プロローグ2
こんにちは。わりと早めに投稿できて安心している著者です。
3話目の「プロローグ2」になります。
それでは、お楽しみください。
「気持ち悪い・・・」
朝、ボクは船酔いにでもあったような状態で目を覚ます。
(クスリ、効いてなかったのかな・・・)
体の痛みは薄れてはいるが、やはり所々が痛い。
完全に風邪のようだ。
体温計で熱を計ってみる。
36.7℃
ボクは平均体温が少し高いので、このくらいは微熱にもならない。
今日は月曜日。学校どうしようかな。
「恵、具合はどう・・・?」
学校を登校するか休むか迷っていると、扉から声が掛かる。
母親が心配して様子をみに来てくれた。
昨日、水浸しの状態で帰ってきたのをずっと心配してたらしい。
「大丈夫だよ、お母さん。熱も出て無いし学校に行くよ。」
ボクは、母親に心配をかけるのが嫌だったので、少し気丈に振舞う事に。
小さい頃、この体質と体の弱さが重なって、学校にすら行けない状態が続いた時期があった。小学校くらいの時の話だけど。
中学校くらいから、体を鍛え始めることにして、父親の弓道、天城先生の長刀、それに母親の茶道と、習い事をできるくらいには丈夫になった。親戚や両親が先生だったから安心して修練にも励めたのも大きい。
もう小学校のころみたいに母親にも父親にも心配ばかりは掛けれない。
と、誰かに説明するように自分の過去を思い出す。
良い思いでばかりって訳じゃないけどね・・・。
心配する母親を安心させ、学校に登校する準備をする。
(早いけど登校しよう。机にうつ伏せで倒れてれば少しは楽になるだろうし。)
日ごろ登校している時間よりも早めに登校することになる。
(あ、携帯の充電、切れっぱなしだった・・・)
携帯の充電機が壊れてるのを忘れていた。
動かない携帯と分かっていても、ポケットに入れてしまう。
現代人の性だよね・・・。
と、誰かに言い訳をし始める。
準備を終え、自宅を出る。
無理はするなよ。と玄関先で父親からも声が掛かけられたが、心配性だなと思う反面、嬉しい気持ちがあるのは内緒だ。
今の時刻は7時を少し過ぎたぐらい。
(この時間だと、委員長がもう登校してるな。小乃香たちにメールを打たせてもらおう。)
たぶん小乃香達が心配しているだろうし。
登校中、ふらふらとする体をなんとか動かし、通学路をゆっくりと進むことにした。
(今、いつもの体質の性で何かあったら対処できなくて死んじゃうかも・・・。)
と、軽い冗談を自分の中で言いながら登校した。
特に何かの不幸に合わず、学校に登校できた。
正直、体調は最悪だ。
教室には数名、すでに登校している。
が、まだまがHRまでは時間がある。
(家から近い学校を選んでてよかった~)
体調が悪い時に登校すると、誰もが思うことだろう。
ボクがこの学校を選んだのは、仲の良い幼馴染たちが全員この学校を受験することにしたから、ボクもそれに合わせただけだ。
「恵、顔色悪いぞ。昨日の水浸しの件で体調崩したのか。」
席に着くと、委員長の野村光輝から声が掛かる。
あ、ついでに説明すると、この光輝も幼馴染の1人だ。
特徴は・・・変態?っぽい人。いや、変態と断言できるな。
他人の前だと、マジメな委員長なんだけど、ボク達幼馴染グループで行動するときは変態行動にでるんだよね。
あ、話が反れました。ごめんなさい。
「なんで光輝が知ってるの?昨日居なかったじゃない。」
「あぁ、小乃香からメールが来ててな。もし今日、恵が早めに登校してきたら体調に気を使ってやってくれだとさ。」
小乃香には頭があがらないなぁ。
心配をさせない様にメールしようと思っていたのに、すでに心配をかけてしまっていた。
「もうすでにメールの返信しておいたぞ。恵が登校してきたって。」
「ありがとう、光輝。」
「まだHRまで時間がある。保健室で横になっておくか?委員長権限で許すぞ。」
「委員長権限ってのが気になるけど・・・そうだね。保健室に行ってくるよ」
「おんぶしてやろう。」
「ヤダ。自分で行くよ。」
そんな会話をしながら、結局保健室まで付き添ってくれる光輝。
保健室に着いたが先生いない。
「職員室にいって、保健室の先生に許可を得てくる。恵はもう寝てろ。」
そういって 光輝が保健室を出て行く。
