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俺と魔王と勇者と  作者: 逆さメガネ
現代生活編
6/78

能力検証その後

<なあ、今日もいくのか?>

「ああ、行く」

<よくも飽きないもんだな>



 俺の頭上を漂いながら、うちの魔王少女ミリーが呆れたように言ってくる。

 ミリーは、今日も白のゴシックドレスに身を包んでいる。

 夜も遅い今の時間には目立ちすぎるであろうその格好だが、ミリーは他の奴の目に見えないので関係ない。

 俺たちは、この頃毎日きている海岸に向かっていた。


 目的は訓練だ。


 生まれながらに、異世界で魔王だったミリーに訓練とかそんな習慣はない。

 そのままで全力の能力が使えていた。

 まぁ、ある意味当たり前か。

 ミリーの能力を試していってわかったことだが、俺がミリーの魔力を使うと回数に応じて使用可能魔力量が増えることがわかった。


 俺は、今夜も人気のない海岸付近に到着。

 一応、辺りに人がいないことをミリーに確認する。



<大丈夫だぞ>



 まずはテレポートを試してみる。

 基本、ミリーの能力を俺が使用するのは念じることで可能だ。 発動するための魔力もミリーのものなので俺の負担はほとんどない。

 俺の体を共有しているからとはいえ、俺に一方的に有利な設定だ。

 だが、もとがは強力な力なのだろうが俺が使うと能力が劣化して発動する。


(テレポート)


 俺は、元いた場所から十メートルの位置に着地する。


 因みに、これが今のところの最大テレポート距離でもある。百メートルくらい離れた場所を目指してこれだ。

 ミリーが実際に使っていた時には大陸中の好きな場所に行けていたということから考えると、劣化にも程がある。


 まぁ、例えて言えば、どれだけ強力な弾があったとしても、木の銃身では耐えられないということだろう。無意識に俺の体が耐えられる程度に調整してくているみたいだ。


 そして、フィジカルブースト…身体強化は百メートルを7秒台で走れるようになっていた。

 動体視力や反射神経にも影響があるようで、一回バッティングセンターで試してみたが、そこの最高速のマシーンの球はスローモーションのようで、全部をホームランにしないのに苦労するほどだった。



 フィジカルブーストも使用すればするほど能力は上がるのだが、いくらなんでも四六時中発動しっぱなしという訳にはいかない。

 正直、能力に俺の体の筋細胞がついていかず、調子にのって仕事中にも使っていた最初の頃は翌日全身筋肉痛という事態になってしまった。

 今は、数分程度なら難なく発動を維持することができる。

 と、まあこれが俺の2週間の成果だった。



<そんなに能力の使用が面白いのか?俺様としてはTVや漫画のほうが面白いと思うぞ>



 ミリーは最近、深夜のアニメや漫画にえらく興味を持ち、俺が寝てからも夜な夜な食い入るように観ていた。

 多少電気代が上がるかもしれないが、そのくらいは仕方がないだろう。



「さて、そろそろ体も慣れてきたし、一回攻撃的なやつも試してみたいな。ミリー、何かあまり目立たないやつでお勧めあるか?」

<それなら、竜巻がお勧めだぞ>



 確かに、規模を予測しづらい噴火や津波、地震より竜巻が一番ましかもしれない。

 それにどうせ俺が使うと劣化するわけだし。


 俺は海岸ギリギリに行き、海に向け念じる。


(竜巻)


 7,8メートルのつむじ風のような竜巻が起こり、海水を巻き上げながら十秒ほどで消滅する。

 あとに残されたのは、降り注いだ海水でずぶ濡れになった俺と、足元で跳ねる数匹の魚たちだった。


 ……これをどう使えと?

 明らかに過剰な威力だ。


 現代日本に生きる上で必要ない能力だと俺は思った。










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