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オモワヌもの  作者: トキ
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閑話 ダミアのつぶやき

6月11日に更新すると伝えておきながら間に合いませんでした!!

すいません!


オレはオリヴルのギルド員、ダミヤという。ちなみに女だ。


オレがこのオリヴルというギルドに入ったのは数年前のことだ。


その当時、リール王国とは離れた国の小さな村で暮らしていたオレは4人兄妹の長女として暮らしていた。

その村では長年の凶作に苦しめられていて、両親が食いぶちを減らすために夜な夜なオレを娼館に売るべきかどうか相談していたことは無理からぬことだ。

村の中でもオレは綺麗な顔立ちの方だったし、兄妹の中で一番の年上だったからな。

兄妹が好きだったオレは両親がオレを娼館に売りに行くときも別に文句は言わなかった。これで少しは兄妹に飯を食わせられるという事が嬉しかった。

まぁ、その当時オレは娼館という場所がどういう場所かよく理解していなかったし、ただ出稼ぎにいくとしか思っていなかった。


両親に騙されるようにして売られたオレはそこで数日過ごし娼館という場所がどういう目的で建てられたものか分かった。最悪だ。

すぐに店に出されるかと思ったが兄妹の中では一番年上でも、まだ店に出すには年頃とは言い難い体系だった為、表にはまだ出されなかった。裏方で、表で働いている売れ筋の姉さんの世話役になったのだ。ただ裏方での仕事は結構きつかった。食べ物もぎりぎり生きていけるだけの量と水だけだしな。

まあ、別に働かされたり食べ物が与えられなかったりというのはきついが文句はなかった。表に出されるより断然いい。世話をしている姉さんの性格が良かったことも幸いした。それに村で暮らしている時も朝から晩まで働いていたし食べ物を食べられない日だってあったから耐えられないということはなかった。


オレが娼館に売られて半年経った頃のことだ。どうやらオレは魔力を操れる側の人間ということが分かった。オレの魔法は肉体強化。別に習ったわけではない。裏方の仕事は本当に苛酷で、また売れ筋である姉さんの世話をしているオレは非力であることが許されず無意識のうちに魔法が使えるようになっていた。


魔力を操る人間は重宝されることもあり自慢したかったオレだが姉さんが魔法が使えることは言わない方がいいと注意してきたからただの非力な子供を演じながら日々の生活を送っていた。


オレが売られて一年が経過した頃、週に一度、高そうな格好をした男たちがきて店の娘をどこかへ連れだすようになっていた。

姉さんに聞いても見ないふりをしろとしか言われない。オレはどうすることもできなかった。

連れられて行った子は数日後戻ってくる。だが戻ってきた子は目が虚ろだったりや心を壊されていたり、腕や足が無くしていた時もある。しかも娼館はその子達を世話するわけでもなく平気で捨てた。娼館では毎日オレと同じような境遇の子供が売られてきており表にだす数に困ってはいなかったのだ。オレは店に出ていた世話役の姉さんが店の売れ筋だったから連れて行く対象にはなっていなかった。


しかしある日姉さんが行くことが決まった。どうやら依頼した側の要望らしい。

姉さんは魔法を使って逃げろと言い残して連れ去られていった。

オレは魔法を使って逃げず姉さんを追う事にした。売られてきた時から助けてもらっていたんだ。姉さんを見捨てることはできなかった。

足に強化魔法をして姉さんの乗った馬車を追いながら辿りついた場所は領主の館。町一番の貴族だ。館を見た時に少し怖気付いたが姉さんを助けるため忍び込んだ。


しかし、まぁあれだ。オレはまだ魔法が少し操れるようになった只のガキでしかなくすぐに捕まり、姉さんと一緒に酷い目にあわされそうになった時に救ってくれたのが今お世話になっているオリヴルの団長の妻、マリアさんだった。


マリアさんは別の依頼でリール王国から離れたオレの国に来ていた。領主の悪事を知ったのは奇跡としか言いようがない。


マリアさんはすごかった。何がすごいってその悪事をしていた領主を壊滅に追い込んだのだ。

その時のマリアさんはオレにとって女神にしか見えなかった。

その屋敷を潰す際のやり方は悪魔みたいだったけど……。


その時マリアさんに感銘をうけたオレは頭を下げてマリアさんの仲間に入れてもらった。オレは幸いにも魔力が強い方だったし、役に立てると思ったんだ。

娼館はもともと領主の悪事に加担していた事もあり、無くなってしまった。



マリアさんのギルドに入れてもらうために姉さんに別れをつげ国をでた。


リール国に来た当初色々なことに驚いたものだ。まず奴隷がいないし、オレの国にはいなかった人間以外の種族が沢山いた。それに役に立てるだろうと思った力もギルドとしてはあまり大それたことではなかった。まあ、それで挫けているような余裕はオレにはなかったから我武者羅に頑張った。ギルドでの恐ろしい特訓をやったり、同じようにギルドに拾われ共に過ごす様になった仲間もできた。


今でもまだギルド員の中じゃ下っ端の部類だが喧嘩したり、賭け事したり、依頼を受けたりと楽しい日々を送っている。



そして最近はまっているのはマリアさんの娘だ。

テトラやトポとカードをやっている最中ギルドの裏側から聞こえる大音量の鳴き声。

マリアさんは出産してからなぜかギルドに顔を見せなくなった。別に生まれた姫さんやマリアさんの身体に異変があるというわけではないらしい。


最初の賭けは面白半分と顔を見せないマリアさんとその姫さんへの心配など興味本位で始めたことだったけど、賭けは意外にも反響が大きく、街ぐるみになった。ここの街の連中はお祭り好きだし、本当に賭けごとが好きだな。

それに物事を大きくすればマリアさんが顔を見せてくれると思ったから。


そして今回、ようやくマリアさんが顔を見せてくれることになったのに副長が立ち入り禁止令を出した。しかもオレ達にガルガドの討伐を任命しやがった!


