表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
オモワヌもの  作者: トキ
6/44

おはようございます



「あ、高橋明日さ、学校終わったら一緒に練習しねえか?」


「ん?べつにいいよ。どこ練習すんの?」


「第3番の第3楽章から…」


「あ~あのやたら複雑なとこからね。いいよ。わかった」


「サンキュ!俺あそこ苦手でさ」


「ふっふっふ。練習の帰りのアイスで手を打ってやろう」


「うわっ!ひでぇ!まぁいいか」


「決まりね」


「おう。じゃあ高橋、明日の放課後忘れるなよ!あと明日俺、おまえに言いたいことが……」


「え?」


「じゃっじゃあな!また明日学校で!」


「ちょ、ちょっと!」



  ~~~~

 



「あ、更紗!もう学校行かないと遅刻するわよ!」


「うわっやば!じゃあいってきます!」


「まって!今日あれ、恋の~の漫画発売日でしょ?お母さん読みたいから帰りに買ってきてちょうだい」


「え~めんどい。いや」


「…今日更紗なんかいいことあるでしょ?」


「えっ!!なんでっ」


「今日帰り少し遅くなってもお母さん気にしないわよ~漫画買ってきてくれるわよねぇ。お母さん和樹の世話で忙しいし」


「分かったよ!買ってくるよ!じゃ行ってきます」


「(ふふっ)いってらっしゃい」













「ふぎゃぁぁぁぁぁ!!!<いやぁぁぁぁぁ!!!>」


あああっ!!思い出しちゃったよ!くそぉぉ!!返せよ!私の甘酸っぱい青春をぉぉ!!なんでっ!きっとあの日学校にいっていたらきっと……きっとぉぉ~

……彼氏できてたよね!絶対!


しかも絶対お母さんにばれていたよ!絶対なんか青春やってるんだろうな、みたいな!買って来いって言っていた恋の~の漫画って思いっきり学園恋愛ものだよぉぉぉ!


―――――なんで私がこんな目に……。


「うえぇぇぇんっ!」




「お母様!!またサラ泣いちゃってるよ!早く!」



おはようございます。高橋更紗ことサラです。只今、生後2週間です。

このような感じで私の一日は始まります。

寝ているときは日本にいた頃を思い出し悲し泣き、起きていれば殺された時の記憶を思い出して怒り泣く、そんな毎日です。はい。

でも最近やっとましになってきました。

もともと私は思い悩むということが苦手なタイプ。この2週間ずっと泣いてたけどマリアさんやライト君に慰められて少しずつだけど前向きに考えようかなと思う。


まず今私がいる場所が私を殺した場所とは限らない。

私があの場にいたのはたぶん1日くらいなんだろうと思う。覚えているのはドラゴンのエンブレムと兵士たちの服装、お城くらいだ。あの場所を私が特定するのは難しいと思う。

あとあいつらがいっていた’白の使者’って何なんだろう?

私のことは’黒の使者’って言っていたし、よくわからない。


分らない事だらけだよ――――本当に。

まぁ私は漫画で言う異世界トリップをしたんだろうな。分るのはその位だよ。


「ふうぇぇ<はぁぁ>」


「サラ?今日はなんだか元気がないね。どうしたの?いつもはもっと泣き叫ぶのに」


ライト君が心配そうに私のおでこに小さな手をあてる。ってライト君泣き叫ぶって……。そりゃよく泣いたけどさ。それで元気かどうか言われるとちょっと複雑です。


「あら?サラちゃんがもう泣きやんでる?どうしちゃったのライト?」

「分らない。風邪でも引いたのかな」

「あらあら~大丈夫かしら?」


後からきたマリアさんが不思議そうに私の顔を覗き込む。

あぁマリアさんも私の泣き声で元気かどうか基準にしているんだ。


私は二人を安心させるために少しはしゃいだ声を出す。


こんなに心配している二人に私は感謝しているのだから。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