『安くて美味しい ちょっと贅沢』 デュワーズ 12年
今日は小町ちゃん、おっちゃんを連れてスーパーマーケットで
買い物をする様です。
スーパーでおっちゃんを待つ物は一体!?
「…むぅ、色々足りないわねぇ。」
部屋の備蓄品やら消耗品の類を確認する私は飲酒盃小町。
ティッシュにトイペ、洗剤、etc.…そろそろ不足して来た。
何よりお米がもう切れそう。
今まではほぼほぼ一人で消費してたから、2kgの袋があればしばらくは
足りてたのだけど、今は『大食漢』がしばしばやって来る。
その大食漢…食欲が服着て歩いてる様な異世界のドワーフ、ヴァインの
おっちゃんは湯呑を片手にタブレットで何やら調べ物をしている。
「……。」
おっちゃんを眺めていて、ティンと来た私。
「おっちゃん、夕方過ぎたら出かけるわよぉ?」
「む? どこへ行くんじゃ?」
「お客さんが少なくなる時間を見計らってね、買い出しに行くの。」
「なんじゃ、『こんびに』かの?」
タブレットを置いてお茶を飲み干したおっちゃんに私は答える。
「いいえぇ、まだおっちゃんが行った事のないとこ…コンビニより
大きくて品物が沢山あるお店…『スーパーマーケット』よぉ!」
・・・
日も傾いて薄暗くなってきた通りを二人でてくてく歩く。
最近は暖かくなってきたからおっちゃんはジャケットは無しでパーカーに
バギーパンツという出で立ち。
ニット帽もそろそろ暑いわよね、折角だからスーパーで帽子も見てあげよう。
何なら春物の上着も…あ、買い出しするなら大きめのザックもその場で
買わなきゃだわ。
私のザックじゃおっちゃん、肩紐が回らない。
…意外に結構な出費になりそうだな、ちくせう。
「色々買い出ししたくてねぇ、悪いけど、荷物持ち手伝ってちょうだいねぇ?」
「うむ、構わんぞ?
『すーぱーまーけっと』というのも楽しみじゃしの!」
「さっきも言ったけど、スーパーは結構大きくて品揃えもなかなかだし、
そうねぇ…市場が丸ごと一つの建物に入ってる感じかしらぁ?
何よりコンビニよりちょっとお安いのよぉ。」
「ほぅー、では酒もあるんかの?」
「勿論よぉ、映画の時に寄った酒屋さん程じゃないけど、一杯あるわぁ。
ウイスキーも一本買いましょうねぇ。」
「ほほぅ! そりゃありがたいのう。」
「えぇ…見えるぅ? あそこの大きな建物がスーパーよぉ!」
「おぉ、これもまたでっかい建物じゃの!」
坂道を下った私達の前に、国道に面したスーパーマーケットが見えてきた。
・・・
「ちょっと待っててねぇ、お金降ろしてくから。」
おっちゃんを外に待たせて一階のATMコーナーでお金を降ろす。
流石におっちゃんと二人でATMコーナーはちょっと狭い。
私はどっちかというとカードより現金派。
ATMを出ると…あぁ、早速やらかしたか。
「うわぁ、なんだ!? あのおじさんすげぇ!」
男の子がぎょっとした顔で、きょとんとしてるおっちゃんを指差してた。
「これ! 他人を指差すもんじゃありません!」
良かった、母親も驚いてはいるけど常識的な人みたい。
「連れが何かしましたぁ?」
「あぁ、何でもありません、ちょっと息子が驚いたみたいで…」
「あらぁ、驚かしちゃったかしら? ボクぅ、ごめんなさいねぇ。」
お互い軽く会釈して、母親は子供の手を引いて去って行った。
『ドワーフ』を知ってても知らなくても、やっぱり人目は惹くし、
そりゃ驚く人もいるわよね。
「…儂、何かやったかの?」
「うぅん、ちょっとびっくりしただけよ、こっちの人は
直に『ドワーフ』見るのが初めてだから。」
「あぁ、こっちには『人間』しかおらなんだか。」
「まずはニ階でザック…背負い袋と服や帽子を見ましょ。
その後、三階でティッシュやらトイペ、雑貨類を見るわぁ。
最後に一階で食料品よぉ。」
私はおっちゃんの手を引いて、スーパーへ入った。
・・・
お客さんは疎らとはいえ、皆無、という訳ではない。
ないが、あの人達も買い物客、私達も買い物客。
そこになんの違いもないでしょうが!