正直、もう限界に近い状態だったので、光輝に感謝をしながらすぐにベットに横になる。
(やばいな。こんなに体調が悪くなるなんて、ここ最近はなかったから油断してたのかな。)
予想以上に体調が悪いことに、少しあせりを感じている。
HRまではまだ1時間ほど余裕があるが、体調次第では1時間目まで休むことも考え始めた。
そしてボクは、意識を手放した。
「うぅ・・・・」
凄い頭痛に、ボクは目を覚ます。
額には嫌な脂汗がびっしりだ。
吐き気も来ている。最悪な気分だ・・・。
「・・・起きた?」
ベットの前のカーテンが開けられる。
そこには心配した顔をしている小乃香が居た。後ろには光輝も一緒だ。
「恵のお父さんとお母さんに連絡したんだけど繋がらなくて、仕方なくここで寝かせてたのよ。体調が悪いなら病院にいく?」
小乃香が携帯を出して、ボクに聞いてくる。
「そうだぞ、恵。お前は無理するの得意だから、みんな心配するんだ。」
光輝まで心配している。
「・・・・・・(心配かけてごめんね。)」
あれ?
声が出せなかった。
だがそんなボクに気付かずに、小乃香が続ける。
「他のメンツも、部活終わってこっちに向かってるんだってよ。」
「・・・・・(あ、そうなんだ。)」
また、声が出せない。
喉がすごくカラカラに渇いている。
それに、声を出そうとすると、激しい頭痛が起こる。
こんな症状の病気なんて聞いたことない。
それでも、ボクは無理矢理声を出してみることにした。
「っ・・・・」
もう一度。
「っっっ・・・・・」
その様子に、二人も気づく。
心配の声をかけられるが、それは耳に入って来ない。
「っっっっ・・・・・・・っっ・・・・・くっっ」
あと少しで声が出せそうだ。
「っっっっ・・・・このっっっ・・・」
やっと出せれた!! と、思った時だ。
ボクの体が光り始めたのだ。
体から痛みが消えるような感覚。
その後に続く、激しく鳴り響く轟音。
爆発でもしたのだろうと思うほどの激しい音だ。
何が起こったのかわからないまま、真っ白な光に包まれた。
気がつくと、真っ白な場所に立っていた。
まったく見覚えの無い場所。
一瞬、病院かとも思ったがすぐに違うと分かる。
ドコを見渡しても真っ白で、病室の扉なんて見当たらない。
「ここは・・・?」
「やっと目覚めたか。苦労したぞ。お前の体の破片を見つけるのわ。」
(え・・・ どこから声が・・・)
ボクはドコからか聞こえる声を探す。
おじいさんの様な声だ。
「あの、どこに居られるのでしょうか。姿が見当たりませんが・・・」
「わしに姿なんぞ無い。そなたが思い描く姿が、わしの姿になるのじゃ」
言っている意味が分からない。
このおじいさん、17歳の高校生相手にかくれんぼでもやっているのだろうか。
歳を取ると、精神年齢が後退するって聞くけど、、たぶんそれだろうか。
「そなた、だいぶ失礼なことを考えておるな。」
「えっ・・・そんな・・・」
「この場所では、そなたの考える事なぞお見通しじゃ。ハッキリとわかる程でも無いが、失礼なことを考えてるのは分かるわい。」
「あの・・・ その、ごめんなさい。」
「うむ。素直な娘は好ましいのう。」
ん・・・ 聞き間違えかな。
とりあえず謝る。失礼なことを考えていたのは当たっていたのだし。
でも、そうなるとこのおじいさんの声の人がどんな人なのか、ますます分からなくなる。
「仕方ないのう。そなたが目覚める前に居た者が、思い描いた姿で現れてやろう。」
と言いながら、ボクの前に姿が現れる。
ドロン。といった感じで。
現れた人は、脂ぎった顔に、中肉中背、下っ腹が出ているおっさんだった。
うん。これは少しキモイ。
ボクが目覚める前に居た人ってちょっと失礼じゃないかな。こんな姿をイメージするなんて。
「あの、前に居た人って、誰なんですか?」
気になって聞いてみた。
「数名おったが、印象に残っとるのは小乃香とかいう娘じゃな。ギャーギャーと騒いで五月蝿かったので、お主以外、全員仲良く退場願ったわ。」
別におじさんの好みを聞いているわけじゃないんだけど。
でも、小乃香達がここに居たって事はどうゆうことなんだろう。
ここは病院じゃない、と思う。変のおじさんが居る。出口が見当たらない。
ここ、どこ・・・?
