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1話B もう一度、したいこと

人より少しだけ正義感の強い少年・日高 橙也(主人公)


 彼は仲の良い友人がいて、頼れる先輩がいて、叔母との二人暮らしの極々普通の少年。(Aパートより抜粋)

 12年前の大雪が降った後のクリスマス。

 父と母、それと仮面ライダーのベルトを巻いた小さな男の子が歩いている時に、トラックが雪道でスリップして歩いている三人に激突。

 両親は子供を庇って覆い被さったお陰で、男の子だけは一命を取り留めた。


 その後、子供は遺産相続で醜い親族争いの時に、子を授かれなかった優しい親族に引き取られた。



-----



 12年後のクリスマスの朝。

 両親を失った子供・日高 橙也は高校生になり、引き取られた叔母の家で、両親と叔父の命日を迎えていた。



 休日と重なった明るい街並みに比べて、家では叔母さんは黒い服、橙也は制服を着ていた。


「こじんまりとしたものだけど、変にゴタゴタさせちゃうと皆んな困っちゃうからね」

「そろそろ線香あげようか」


 仏壇の前に座る2人の前には、3人分の写真が並んでいた。

 叔父さんと、橙也の父親と母親の写真。既にいない写真には笑みだけが写されていた。


「あら?昨日買った果物の中に、あの人が大好きだった林檎がないわ…」

「急いで買ってくるよ。叔父さんがいつも食べさせてくれた奴だから無いと寂しいでしょ」


 買い物袋を探す叔母さんに、橙也は気を遣って財布だけを持って家を飛び出す。


「うぅ〜、寒っ!うげっ、雪まで降り出しちゃってる。早めに帰らないと」


 異常な寒冷による12月で久しぶりの雪が降った。

 スーパーへ走る道で河川敷の橋の下に何かを見る。そこでは橙也とは全く違う学生服を着た三人組がホームレスを虐めていた。


「喰らえっ!ドクズのゴミに、ドロップキィーック‼︎」

「やめてくれ!やめてくれぇっ!」

「良いねぇ〜、こうちゃん‼︎『正義の審判 浮浪者に下る‼︎』ってタイトルに相応しい動画、撮れてるよぉ〜♪」


 1人がホームレスを羽交いじめにして、もう1人がスマホで録画をして、最後の1人が蹴りを入れる。

 制服からして、橙也の学校よりも偏差値の高い高校にも関わらず低俗過ぎる光景に思わず、橙也は走り出す。


「お前ら、やめろぉぉぉぉ‼︎‼︎‼︎」

「ごげっ⁉︎な、何だ、テメェ⁉︎」

「おじさんは早く逃げて‼︎コイツは押さえておくから‼︎」


 橙也は蹴りを入れていた学生にタックルをお見舞いする。突然の乱入に、羽交い締め役の腕が緩んだのかホームレスは逃げ出す。

 追おうとする学生に再びタックルして抑え込む。


「離せっ!離せよっ!」

「絶対離さないッ‼︎何で人を傷つけやがるッ‼︎」


 掴み合い揉み合う橙也の腹に学生は何回も蹴りを入れるが全く力を緩めない内に、ホームレスは河川敷を登って遠くへと走る。


「逃げられたか…」

「テメェ、くらいやがれッ!」


 顔を上げて逃げたのを見てホッとするのも束の間、激情したタックルした学生が大きめの岩で橙也の頭を殴る。