私達は堂々と店内を進む。
いや、おっちゃんはちょっと物珍し気にキョロキョロしてるけど。
「んしょ、んしょ…せいっ!」
おっかなびっくりエスカレーターに乗るおっちゃん。
そういえば、シネコンなんかでもちょっと苦労してたわね。
基本、『人間』用、というか、それしかいない世界の設備だしねぇ、
まだ慣れないみたい。
二階は衣料品と百円ショップが入ってる。
大きめのザックと、ベーシックなワークキャップ、適当なブルゾン辺りを
見繕う。
ブルゾン…ブルゾン…これは難儀だ。
大きなサイズはあるにはあったけど、デザインが少ないぞ。
地味なのでいいんだ、変なデザインでなければ…。
どうにか良さげなのを見つけてお会計。
次は三階。
ここには日用品に医薬品、後、本屋さんや歯医者さんがある。
「ちょっと買い込むわよぉ? 付いて来てねぇ!」
「うむ、備えよう。」
おっちゃんにカートを押してもらい、トイペやらティッシュボックスやら、
洗剤やら、千切っては投げ、千切っては投げ…いや、投げない投げない。
どんどんカートの籠に放り込む。
「…随分と買い込むもんじゃの。」
「まぁねぇ、とても一人じゃ持てないからお手伝い頼んだのよぉ。」
「成程、この量なら納得じゃ。」
「まだ一階で食品が待ってるわよ、しっかりお願いねぇ!」
「ほい来た、任せとき!」
ここでも会計を済ませて、目指すは一階、食料品売り場!
結構な大袋を両手にぶら下げ、やって来ました食料品売り場。
新しいカートの下に大袋を積み直し、今度はちょっとゆっくり目に
売り場を回る。
改めて売り場を見渡すおっちゃんの顔がほわぁ~っとなる。
二階や三階もゆっくり見せてあげれば良かったかしらねぇ、
ちょっと悪い事したかも。
「すっごいのぅ、見た事もない食い物が山ほど並んどる!
『こんびに』だって驚いたもんだが、見事な品揃えじゃぁ…」
「そうねぇ、今日は何食べたい?」
「お魚! 焼き魚がいいのぅ!」
「それじゃ、魚から見ましょうか。」
魚のコーナーには、レンジ調理用のホッケやサバ、アジなんかのパックが
並んでた。
これ、温めるだけでいいし、小骨も粗方取ってあるから
手抜き料理には強い味方なのよねぇ。
「おっちゃん、どれ食べたい?」
「そうさのう…この『ほっけ』というのがええの!」
ホッケのパックを二つ、籠へシューッ! 超エキサイティン!!
「あ、あっちに『なっとう』あるぞ! 『なっとう』も食おう!」
「はいはい…あ、キムチもあるわね、買っとっきましょ。」
次はお米。
一般的には新潟米が人気なんだろうけど、私は出身もあって
秋田米の方が好みに合う。
普段は2kgのだけど、おっちゃんがちょいちょい来る事を考えたら…
今日は奮発して5kgを買ってしまおう。
お値段も一頃に較べればいくらか下がってるし…まだ高いっちゃ高いなぁ。
後はお茶っ葉にコーヒー豆に、炭酸水も買っとこうかしら。
一頻り売り場を廻り、最後に来たのがお酒のコーナー。
「おぉ…あの酒屋程ではないにしろ、すんばらしい品揃えじゃぁ…」
「どのお酒も、まぁ一通りのものは揃ってる感じかしらねぇ。」
眺める内に、おっちゃん、カバランを見つけた。
値札を見て、軽く目を見開く。
「これ、こないだ飲んだ『かばらん』じゃろ?
