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ぼくは
かなり短め
寒いと思った。
凍える。冷たい。寒い。
ただ僕は見ていただけだ。何もしていない。
―――さむい。
周りはごうごうと音を立てているほど燃えているのに僕にはアツいと感じることができない。
――――さむい。
僕の周りには誰もいなくなっていた。威厳のある父もやさしかった兄も共に勉強をした友も。
僕の心の中でもう一人の僕がつぶやく。これは全て夢だと。
国がなくなったのも、友が殺されたことも、兄が狂ったのも、全てが夢なのだと。
――――さむい。
少女を守れなかったのも全てが―――
夢では許されない。
僕が守れなかったものはたくさんあるけど、僕が目を背けてはいけないのだ。
―――――――僕は
次からはまた視点が変わります