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プロローグ1

2話目からがプロローグとなります。

登場キャラクターが2話目に対して少し多いと思いますが、読者さんに読みやすくしようと思い、主に発言するキャラクターは主人公と、後2人程です。

それでは、よろしくお願いします。

 朝、目が覚める。


 おはようございます、皆さん。

 ここは天国でございましょうか。


 あ、自分の部屋らしいですね。

 少し安心しました。




 と、寝ぼけて、整理のつかない思考を覚ます。

 何を考えてたんだろ、ボク。

 昨日は遅くまで借りてきた映画を友達と一緒に見てたんだけど、途中で眠たくなってベットに潜ったところまでは思い出せた。

 友達は・・・なんでボクのベットに一緒に入ってるのかな。



「おーい。朝だよ、起きて。」



 ゆさゆさと友達の体をゆする。

 なかなか起きないな。


 仕方ないので起こすのを諦める。

 まだ起こさなくても問題ないだろう。

 友達の寝顔を覗き込む。

 茶髪にピアス等のアクセサリーを着け、他人が見ればちょっと怖いイメージが浮かんでしまうが、顔が整っててかなりのイケメンである。


 こいつはボクの友達の大谷棟冶(オオタニトウジ)だ。

 小さい頃からの付き合いもあり、捨てがたい信頼できる親友だ。

 今では学校ではあまり関わらなくなったけど、休みの前などはこうやって一緒に過ごすことも多い。


 そんな棟冶の顔を覗いていると、部屋の扉の方から声が聞こえる。



「恋する乙女になってるわよ。(ケイ)


「ちょっ、そんなんじゃないって!」



 慌てて振り向くと、扉の隙間からニマニマといった表情で顔を出している姉がいた。

 姉の河野雪枝(カワノユキエ)だ。



 あ、そういえば自己紹介がまだだった。うっかりしてた。

 ボクは河野恵(カワノケイ)

 自分の容姿に少しだけコンプレックスを抱く、どこにでも居そうな高校生です。



 誰に向けてか分からない自己紹介を終える。まだ寝ぼけてるのだろうか。



「そんなに一生懸命否定しなくても分かってるわ。でも、棟冶君ってイケメンだし、恵が見とれちゃうのも無理ないわ」


「ホント、カッコイイよね。棟冶って」


「恵がその台詞を言ったら、ちょっと洒落じゃないんだけど」


「棟冶がカッコイイのはホントの事だし」

 


 姉から少し冷たい視線を送られるが、棟冶がカッコイイことには変わりないので、視線をスルーすることに。


 

「はいはい、ご馳走様。ところでもうすぐお昼だけど、棟冶君と恵、どうする?一緒に食べるなら用意するけど」


「いや、このあと棟冶を起こして、小乃香と交流する予定だから要らないよ」


「いつもの子ね。わかったわ。」



 そう短く言って姉は扉を閉めて去っていった。



「さて、小乃香と待ち合わせしてるから、遅刻する前に棟冶を起こさないとね」



 棟冶は起きてすぐだとなかなかエンジンが掛からないタイプなため、皆との集りの事を考えて少し早めに起こすことにした。












「ごめん!またせちゃった・・・」


「遅い!!」



 結局、棟冶を起こすのに手間が掛かり遅刻してしまった。

 慌てて走りしながら小乃香が待っている所にむかったのだが、怒りの一言を貰う。


「悪い、寝坊した」


 ボクの後をのんびりと歩きながら着いてきた棟冶が軽く謝る。


(棟冶のせいで遅刻したんだからもっと必死に謝ってよ!!)


 と思いはしたものの、待っていた側からは遅刻には変わらないので言い訳に聞こえると思い、発言はできなかった。



「まぁ棟冶が遅刻するのはいつもの事だし、諦めてるけど。でも連絡くらいしなさいよね。携帯あるんだし」



 小さなクローバーのストラップを着けた携帯を片手に、小乃香がボクの前に来る。

 天城小乃香(アマギコノカ) ボクの幼馴染の1人だ。



「ごめん小乃香。充電機につけてたんだけど、充電されてなくて電池が切れてたんだよ。たぶん充電機が壊れてるんだと思う」



 棟冶を起こすのに手間取っていた時に連絡を入れようと思ったんだけど、その時に電池切れをしていて動いていない事に気がついたのだ。

 タイミングが悪い。



「恵ならありえるわね」



 と、諦めと呆れた表情で一言。

 

 ボクの事をあまり知らない人に説明するならば、ボクはあまり運の良い人間ではないということだ。

 むしろ悪いと断言できるな。うん。



 おっと、まだ寝ぼけてるのだろうか。一体誰に説明しているのだろう。

 寝ぼけているついでにこの天城小乃香の紹介しておこうかな。


 家が近所で、小さい頃からの付き合い。腐れ縁だ。

 小乃香の父親が、長刀の道場の先生であり、ボクはそこにも通っている。 


 ボクと棟冶と小乃香は小学生からの付き合いでもある。

 他にも幼馴染として小学校からのボクらと付き合いが長い奴もいるが、今日はこの3人だけだ。


 ふぅ。どうやら今日のボクの思考は絶好調らしい。このまま一気に飛ばしていこうかな。

 と、若干テンションが高い。



「とりあえず、恵のいつもの事はほっといて、そろそろ道場に行きましょう。妹ちゃんの番が終わっちゃうわよ」



 小乃香の言葉で我に返る。

 いったいボクは誰にむかって説明してるのだろうか。小乃香の言葉がなければこのままダラダラと幼馴染の説明だけで1話まるまる潰してしまいそうなので、止める。




 今日集ったのは、ボクの妹の河野倖(カワノサチ)が弓道の大会に出場するので、それの応援のためだった。

 倖はボクとは違い、弓道の道場に通ってる。

 まぁ、弓道の先生が、ボクの父親なんだけどね。

 