 瞬間、当たりどころの悪かった橙也は崩れ落ちる様に血を出して倒れる。


「やったね、こうちゃん‼︎今の良い一撃だよ、絶対今のシーン伸びるって‼︎」

「こんなんで許す訳ないだろ、まさやん。アレ持って来てるっしょ」


 橙也は頭から血を流して痙攣して倒れる。

 明らかにヤバい場面に、一人の血の気が引いて青ざめる。


「な、なあ。これヤバくね?あいつ、身体が痙攣して血が流れてるし死んだじゃ…」

「は?低学歴のクズが死ぬんだったら、成敗スッキリ系で売れんだろ?早く爆竹で囲んで燃やせ‼︎」


 激情した学生と録画役の学生はテンションが高まった様子でいる反対に、羽交い締めをしていたもう一人だけは『殺人』が頭を通り過ぎる。

 以前として痙攣している橙也の周りを爆竹で囲んでライターを付ける。迫る火花に橙也の曇っていく瞳には世界が遅く見えた。


「(痛い…何か熱くもなってきてるけど寒い…俺死ぬのかな…いや、死ぬんだなぁ……)」

「お前達!何をしてるっ‼︎」

「やべぇ、サツだ‼︎逃げるぞ‼︎」

「やっぱり、こいつ死んだんじゃ…」


 薄れていく意識の中で、学生達は河川敷の砂利を踏んで逃げていく音に警察が鳴り響く爆竹が止んでから安否を確認して揺らす感覚。

 学生達が別に来た警察に挟み撃ちにされて捕まって喚き叫ぶ言葉を最後に、橙也は意識を手放した。



-----



「う…うぅ〜ん」

「…何だ、このガキ?どこから入って来やがった」


 見知らぬ民家の天井で目を覚ました。

 先程まで感じていたリアルな寒さから一変して、階段に寝そべる形で目を覚ました前には無精髭の革ジャンロングコートを着た男が立っていた。

 しかも、銃を橙也の顔に突き出して脅してきている。


「おい、何処から来た?名前は?盗人なら墓標に名前ぐらいペンで書いてるよ」

「じゅ、銃⁉︎墓標⁉︎へ、へへっ、あの、怪しいもんじゃないっす…。えっと、◯県△市から来た高校生です…多分、その何かの手違いでして…」

「何だ、外国からの亡命者か?まあいい、とっとと立て。盗人は騎士団に突き出してやる」


 橙也は突然過ぎる出来事に目を回して説明するものの目の前の男に信用して貰えないと思って階段を降りて少しずつ外への扉へと回り込もうとする。

 しかし、男は銃を向けながらも、何処となく心配そうな顔つきで出ていく橙也を見つめる。


「………話が噛み合わねえな。ハァ…出て行くなら頭冷やしてからでも良いぞ」

「いや、あのっ、ごめんなさい!帰ります!失礼しますっ!」


 階段前にある裏口(?)と思わしき、扉を勢い良く開いて転がる様に出て行く。





 家の扉を開いた先は見た事がない信じられない光景が橙也の目の前に広がっていた。

 西洋の建築の建物たちに、それにある人々は現代っぽくない衣服。そして、明らかに日本ではない不思議な空気。

 それに目の前を通り過ぎた牛なのかアルマジロなのかよく分からない奇妙な生物が荷車を引き、空を見れば箒で空を飛ぶ人々、街路路の上で極々当たり前の様に手から火を出す人までいた。


