、そこを重点的に術を施すことにする。」


「わかりました。この布ですね。」



 確認が済んだようだ。

 ボクは言われるがまま、長老の前に敷いてある変な模様の布にうつ伏せになる。



「それでは、はじめる。エリルは補佐を頼むぞ。」



 そういって長老とエリルは、ボクの横に来て何かを唱え始めた。



「ル・ミラノ・ラ・・・・」



 何て言ってるのかが聞き取れない。


(これが治療術・・・?あのエロおやじが、魔力やらなんやら言ってたからもしかしてと思ったけど、これが魔法なのかな。)


 そんな考えをしていると、背中の痛みが柔らにでいくのが分かる。



「よし。こんなもんじゃろ」


「成功してよかったです・・・」



 長老とエリルが一段落着いたらしい。 

 背中に痛みが残るものの、治療前とはだいぶ違う。かなり楽になった。



「ふむ。さすがにあの大きな怪我じゃと、背中に跡が残るの。」


「ありがとうございます。かなり楽になりました。」


「まだ安静にしておくのじゃ。傷は塞いだ程度しか治っておらん。」



 さすがの魔法も完璧ではないのだろうか。



「さて、獣人の方よ。いくつか聞きたいことがあるのじゃが、よろしいかの。」


「ボクに答えることが出来るのであれば。」



 それからはボクは服を着て、日が暮れるまで長老からの質問攻めにあった。

 うんざりするぐらいだ。


 実際、うんざりしているのでここは簡潔にQ&Aで表してみようと思う。




 長老からの質問。

Q、なぜここに。

A、エロじじいの仕業です。


Q、何が目的ですか。

A、エロじじいの仕業です。


Q、エロじじいとは誰ですか。

A、自分で自分の事を神様と言う人です。


Q、あなたの頭は大丈夫ですか。

A、いいえ。大丈夫ではないかもしれません。





 等など。

 それ以外にも沢山聞かれたが、基本的にはこちらの目的が知りたいらしい。

 こんな辺境な地にわざわざくる程の用事があるのか、気にしているみたいだった。

 そんな用事なんてまったくない。ここにたどり着いたのはホントに偶然なのだから。

 いまいち信用されて無いところがあるが、質問攻めした事で長老もなんとか納得した様だ。



「話をまとめるに、信じがたいがお主は異世界から来たということになるのかの。」


「そうですね。ですので、長老さんが気にしている様な『目的』の様なものはありません。」


「ふむ・・・。お主の目を見る限り、ウソを付いてる様には思えんの。異世界から来たということはひとまず置いておいて、悪意が無いことは信じよう。」


「悪意を持ってあなた達に近づく人たちもいるんですか?」


「そうじゃの。わし等の種族は、他の種族から命を狙われることもある。主に魔族からだが。」



 この世界には魔族もいるのか。

 エリルやルフトたちがもしかしたらって思ってたけど、ボクの予想は外れたらしい。



「えっと。どういった理由で狙われるのでしょうか・・・。ボクはこの世界について、まだ知識が全然無いのでよければ教えてもらえないでしょうか。」



 長老は少しの間、黙り込んだ。

 そして、ゆっくりと口を開く。



「わしらは精霊族の精霊人という種族じゃ。精霊人が魔族から狙われる理由は、わしらの額や体に埋め込まれているこの命玉(めいぎょく)という結晶が目的じゃ。」


「命玉・・・。すごく綺麗な宝石だと思ってました。」


「精霊人は生きている間、この命玉少しずつ魔力を蓄える性質を持つのじゃ。」



 魔力を蓄える・・・。



「魔族達は研究や魔術の開発、あるいは戦争のために、多大な魔力を必要としている。魔力を手に入れるには、わしら精霊人を殺してこの命玉をてにいれるのが一番手っ取り早いのじゃよ。」


(物騒な話だ。戦争や研究のために命を狙われるだなんて・・・。)


「この世界にはいくつかの種族が存在する。わしが知っておる種族は、お主の様な獣の姿をした獣族。話に出てきた魔族。わしらの精霊族。そして最後に人間族じゃな。」


「この世界にも人間っているんですか?!」



 よかった。異世界だからてっきり精霊や魔族って種族ばっかりだと思ったけど、ちゃんと人間もいるんだ。と思っていたが・・・



「そうじゃの。600年程前の戦争で、人間族が魔族や獣族たちに戦争を吹っ掛けていたの。その戦争でどうなったかはしらん。魔族よりも魔力に劣り、獣族よりも力で劣る彼らじゃが、数だけは人間が多かったからの。土地を求めて戦争になったと聞いておる。」



 人間、結構多いのか。ちょっと安心した。



「わしら精霊族は、戦争に巻き込まれるのを避けるために、400年程前から、他の種族と関わりをもたないように生活してきた。」


「400年も・・・。」


「幸い、この周りには自然が豊富じゃ。森の恵を分けてもらっておるので生活には不自由はしておらん。若い者の中にはこの山を出たがる者もおるがの。」




 きゅるるるぅ~・・・・。




 長老の話を聞いてる最中に、お腹の虫が泣き声を上げた。



「おぉ、話が長くなったの。」



 ボクのお腹の音に長老が気付き、話を打ち切ることに。

 もう夕日も完全に隠れて、あたりは真っ暗になっている。

 村の明かりが少しだけ映る程度だ。



「ケイさんや、今晩はここで休んでいっておくれ。村の外れで明かりが少ないが、屋根と寝床はあるからの。晩ご飯も用意させよう。」


「ありがとうございます。」





 晩ご飯は、ルフトが狩りで仕留めてきた獲物を、軽い香辛料であぶったものだった。

 すきっ腹に肉は嬉しい。血も足りてなかったので、これは助かる。



 長老とルフトたちと軽い会話をしながら食事を取り、お腹が満たされると、次は睡魔がやってきた。

 長老たちも、自分の家に帰っていく。

 藁を敷きつめた簡易なベットが置いてあったので、そこに体を投げ込む。


(疲れた・・・。寝床に体を倒すと、すごく落ち着くな・・・。)


 異世界にきて、まだ数時間程度の感覚ではいるが、体には相当疲れが貯まっていたみたいだ。


(今日はゆっくり寝よう。また明日、長老やルフトたちから話を聞かせてもらおう。)



 そうやって寝ることを決めると、あっという間に意識を手放した。

ここまで読んで頂きありがとうございます。

今回は精霊族の精霊人が登場しました。ルフトとエリル、長老の3人だけですが・・・。主人公が異世界にきて最初に訪れる村が、この村という形になります。

これからどんどん異世界の文化や技術に主人公が触れていき、主人公が成長していく様をどうかお楽しみください。

次のお話は5話目となり、すでに原稿は半分ほど出来ておりますので、次も割りと早く投稿できる見込みです。

どうか次のお話も、見てやってください。


※本文ですが、私のほうでも投稿前に一度確認をしておりますが、まだ認識が甘い部分もございますので誤字や脱字等があるかもしれません。気付いた箇所や気になった点などがございましたら、ご指摘ください。


それでは、次回もどうかよろしくお願いします。

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