ダメだ、どんどん混乱してきた。
ってか姿が変わるおじさんって何だよ。普通に考えておかしいし、小乃香達の行方も気になる。
「だいぶ混乱してきてるようじゃの。慌てるでない。時間はあるのじゃからゆっくり理解してゆけ。」
「あの、できれば早く自宅に帰りたいんですけど・・・。家族が心配しておりますし。」
「帰るのは無理じゃ。お主はここで過ごすのじゃ。」
えっと・・・ もしかして、新手の誘拐?
「ふむ・・・少し分かりやすく説明してやろう」
やっと説明してもらえるのか。
もったいぶらずに最初から説明してくれれば良いのに。
「簡潔に言うと、そなたは死んだのじゃ。ここはそなたら人間が『あの世』という所に近い場所になる。」
今、死んだって言わなかった・・・?
「死の原因はわしのミスでな。別の世界の異物を、そなたが居る地球に落としてしまったんじゃ。そなたが先日、大量の水を浴びたじゃろう。あれじゃ。」
あの水はおじさんが犯人か!!
「あれは『キメラの涙』というなものじゃ。あれを少量でも飲むと、体中の魔力が増大に膨れ上がり、最後は爆発するという物じゃ。」
は・・・? 魔力・・・? 何言ってるんだろこのおじさん。
正直、ボクにはこのおじさんの言ってることが世迷言にしか聞こえない。
そんなボクの思考を気にもせず、説明を続ける。
「体中の血液が、地球で言う『ニトログリセリン』の様な物になる。と考えていい代物じゃな。少量でそれじゃ。大量に浴びたり飲んだりすると、例え魔力の概念がない地球でも十分に発揮しおった。それでそなたは、周りに居た者も巻き込んで爆発したのじゃよ。その後はそなたらの欠片を集め、一人一人にこうやって謝っておるのだ。」
「つ、つまり・・・おじさんの言葉を信じるのなら、おじさんのミスが原因でボクの体は爆発物に変化し、小乃香達を巻き込みながら爆発して死んじゃった。ってことであってますか・・・?」
「うむ」
ダメだ。整理もつかなければ、冷静にもなれない・・・。
第一、謝罪の言葉、まだ一回ももらってませんよ!!
このおじさん、一体何を考えてるんだ。
あなたは死にました。って言われても、実際ボクはこうやってここに生きてる訳だし・・・
って・・・ あれ・・・
なんで髪が長くなってるの?
ボクの髪はもっと短かったはずなのに、今は腰の辺りまで長くなってる。
「気付いたか。わしの力でそなたの意思を集める時に、髪を長くしておいた。サラサラのロングヘアーじゃぞ。わしは髪の長い娘のほうが好みでな。これからわしと一緒に過ごす事になるのだから、ちと弄らさせてもらったぞ。」
「言っている意味が分かりません。何でボクがあなたと一緒に過ごす事になるんですか!」
「わしと一緒に過ごすということは、地球の人間にとっては栄誉のことなんじゃろう。神様の隣ですごせるのだからな。」
この人、自分の事を神様だなんて言ってるよ。
どうみてもキモデブオヤジだろ。
さっきからこっちをみる目線がエロイことに気付いてるんですけど。
「それは人によります。ボクはそんなこと全然栄誉になだんて思ってません!!むしろ迷惑です。」
「そう怒るでない。髪が長くなるのはいやだったか。それでは胸を大きくしてやろう。」
会話のキャッチボールが出来なくて、とうとうボクの怒りが有頂天に達した。
「だ か ら ! そういうんじゃないって言ってるだろこのキモデブオヤジ!!」
言っちゃった。もう止まらない。
「第一に、ボクは『男』だ!!さっきから何か勘違いしてませんか?!胸を大きくだなんて、むしろやったら尚更怒ります!!」
「お、おとこ・・・じゃと・・・?」
「勘違いだと気付きました? だから早くもとの髪に戻してください。」
「ボクっ娘だと思って気にかけてやったのに、男じゃと。髪もサラサラに変えてやったのに、男じゃと。このわしを謀ったのが、男じゃと・・・。」