(友達の妹のために応援に来てくれるなんて、ボクは良い友達に恵まれてるな)


 しみじみと、友達の存在を実感する。


(ボクの事はほっといて、っていう言葉は聞かなかった事にしよう。うん。)

 



「んじゃ、とりあえず移動しましょう。そろそろ大会の方も午後の分になるだろうし。このまま応援に間に合わなかったら、恵が怒られるわよ。」



 小乃香がそう言って、先導し始める。


(倖の応援、間に合いそうだな。よかった・・・)


 棟冶の寝坊により、本来はお昼の休憩時間あたりで道場に到着するつもりだったのだが大幅に遅れている。

 

 そうやって、ボク達は軽い会話をしながら道場に移動し始めた。












 道場に着いた時には、すでに午後の分の後半にさし当たっていた。

 応援に来るのが遅いと妹から小言があったが、その場で謝り倒して切り抜ける。

 妹の番がやってきた。

 今日は調子が良いのだろう。

 的を正確に射抜いてゆく。

 見ている分でも安心できるほど安定している。

 ボクも一応弓道を習っているが、長刀の方を重視しているため弓道の大会などは出たことが無い。




 他の選手等も見ながら幼馴染たちと観戦をしていると、いつの間にか午後の分も終わり、妹の優勝が決定した。

 表彰式が行われているなか、ボクは一人、席を立って外に出ていた。座りっぱなしでお尻が痛くなったから。

 外に出て、背伸びをしながらつぶやく。



「倖、ほんとに上手くなってるなぁ。練習がんばってたしな・・・」



 妹が練習を毎日頑張っていたことを知っているボクとしては、努力が結果に伴っているという事実に喜びの感情が溢れる。



 そんな事を考えてる時、頭上から何から落ちてくる。

 空を見上げてみると、バケツでも引っくり返したような、水の塊が落ちてくる。



「え・・・」



 咄嗟の事だったため、体の反応が追いかない。

 ボクはその水の塊を、顔から全身に掛けて浴びる事になった。



「・・・。  冷たい・・・。」



 呆然と立ち尽くす。

 今の季節は春先となっているが、まだ少し寒さの残る気温。

 そんな中で全身に水を浴びて濡れてしまうと、さすがに寒い。

 しかも、他の観客に来ている人達からの視線も合わさって、尚更居たたまれなくなる。


(なんで空から水が降って来るんだよ。バケツでも引っくり返したのか。)


 再び上を見てみるが、道場には2階など無い。

 どこから降ってきたのが分からない水の塊に悪態を着きながらもしぶしぶ道場に入っていく。


(道場で誰かからタオルを借りよう・・・。今日もついてないなぁ。)


 日ごろから運の無いボクにとっては、これが日常のようなものだ。



 道場に入ると、水浸しになったボクの姿を見て、幼馴染達が駆けつけてくれる。



「恵、あんたどうして濡れてるのよ。」



 心配してくれたのか、小乃香がタオルを片手に聞いてくる。



「いつものことだよ、小乃香。」



 ボクは苦笑いをしながら事情を説明する。

 幼馴染二人は心配しているとも、呆れているとも取れない表情をしてボクの事情を聞き入る。

 好きで水浸しになったわけじゃないのに。



「フェイスタオルじゃ足りないわね。風邪引くのもいけないし、先に帰ったら?表彰式が終わったら、私から倖ちゃんに説明しとくわよ」



 小乃香がそんな提案をしてくる。



「そうだね、このままだとちょっと寒いや。先に帰るね。倖に伝えといて。」



 それぞれ、幼馴染達から心配の声を掛けられながらも、あまり心配を掛けるのも良くないと思い、ボクは先に自宅に帰ることにした。

 幸い、この道場から歩いて15分ほどの距離だ。すぐ着くだろう。




 帰宅途中、寒気が襲ってきた。


(風邪、引いちゃったかな。帰って早くお風呂に入りたい・・・)



 自宅に帰りついた時には、すでに間接の節々が軽く痛くなり始めていた。

 風邪の症状に近い。


(これはヤバイな。お風呂に入って体を温めたら、今日はもう寝ちゃおう。)



 湯船で体を温めた後は、長湯をせずにすぐに上がる。

 体を拭き、髪を乾かした後はすぐにベットに入る。

 風邪薬を飲むのも忘れていない。


(そういえば、母さんが濡れたボクの姿を見て心配していたな。クスリも飲んだし、ぐっすり寝たら明日には回復してるだろう。)




 そしてボクは眠りに落ちていった。

 この時、ボクの体に異変があることにまだ気付かずに・・・。


読んで頂きありがとうございます。

プロローグは今回の2話目「プロローグ1」と、次回の3話目「プロローグ2」で終わりで、4話目からが本編となる予定です。

3話目も出来るだけ早く投稿し、プロローグを終わらせて本編に行きたいと思います。


今回、登場したキャラクターが複数いましたが、本編に入るまでさして大きな存在でもないので、表現のしやすい子「天城小乃香」をメインに発言させております。

キャラクターの登場が2話目から多いよ!!と思う方は、小乃香だけ頭に入れていただければ良いと思います。

また、加筆途中でプロットに少し変更点を入れたため、一度全体的に書き直した部分があります。その為、表現がおかしい箇所があるかもしれません。お気づきになった方は、指摘いただけると嬉しいです。


見苦しい文ではございますが、よければ次回も読んでいただけたら幸いです。

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