なかなか良い値段がするんじゃの…桂華の嬢ちゃん、
本当に良い物をくれたんじゃのう。」
「そうよぉ? でも私達、まぁ親友って言っていい間柄だし。
お値段よりも、仲間内でわいわい騒いで、楽しんで飲むのが大事なのよぉ?」
「仲間、親友、のぅ…儂もそうなれるといいのぅ。」
「何言ってるのよぉ?」
私はおっちゃんに悪戯っぽくウインクする。
「私も桂華ちゃんも、桜子ちゃんだって、もうおっちゃんとは
仲間で親友よぉ?」
「…まぁそれはそれとして、結構買い込んじゃったから、今日は
あんまりお高いウイスキーは買えないわねぇ。」
「それはそうじゃ、いつも高いもんばっかりは飲めんわの。
じゃぁ、今日は『ぶらっくにっか』でも飲むか?」
「ブラックニッカもいいけど、世の中にはそこそこ安くて美味しい
スコッチってのがあるのよぉ。」
そう、スコッチはとんでもなく銘柄が多い。
当然、リーズナブル且つ美味しいスコッチがこの世には存在するのだ!
…いざとなったらハイボールにすれば大概のウイスキーは美味しく飲めるし。
スコッチの陳列棚を見渡す私。
最近『カティーサーク』見ないわねぇ、一度『プロヒビション』てのを
飲んでみたいんだけど、そもそもノンエイジの緑の瓶もないのよね。
ちょっと前はいつでも売り場にあるもんだと思ってたんだけど。
『ベル』に『ティーチャーズ』、『ホワイトホース』、『クレイモア』…
あ、これにしましょ!
私は白いラベルの細長い瓶を手に取った。
・・・
家に帰ると私はご飯を炊いて夕食の準備、おっちゃんはまたタブレットで
調べ物をしてるみたい。
「…それにしても、今日は助かったわぁ。
とても一人で運べる量じゃなかったし、おっちゃんいてくれて大正解!」
「なんのなんの、お安い御用じゃて。」
流石ドワーフは力持ち。
ザックに5kgのお米を入れて、両手に大袋を二つずつ下げて
上り坂もなんのその、軽々と歩いていた。
「ところで、何調べてんのぉ?」
「うむ、『ういすきー』の作り方やら、酒の『そぉだ』割りやらをのう。」
「ウイスキーは仕込むのに年数要るからねぇ。
あぁ、『火酒』のソーダ割りなら、ウォッカやジンベースの
『カクテル』が参考になると思うわよぉ?」
「ほうかほうか、では『かくてる』とやらも調べてみるかのう。」
程なくご飯も炊けて、テーブルに料理を並べて
「「いただきます!」」
結構遅くなったからね、今日はレンチン中心なのはご勘弁。
ホッケの塩焼きはなかなか好評。
後はコロッケやら揚げ物を少々と、野菜サラダにポテトサラダ。
納豆にキムチのトッピングを勧めてみたけど、これも好評だった。
ていうか、おっちゃん、見た目や香りで敬遠する事はあっても、
一旦口に入れれば基本、何でも美味い美味いって食べてくれるのよね。
今度、食べられないもんや苦手なもんは聞いといた方がいいかも。
…人間が食べられて、おっちゃんには毒、とかないわよね?
・・・
一通り食べ終わって、片付けをしたらちょっと食休み。
食休みが済んだら…楽しい宅飲みの時間よぉ!
グラスに氷、炭酸水に、今日買ってきたボトルをテーブルへドン!
「お待ちかね、『デュワーズ 12年』よぉ。」
「ほぅー、12年! 熟成されとるのに、お高くはないのかの?」
「まぁブラックニッカよりかは高いけど、お店によってジョニ黒と同じか、
いくらかお安いわねぇ。
ノンエイジならジョニ赤よりぐっとお安いんだけど、今日は私がこれを
飲みたかったって事でぇ。」
お摘みには、ボイルしたソーセージにマスタード。
後は野菜スティックに味噌・塩・マヨネーズをお好みで。
「「では、かんぱ~い!」」
まずはストレートの香りを確かめつつ、琥珀色の液体を口に含む。
「香り高いわねぇ…青りんご?ドライフルーツ?