「あ、あのぉ…やっぱり、ここで少しだけで休ませて下さい」

「お前、本当に大丈夫か?」


 そっと扉を閉めて、心配そうに見つめる男に振り返る。

 落ち着いた後に、民家の中にあった埃だらけのカフェらしきラウンジで、橙也と男は真向かいに座り合う。


「まず、お前はココに入った記憶はない、と」

「はい…気がついたらここで寝てしました…」

「嘘はないようだな。お前が嘘をついてたら反応する魔石が光るからな」


 テーブルの上に鎮座する紫色の宝石は『嘘発見器』らしく半信半疑の橙也はボソッと呟く。


「………ご飯よりパン派」

「何か適当な“嘘”を言ったみたいだな。まあいい、ご覧の通りに嘘になら過敏に反応するからな」


 “嘘”を付いた途端に、石は強く発光して知らせる。光は男が持ち上げた瞬間に止む。

 どういう回路なのか橙也には全く理解出来なかったが、互いに腹を割って話し合えるというもの。


「『日本』っていう国に住んでたんだな?」

「はい、◯県に住んでます…」

「この国が『アラトギリス』っていうのは知ってるか?」

「知りません…てか、ここ海外だったんすね」

「ハァ……んで、名前は?言葉も知らないガキって訳じゃなさそうだな」

「日高 橙也って言います…あっ、日高がファミリーネームで、橙也がハンドルネームです」


 男は今いる場所の土地名を言って、光らない魔石に怪訝そうな表情を示して質問を続ける。


「本当に別の所から来たんだな。んで、最後の記憶は?奴隷商人に袋を被せられたとかは?」

「最後…えっと、それは…」


 橙也は混乱する頭の中を整理していく。

 倒れる前、近所の土手でホームレスを助けた時に背後から殴られた痛みと血の感触が脳裏に蘇る。


「えっと、その…石で殴られて…それで、アレ⁉︎えっ、そしたら何で⁉︎ここは何処⁉︎俺は!俺はっ‼︎俺はァッ⁉︎」

「おいおい、パニックになるな。深呼吸して落ち着いて話せ」


 橙也は自分の記憶を遡ろうとする際に流れるショッキングなフラッシュバックは普通の人間が経験するものではないもの。


「俺、多分一度死んでます…。他校の奴に石で殴られて当りどころが悪くて…死んだ、はず…なんです…」


 橙也は青ざめた顔で言葉を吐き出す。

 それもその筈であり、頭からベッタリと流れる自分の血を感じながら息絶えた感覚を鮮明に思い出す。


「? 現にお前は生きて…いや待て、反魂の術法か?禁忌の蘇生術式の方か?それにしちゃあ、顔色が良すぎる」


 パニック状態で涙を流す橙也に、男は優しく抱きしめる様にしながら全身を確かめる。

 魔術や呪いの類を調べるように弄るも精神操作や錯乱魔法の様子もなく、本当に死んでから別世界から突然飛ばされたようだった。


「まあいい。何でかは知らんが落ち着くまで此処にいろ。街で変な事して衛兵に捕まったり、変な奴に見ぐるみ売られたり殺されたりしたんじゃ目覚めが悪い」

「は、はい。ありがとうございます…」


 自分が死んだ感触や光景が思い出されて動悸が激しく治るまで待つ。

 肩で息をする橙也を何度も何度も男が父親の様に寄り添う。


「俺の名前はアルバート。アルバート・ジョーンズだ、余り外で出す名前じゃないが覚えておくといい」

「アルバート…さん。あはは、本当に日本じゃないんだ」


 橙也は少し砕けた笑い方で今ここにいるのを一歩ずつ受け入れようとしていく。

 だが、その時間は待ってはくれず、鳴り響く重い轟音で事態は急転直下する。


「なになに⁉︎爆発の音⁉︎凄い揺れてるから地震⁉︎」

「チッ、こんな街中で魔物の強襲か‼︎この様子だと、どっかの火薬樽か何かが爆発したな」


 アルバートは椅子から立ち上がって、表扉から外へ出ようとする。

 事態が飲み込めない橙也は揺れる地面に机の下に隠れてしまう。地震大国の日本で反射的に身に付いた災害への対処法で、対爆発事件の方法としては正しいのかも分からない。


「お前はココで隠れてろ!俺は様子を見て避難誘導するからよ」

「えっ、あのっ!俺も手伝いを!」

「こんな慣れない土地でお前に何が出来るってンだ!大人しくしてろよ!」


 橙也は机の下に隠れたままで呆然と走り去っていくアルバートの背中を見送るしかなかった。

 事態も状況も錯綜する中で、平和な国で生きてきた彼。自分が死んで、世界が変わって、自分の存在が分からなくなっていた。


「………胸騒ぎがする。『行け』って心の中で叫んでる…。行かなきゃ、行かなきゃダメ気がする」


 胸を締め付ける様な痛みと目を瞑ると外から悲痛な叫び声が聞こえて来る。

 怯えて震える足は立ち上がり、恐怖心を唇を噛んで堪えて、振り絞る正義感が身体の奥を奮い立たせる。


「行こう」


 グッと拳を握った橙也は何も知らない未知の世界へ誰かを助ける為に駆け出した。




-----



 爆発の中で避難する為に走る人々とすれ違う。

 見知らぬ風景。石造の新築。金や茶の髪をした中世の衣服。だが、逃げ惑う人が叫ぶのは「助けて」「逃げろ」「怖い」の理解してしまう声たち。

 そして、走り逃げる人々の激流に逆らって逃げていく逆側へと橙也は向かう。


「何だよ、これ…ウッ‼︎“死”の…臭い…がする」


 人の流れが止んで辿り着いたのは、凄惨な現場。家は燃えて、壁には赤い液体が飛んでおり、一目で動きそうにもない寝た人間がいた。その人間は胸を切り裂かれていたり、腕や首がなかったりと一部が潰されていたりと老若男女問わずに何人も“死”んでいた。