そりゃ命令されたらいくが酷過ぎでしょう。


当然討伐を後回しにして姫さんを見るのは当たり前だ。

ちゃんと賭けごとにも髪の色も追加した。オレは自分の瞳の色が赤色だったからお揃いだったらいいと赤に賭けた。生まれてくるまでその子供の髪色は分からないからな。楽しみだ。

オレはマリアさんに憧れているから姫さんには無条件で愛着を持ってしまう。

とても会ってみたかった。

その気持ちを酌んだようにオレの下っ端仲間が協力してくれると言ってくれた。

テトラは音を消す魔法を使う事が出来るからとても便利だ。昨日副長に立ち入り禁止令を出されたあとトポが副長が部屋で何かを準備しているという情報を取っていた。オレは密かにテトラの消音魔法を使って前日の夜に天井に穴をあけておいた。


協力にトポとテトラに仰ぎ再度今日ギルドに忍び込んだ。ムーバも一緒に来たがっていたが、あの巨体はどう考えても邪魔だ。天井が絶対に落ちる。だから絶対についてくるなと念を押しておいた。


天井裏に忍び込んだ際継続してテトラには消音魔法を使ってもらった。ただその消音魔法には欠点があってオレら自身も音が聞こえなくなるから会話ができないのが辛い。

昨日の時点で開けておいた天井の小さな穴。

その音が聞こえないと分かっていても息を殺して覗き込んだ。


「(ん?)」


穴の範囲が小さすぎてマリアさんは見えたけど目的の姫さんが見えない。オレは再度顔を上げてテトラとトポに身ぶり手ぶりで見えないと伝える。二人はそれぞれ目を合わせて頷くとトポが手袋を外して鋭い爪を出した。どうやら爪で覗き穴を広げる魂胆らしい。オレはトポと場所を変わり、トポが穴を広げる様を見ていた。


もう少しで見れる。

テトラも穴あけに音が絶対に聞こえないようにとオレ達の空間を二重三重に魔法をかけ直している。

トポがやっと覗き穴を広げた。副長たちはまだ気がついていないようだった。

ただカルマドの野郎が一度無表情に天井を眺めたのが気になるところだ。


―――気が付いていないよな?


まあ構わずにオレは覗き穴を覗く。その際に上からはらはらと埃が落ちてきたのは別に気にならなかった。


「(おぉ!!黒髪だ)」


広がった穴でようやく目的の姫さんが見えた。サラサラの黒髪が見える。上から見ているから瞳の色は分からないがこれで瞳も黒なら賭けは大穴になる。黒髪に賭けた人間はいただろうか?

それに何故マリアさんがギルドにも顔を見せず、また姫さんを外に出さなかったのか分かった。


黒髪に黒目なら黒の使者だ。

黒の使者は国によって認識が違う。敬われたり蔑まれたりと。オレの生まれた国ならばただの役立たずになる。魔力がない人間は総じて体力や筋力がないからだ。ただ黒の使者なんてそうそう生まれてこないからただの吟遊詩人の笑い話でしっている、というくらいだ。一方別の国、特に高魔力所持者が多く生まれる国では黒の使者の側にいれば魔力の暴走を起こすことが少ないと有難がられたり敬われたりすることがある。


オリヴルがあるリール王国は高魔力所持者が多く生まれるが黒の使者を別に敬ったりすることも蔑むこともない。ただ珍しいくらいにしか考えていない。それはこの国が沢山の種族が暮らしていて魔力という枠組みにこだわらないからだろう。いてくれれば助かる、というぐらいだ。


オレは何年もリール国に住んでるからすっかりこの国の気風に馴染んでしまった。その分姫さんの黒髪を見た際珍しいとしか思わなかった。しいて言えば賭けに負けてしまったこと悔しいというくらいかな。


ただとても会ってみたかったからその姿を見れたたけで満足だ。

オレがまじまじと覗いていたらトポとテトラが変われとグイグイ服の袖を引っ張る。


仕方なく変わってやろうと顔を上げた瞬間だった。トポとテトラの後ろにムーバの姿が見えたのは。


「(お前何でいるんだよっ!!!)」


消音魔法で音が聞こえないと分かっていながらも突っ込めずにいられない。




ムーバのような巨体が天井裏に忍び込んだらきっと天井が――――


落ちた。



落ちた瞬間にテトラの消音魔法が消えてしまったようだ。



落ちた場所が副長の部屋で下に姫さんやマリアさん達がいたことも忘れてムーバの暴挙に腹を立て怒鳴り合いになっていた。


一通り怒鳴り合って落ち着いたら後の祭りだ。

恐ろしい顔をした副長にげんこつを頂いてしまった。

まあ、一番の不幸なのはトポだろうな。あいつは最近白目をむくことが多くなった気がする。


副長の愛ある一撃を頂き次に飛び込んできたのはマリアさんのニコニコとした笑顔とあふれ出てくる冷気だった。



その様はかつてオレが出会った頃―――領主の館を文字通り潰した際に見せたマリアさんの顔と全く同じだった。




ああ、オレら殺されるわ。





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