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俺と魔王と勇者と  作者: 逆さメガネ
現代生活編
2/78

お約束の死?

とりあえず、転生やファンタジーを作ってみたくて、見切り発車で書いてみます。

誤字脱字の多さと、乱文ですが、1話を短めに書いているので、お暇な空き時間にでも読んでいただけたら嬉しいです。

 俺、小林恭介(コバヤシキョウスケ)26歳は急いでいた。

 今日の朝に目覚めると、時計は九時を示している。


「ヤバイ、バイトに遅刻しそうだ!」


 俺は、バイト先の弁当屋『熱々亭』へと向かうため長年愛用のリュックを掴むと自宅ボロアパートのドアを飛び出て自転車に跨がる。

 バイト先の店長は、時間と礼儀に厳しい。

 というか、俺は頭が上がらない人なのだ。



 ◇  ◇  ◇  ◇  ◇



 高校卒業した直後に両親を事故で失った俺。

 予定していた進学も担任に言われ受験しただけで、とくに奨学金という名の借金をしてまで行きたい所でもなかったし、諦めるのに何の躊躇もなかった。

 しかし、まだ十代だった俺の突然両親を亡くしたことでの喪失感は半端なかった。

 俺はあの頃、何日間飯をまともに喰ってなかったのだろう? 

 今でも思い出せない。


 半ば、呆然と、このまま行き倒れて死んでもいいんじゃないかと思いながら町中をさ迷っていた。

 仲の良い親子連れを見ると妬ましく、反抗期の子供やそれを持つ親の文句が聞こえてくると羨ましくもあった。

 それらはすべて生きているから言えることなのだ。

 ただ、あいつらがその事実に気付くのは、まだ大分先のことだろう。

 どうでもいいことだ。

 時計を見ると、もう昼過ぎ。

 さて、これから何処に行こうか、そんなことを考えていると、ふと良い匂いがすることに気付いた。

 いい匂いに誘われ行ってみると、そこには昔ながらの弁当屋『熱々亭』があった。

 久々にオニギリ位は食べてみるかと、店の入り口をくぐる。

 俺がどんなオニギリがあるのか物色していると、声をかけられる。



「おい、てめぇ、ちゃんと飯喰ってんのか! そんな青っちろい顔して握り飯だけを買おうとか思ってんならブチのめすぞ!」

「へっ……」



 これが、初対面の客にかけられた言葉だ。

 どう考えても客に対しての接客とは思えない。

 俺は声のした方を見る。

 そこには胸に店長というネームプレートをつけたおっさんが1人いた。

 ヤクザなみの強面。

 何をしたらそこまでムキムキマッチョになるんだというゴツい体に似合わないフリフリエプロン。

 俺は本気で殺されると思った。

 体から力が抜け床へへたりこむ。



「おう、てめえ、大丈夫か?」

「あんたが脅すのが悪いんだろ!」



 カーンという良い音を響かせ、女将さんらしき40歳くらいの人が店の奥から顔を出すと同時に、手に持つお玉で、店長の頭を殴り付けた。

 あまりにも昔の古くさいコントにありがちな風景。



「でも、本当にあんた顔色悪いね。ちょっとこっち来な!」



 俺の顔色の悪さを見た女将さんに、店の奥に案内された。

 こんな個人経営の店だし、水仕事が多いのだろう。

 少しあかぎれた女将さんの手は、ひんやりしていた。

 冷たいはずのその手に引かれながら、俺は人肌の温かさを感じていた。



「あんたー、ついでにあたしらもご飯にしちゃうよー! そんで、はい、あんたはこれを食べる!」



 俺の前に山盛りの丼飯が用意される。

 こんな盛り方をした白米はマンガやアニメの中でしか見たことはない。

 テーブルには他にも豚の生姜焼きと豚汁が湯気を上げている。

 すぐに、俺の前にも豚汁が用意される。

 見ただけで、根菜たっぷり栄養満点そうだとわかる。

 一口、豚汁を啜ってみる。



「…………うまい」

「そうかい♪ それは良かった♪」

「ウチの母ちゃんの飯は旨いだろ♪」



 強面店長もやって来て、ニンマリ笑う。

 笑った顔も恐かったと思ったのは内緒だ。



「本当に……うまい……です」

「オイオイ、泣くほどか?」

「……はい」



 味以上に、この家庭的な雰囲気に目頭が熱くなった。

 俺は、そのあとも泣きながら飯を食ったのを覚えている。

 その後、俺は熱々亭に通いお世話になり続け、そのままバイトまでさせてもらえることになった。



 ◇  ◇  ◇  ◇  ◇



 これでは、頭が上がらなくなっても仕方がないだろう。

 ヤバイ、回想していたら本当に時間が不味くなってきた!

 勢いをつけて、坂道を自転車で下る。

 もう少しで大きな道に合流ってところで、トラックが横から出てきた。


ガシャーーーーン


 宙を舞う自転車。


 俺は思った。



 ああ、死んだ…………。



 26年間という短い人生、そう悪いものでもなかった。親は早くに亡くなってしまったが、店長夫婦という今では親代わりと言っても良いくらいの人たちと出会えた。

 金も彼女も何もないバイト三昧の人生だったが、他人に迷惑をかけることなく平凡に送れたと思う。


 趣味のラノベもお気に入りのものは完結していたし、レンタル派だった大人のいけないDVD は返却済、僅かなバイト代からコツコツ貯めた少ない貯金から葬式代くらいは出せるだろう。店長夫婦には最後まで迷惑をかけて申し訳ないとは思うが、甘えついでだ。

 もし、あの世で再会することができたら、その時にまとめて謝ることにしよう。

 まさに完璧だ。

 まぁ、俺の好きなラノベであれば、このあと異世界なんかに転生するとかあるんだろうけど、実際そんなことがあるとは思えない。

 でも、あるなら勿論行ってみたい!


 ヤバっ!……死ぬのちょっと楽しみになってきた。


 ……こんな長いこと思考できるなんて、走馬灯ってスゲーな。ただ、この感動を誰にも伝えられないのが残念だ。

 さて、地面も近づいてきたし、そろそろお別れの時間かな?



 そこで、俺の意識は途絶えた。

読んでくれた方いましたら、ありがとうございます。


もし感想など頂けたら嬉しいです。

図々しくてすみません( ̄▽ ̄;)



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