少しバニラや蜂蜜もあるかしら…あら、やだ!これ大当たりじゃなぁい?」
「どれ…クリーミーなバニラとキャラメル、果物感と言うか、
これは干し杏の風味かのう?
滑らかで長い余韻がいつまでも残りよるわい。
華やかな香りといい、複雑でしっかりした味わいといい、
嬢ちゃんが言う様な安酒の類とは、とても思えんぞい?」
「そうよねぇ、良過ぎるわ、これぇ…」
12年が余程大当たりなのか、ノンエイジがお値段なりなのか。
これ、すっごく美味しい。
ちょっとタブレットをぽちぽち。
『…厳選されたモルトウイスキーとグレーンウイスキーをブレンド、
更に再度オーク樽で熟成させる『ダブルエイジングプロセス』を経て製造…
この独自の製法により、豊かで複雑な味わいが生まれ…』
「ふむぅ…つまり、『ふろむざばれる』の『まりっじ』の様な製法、
という事かの?」
おっちゃん、流石だ。
「そうねぇ、少なくとも、この『12年』はしっかり作られた、
美味しいスコッチって事よねぇ。
その内、ノンエイジも試して違いを比べたいわねぇ。」
「うむ、然り、然り。
では、『はいぼぅる』も頂けるかの?」
ストレートがこんなに美味しいんだから、もうハイボールだって
優勝間違いなし、絶対美味しい奴よね。
ささっと作っておっちゃんにジョッキを手渡した。
「香りは青りんご味が強いかの…
おぉ、瑞々しい果物感と爽やかな喉越しじゃ!」
「ハイボールだと、ストレートと全然表情が変わるわねぇ。
これ、美味しいし面白いわぁ。」
やっぱりお酒って飲んでみないと分からないわね。
何となく買ってみた『デュワーズ 12年』だったけど、
結果は大当たりも大当たり。
ノンエイジも近いうち、次のお給料が入った頃に試してみよう。
・・・
「…何であるのよぅ!?」
バイクでひょっこり入ったディスカウントストア、
割と何でもあるけど配置がさっぱり分からないと評判の
『デ・ラマンチャ』のお酒売り場で私は思わず叫んでいた。
こないだスーパーでなかなか見つからない、とぼやいてた
『カティーサーク プロヒビション』が普通にあった。
勿論、ノンエイジも普通にあった。
探してると見つからないのに、こんな時にはあるんだから困る。
結構散財したばかりだから悩むのよ!
おまけに、もう何年も店頭で見た事のない、『ニッカ フロムザバレル』
までショーケースに並んでる…ど偉いプレミア付いてるけど。
凄い…『サントリー 響』まで並んでるわ…買えないけど。
おぉ、神よ…私を試しておられるのですか!?
…『カティーサーク プロヒビション』だけ、買わせて頂きました、ハイ。
今回は『デュワーズ 12年』でした。
本当はノンエイジのホワイトラベルで良かったのですが、
諸事情で今手元にあるのが12年でしたので…
ノンエイジだとかなり違ったお話になっていたと思います。
比較の意味でノンエイジ編もいつか書きましょう、飲みましょう。
今のところ平和な日常を過ごしてはおりますが、
何せおっちゃんは異世界のドワーフ、
いずれひと騒動持ちあがるかも知れません。
今回名前の挙がった『カティーサーク プロヒビション』ですが、
知人に勧められたものの、結構前からお店で見かけなくなっていました。
調べてみたら今は緑の瓶、ノンエイジも併せ、また通販に出回りが
ある様でしたので、その内入手して一本書ければ、と思います。
とか思ってたらあったよ、ドンキに!
一本買ったよ! その内書くよ! ヽ(`Д´)ノ
見ての通り、店名『デ・ラマンチャ』は『ドン・キホーテ』のもじりです。
城内は『ドン・キホーテ』の実力を見誤っていたと白状致します。




