幻の始まり。
白い雪と…綺麗な目をした男の子。
それが私の記憶の始まり。
幻の始まり
私は幼い頃パパの仕事の関係で北海道に住んでいた。毎日のように近所の近くにあったスキー場で遊んでいた私はある日、1人で勝手に遊びに行ってしまった。
当然迷子になった私は吹雪の中、誰かが見つけてくれるのをただただ待っていた。
すると…
「ねぇ」
「え…」
顔をあげると、自分とほとんど身長が変わらない男の子が目の前にいた。
「こんなとこでなにしてるの?」
「………」
「1人?」
私はこくりとうなずいた。
すると彼は私を優しく抱きしめた。
「え…」
私を抱きしめたまま彼は愛らしい笑顔で
「あったかいでしょ?僕もママに寒いときこうしてもらうんだ」
私が震えていたのに気がついたのかそう言った。
それからしばらくして彼は私の手を取り立ち上がった。
「行こっ。道わかるよ」
彼に連れられ無事スキー場に着いたときスキー場では大勢の人が私を探し回っていた。パパもママもいて、私を見つけた瞬間2人ともママは泣きながら駆け寄ってきた。こっぴどく怒られ泣いた私を2人は抱きしめて、もう二度と1人で行かないと約束した。
そのあと2人は私を連れ戻してくれた男の子に何度も頭を下げていた。
それから私は毎日その子と遊んだ。名前も顔も覚えていないその男の子と。
それからなん日か経った日、いつものように彼に会いにスキー場に行った。スキー場で彼を見つけ…それから…
(あれ…どうしてだろう)
思い出せない。
何も見えない…。
ただそのとき覚えているのは…彼が何回も何回も私の名前を呼ぶことだけ。
「………な!」
あぁ。この声だ。