 その臭いは自分が死ぬ直前と同じ臭いがした。思わず口に手を当てて熱い吐瀉物を飲み込む。

 動揺するのも束の間で、耳にハッキリと聞こえた。


「うわぁぁぁぁん!助けて!助けて!怖いよぉ、ママァ‼︎」

「大丈夫よ!大丈夫だから!きっと助かるから!」

「退がれ!化け物ォ!お前なんかに我々衛兵が負ける訳がないッ!」


 生きている人がいる場所に向かうと、そこには槍を構えた兵士と後ろで幼い子供を抱きしめる母親の姿。

 その前に立っていたのは、人間とも動物とも思えない異形の怪物。2mはありそうな巨大と顔は悪魔みたいに醜悪で、4本の指の両手には剣が握られており血がベッタリと付いていた。

 衛兵が構える槍を正面から受けてなお、強靭な肉体は鋼の刀身をへし折りながら迫り、その腕に握った剣を振るい落とそうとした直後。


「うおりゃぁぁぁ!!!怯んだ!早く逃げてください!!」

「き、き、君は!?」

「良いから早く!早くその人達と逃げてください!」


 橙也は考えるよりも早く足が動いて怪物に体当たりする。真横に当たる様にして腰に抱きついて押し倒そうとする。

 だが、怪物の肉体はビクともしなかったが動揺は誘えた様子で動きが止まった。


「……ありがとう!さあ、コチラへ!」

「そのまま遠くへゲブッ⁉︎」


 衛兵は母子を火事場の力なのか2人分の体を抱き抱えて逃げ去ろうとする。その顔には助けに来た橙也への見離す後悔がありつつも走った。

 橙也は逃げる彼らを見送るのも一瞬。カラン、と剣が床に落ちた音共に身体が宙へと浮いていた。


『驍ェ鬲斐□縺ェ縲ゅ□縺後??ュ皮エ?繧貞セ励k縺ォ縺ッ閧芽コォ縺御ク?逡ェ縺?』(聞き取れない特殊な言語)

「ァァァアアアッ!いでェェェ!!アっガァァァァアアア!!!」


 橙也の身体は壁へと放り投げられる様に吹き飛ばされる。

 激突した壁は崩落して、落ちた全身に強烈な痛みとボタボタと胸の肉が抉れて血が噴き出していた。

 目が血走り全身が灼熱の様に燃え上がる強烈な痛みに悶え苦しむ。怪物の手には橙也の血らしきもので汚れていた。


「ッツゥー!くぅぅぅ!があぁぁぁぁ!!!」

『莠コ髢薙?陦?縺具シ溘◎繧後↓縺励※縺ッ鬲皮エ?縺後↑縺暮℃縺弱k縲り。?邉翫?莉倥>縺滉ココ蠖「縲√°?』


 怪物は腕に付いた橙也の血をじっくりと見てから、何かを感じたのか衛兵と母子が逃げた方向へと歩き出そうとする。


「ま、待てよ…滅茶苦茶痛いけど俺はまだ倒れちゃいねぇぞ…」

『莠コ髢薙?陦?縺具シ溘◎繧後↓縺励※縺ッ鬲皮エ?縺後↑縺暮℃縺弱k縲り。?邉翫?莉倥>縺滉ココ蠖「縲√°?』

「超痛ぇ…死ぬほど痛ぇ…けどよ、いっぺん死んだ人間が耐えてンのは…まだ死んでねぇ証拠だろ!!」


 橙也は切り裂かれた胸と切れた口の痛みに耐えながら、殴り慣れてない拳を構えて立ち上がる。

 ギョロギョロと睨みつける怪物の眼光は確実に殺す目で襲い掛かる。


『遘√?譎る俣繧ゅ◎縺?聞縺上?縺ェ縺??るュ皮エ?荳崎カウ縺ァ逅??ァ縺悟、ア繧上l繧句燕縺ォ譛ィ蛛カ莠コ蠖「繧剃サ慕蕗繧√※縲∫佐迚ゥ繧呈爾縺輔?縺ー』

「チッ!ウガァッ!ィッダアァァァ!!!」


 人間の軟い肉は二の腕が剣で血を流され、横腹は獣の爪で貫かれる。そして、歯を食いしばった拳は無意味で弱い音を立てて怪物の胸元に当たる。

 意味のない貧弱な攻撃の返しに、怪物は頭を持ってから体重の数割しかない少年の体を投げ捨てる。


『菴灘ス薙◆繧翫→縺?▲縺溘′繧?縺励c繧峨↑謾サ謦??ゆス墓腐縺狗李辜医↑逞帙∩縺後≠縺」縺溘?よュサ繧薙□縺ォ縺帙h縲?ュ皮エ?縺瑚塘縺医i繧後◆繧峨い繧、繝?↓遏・繧峨○縺ヲ繧?i縺ュ縺ー縺ェ』

