届かぬ声
あっ、聞こえた?
風で窓がガタガタ言ってる。
そっかぁ、明日雨なんだぁ。
ちょっと掃除機かけすぎじゃない?
掃除のしすぎと言うか、掃除しかしてないって言うか。
掃除はいいことだけど、他の事もしなくちゃ。
大丈夫、大丈夫だよ。
泣かないで。
悲しまないで。
そんなに泣いちゃ今よりもっと苦しくなっちゃう。
深呼吸、深呼吸。
泣く必要なんてないんだよ。
ねぇ、聞こえてる?
ほら、君が病気なのは前からでしょ?
治るわけないよ。
だって……バカの病気だもん。
ほんと…弱気なんだから。
君は1人じゃないよ。
ちゃんと私がいるんだから。
ね、大丈夫でしょ?
いい加減にしないと、私怒っちゃうよ?
……なんだ、分かってるんじゃん。
なら息を吸って、目を開けて。
君になら、きっと見えるはずだから。
「るか、るか、るか、るか、るか、るか…………」
聞こえてるってば。
……バカみたい。
呼ばなくても、私はここにいるじゃない。
それに、そんなに名前呼ばれると恥ずかしい。
ねぇ、私ここにいるよ?
ずっと君の目の前にいる。
君の隣にいる。
君の顔も、声も、全部分かるよ?
気付いて!
私ちゃんとここにいる!
いつでも会えるよ?
君が強く信じて、願うなら。
さようならじゃない。
だって、私たちずっと一緒だから。
愛してる。