「聞いてます?早くもどして小乃香達のところに返してください。」
このおじさん、ホントに会話のキャッチボールが出来ない人だな。
さっさとこんな場所から帰りたい。
「貴様。よくもわしを謀ったな!!大体、なぜ男がそんな可愛い顔をしているのじゃ!間違われたくなければ身長をあと10cmは大きくしておれ! その姿じゃと完全に女子ではないか!!」
おじさんが切れ始めた。
何言ってるのこのおじさん。
「身長はではどうにもならないでしょう!それに勝手にこの髪にしたのそっちでしょう!あと人がコンプレックスに思ってる顔のことを逆ギレしながら文句言わないでください!勘違いしたのはそっちです!初めて会う人から謀ったっていわれるほうが心外ですよ!」
おじさんの逆ギレで、口喧嘩のゴングがなりました。
こうなったら、神様だろうが仏様だろうが関係ない。
どんな人でも小学生の頃に、身体的特徴を悪く言っちゃいけないってならったでしょう!
それすらできないおっさんに、もう敬語なんて使わなくていい。
言いたいことを全て言ってやる!
お互いに会話の成立しない、言葉のやり取りをする。
でも、ボクが間違ってることを言ってるわけじゃない。あのおじさんが勝手に騒ぐのだ。
そんな口喧嘩がヒートアップしてきた時、おじさんが痺れを切らした。
「その様に自分の姿にコンプレックスがあるのなら、そなたの望む姿に変えてやろう。」
「だから、元に戻せばそれで良いっていってるでしょう!」
そしておじさんが指を鳴らす。
パチンッ と乾いた音が鳴った。
ドロン。というような煙が、ボクの体を包む。
やっとコレで元に戻れる。あとは小乃香たちのところに行くだけだ。
「くっくっく。」
おじさんが嫌なニヤケ顔でこちらを見ている。
「えっ・・・ この姿って・・・」
自分の姿が変わった。
元の姿よりも男らしく、人目で男性だとは分かる・・・と思う。
鏡が無いので自分の体を弄る様にする。すると筋肉が盛り上がっているのが分かる。ムキムキってほどでは無いけど、元の姿にくらべたらかなり大きい。
ただ、かなり毛むくじゃらなのだ。
動物のような毛並みが、体中にある。
ボクが混乱していると、突然おじさんが笑い出しながら
「そなたの望みどおり、男らしくしてやった!あとはあの騒がしい娘達と同じ場所に送ってやれば問題ないのじゃろう。早速おくってやろう!」
「ちょっ・・・こんな姿は望んでなんかっ」
最後まで発言できない。
いきなり足場の感触が無くなったのだ。
「そなた達には、せめてものお詫びとして、異世界に送ってやろう。有り難く思うのじゃぞ。ハッハッハッハッハッ・・・・」
高笑いな声が聞こえなくなる。
あのおじさんが消えていった。
それと同時に、急に真っ白な景色が色鮮やかものに変わる。
そしてボクは・・・。
皆さん、ボクは今どこにいるでしょう。
あ、今雲を突き破った。 雲って上に乗れないんだね。 知ってた?
正解は、お空の上でした♪
「ぎぃぃぃぃぃぃやぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
見っともない声を上げながら、ボクはこの異世界とやらに落とされた。
これが、ボクにとっての 異世界での『始まり』である。
ここまで読んで頂きありがとうございます。
次の4話目から本編に入れそうなので安心しております。
今回の主人公は、あのオヤジに振り回されて冷静さを完全に失っていて、少し曖昧な認識や表現がある。という所だけ、意識して書きました。
説明不足な部分や詳細が分からない部分は、本編で判明していきますので、気になる方は、どうか今後も読んでいただけたらなと思います。
今回もまた、見苦しい文が多々ありますでしょうが、ご指摘などを頂けたら嬉しいです。
どうぞ、よろしくお願いします。