鏡の向こうの世界
思ったよりエピローグが長くなってしまいました。申し訳ない。
俺は神在大吉、16歳の高校生だ。
性格は基本のんびり屋で目立ったことはしないが変なとこで調子に乗る。
クラスメイトの女の子には人畜無害と謎の評価をされる。正直うれしくない。
毎日を部活に明け暮れ、休日は寝る。高校生としては平凡?な毎日を過ごしていた。
「せっかくの休みなんだ、遊ぼうぜ!」
近所に住む健介がいきなり押しかけて来た。
「おい、アホ。意味がわからない時間に来んじゃねぇよ」
時計は12時を指しており普通は昼飯を食っている時間だ。
「俺、飯なかったんだ!遊びに行くついでに一緒に食べようよ!」
はぁ・・・
今日は両親が出かけている。だから今から昼飯買いに行こうと思ってたし、まあ付き合ってやるか。
「いいけどどこ行く?」
「そうだな・・・俺、久しぶりにおっさんに会いたい!」
俺が鏡の迷路で神様にあってから4年経った。
おっさんは一昨年いきなり俺たちの集い場である迷路を閉鎖しハンバーグの店に改築した。
意味不明である。
しかし、高校生の今もその頃と変わらずおっさんのもとで集まったりしている。
だが最近は忙しかったしな、久しぶりに顔でも出すとしよう。
「いいな、安いし。肉はやっぱ原価で食うもんだ」
・・・
俺たちはおっさんの店「ハンバーグの伝説」の扉を開けた。
相変わらずひどい名前だ。
丁度肉屋の店主が肉を配送に来ていた。肉の入ったダンボールには肉の量と配送先の目印として「伝説」と書いてある。
二人とも黙々とハンバーグセットを食べる。
途中向かいの席の健介の後ろの壁に目が奪われる。
鏡の迷路の鏡を処分するのに困ったおっさんは、なんと改築した後の店内の壁に鏡を再利用したのである。
全面鏡貼りだ。
いくらなんでも飯を食べる環境ではない・・・!と普通は思うが、今でも俺は鏡にはなにか不思議な魅力を感じる。
じっと見ていると、鏡に青い波紋のようなものが波打つのを感じた。
「これは、まるであの時感じたような・・・」
あれ以来神様は会いに来てくれなかった。
だが、忘れるはずがない。あの時神様が鏡から出てきた時と同じ感覚だ!
俺は残っていたハンバーグに添えられているフライドポテトを健介にあげ、鏡に近づく。
「やった!野菜だ!ありがとう!」
健介が喜んでいる。油と芋が野菜であるという彼の笑顔に価値はない。
そう、そんなことより・・・
鏡に触れた。しかし何も起こらない、何も飛び出ててはこない。
俺は寂しくなった。あの頃の純粋なままの好奇心が静かに火を消す。
肉屋で売っている牛ミンチの値段だけ放り投げて店を出る。
「こら!クソガキども、ちゃんと金払えーっ!!!」
おっさんの怒鳴り声が虚空にこだまする。
まあ、いろいろ過去話もしたけど。俺、死んじゃったんだよな。
その日の帰り道に健介と別れてすぐ、車に撥ねられてさ。
俺はその時、薄れゆく意識の中、涙を流し思ったんだ・・・
ああ------
もう一度-------
---------神様に会いたかったな
もう健介はでてきません。