「あ゛ぁ…(立てよ…立たないと…くそっ痛いのに…痛いのに声が出ない…痛くて痛くて仕方ないのに声も出せない…)」


 傷だらけの身体は、吹き飛ばされて崩れた壁にもたれ掛かる様にして項垂れる。

 頭は少し潰されて血が溢れ出る。流れ出ていく血が体力を奪っていき、虚勢にも近い勇気も同時に奪う。


「(力が抜けてく…はぁ、おばさん一人にしちゃったなぁ…おじさん…母さん…父さん…畜生、瞼が重くなって……)」


 怪物を見る為の頭も持ち上がらなくなった頭は腰を見下ろす。

 閉じていく瞼とボヤけていく瞳の光の最中で、自分の腰に『あの時に贈って貰った“変身ベルト”らしき』物が映る。


「あぁ…ここにあったんだ……」


 薄らと流れ出る涙に、もう一度勇気を貰う。

 お腹を摩ると失くした筈のヒーローベルトが確かにそこにあった。


「おい、待てよ…まだ俺は終わっちゃいねぇぞ」

『縺セ縺?遶九■荳翫′繧九?縺九?よ惠蛛カ莠コ蠖「縺ィ縺?≧隕狗ォ九※縺ッ髢馴&縺」縺ヲ縺ッ縺ェ縺輔◎縺?□縲√≠縺ョ繝?繝。繝シ繧ク縺ッ譛ャ譚・豁サ繧薙〒縺?k遲医□』


 怪物は死んだであろう少年を置いて、生きている人間のいる場所へと向かおうとした立ち去ろうとした足が止まる。

 立ち上がった目は闘志に燃えており、石と埃、血で汚れたが落ちる中。唯一、先程までなかった腰のバックルとベルトが輝いていた。


「(こういう時に叫ぶ言葉は分かっている。あの言葉だ…ヒーローをヒーローにしてくれる最高の言葉‼︎)」


 橙也は腹の奥の奥から大きな声で希望と勇気の言葉を精一杯叫び出す。



「『変身』ッ‼︎」



 叫びと同時に呼応するベルトは全身が光に包み込んでその姿を変える。

 赤と白を基調とし差し色の青が入った動き易そうなボディアーマーとマスク。顔を覆ったマスクには涙ラインと決意に満ちた表情が強く伺えた。


『蟋ソ縺悟、峨o縺」縺溘□縺ィ竅会ク主頃譏滄ュ碑。薙〒莠郁ヲ九↓縺励※縺?◆閼?ィ√→縺ッ繧ウ繧、繝??莠九□縺」縺溘°』

「俺の名前は“仮面ライダー”!仮面ライダーだ!!」


 怪物は目の前で変化した橙也の姿に少し驚愕した後に、山羊の様な蹄は宙を飛んで『仮面ライダー』に飛び掛かる。

 橙也のライダーは、怪物の握られていた剣を、マスクの左頬を擦らせながら避ける。

 そして、青白く光を帯びた拳でカウンターパンチを顔面に繰り出す。


「ッッッウウウ‼︎‼︎手も顔も超痛ぇ!でも………攻撃が通った!」


 怪物は予期せぬ痛みに体を仰け反せて跳んで距離を取る。

 衛兵の槍も通らなかった強靭な肉体に初めて通った攻撃は拳を自分の血で真っ赤にしていく。


『驍ェ鬲斐□縺ェ縲ゅ□縺後??ュ皮エ?繧貞セ励k縺ォ縺ッ閧芽コォ縺御ク?逡ェ縺?』

「次ィッ!もう1発!もういっ……ぱぁぁつッ!!」


 1発、2発、3発。攻撃を喰らう度に、青白く強い拳と脚を幾度も怪人へと全力でぶつける。それが殴った骨にヒビが入ろうとも歯茎を噛み締める。

 がむしゃら、と言っていい程に繊細さも技量の欠片もない不恰好な生存を賭けた闘い。


「俺は負けないッ!絶対に負けないッ!!今度こそ勝って生き残ってやるッ!!」


 怪物の動きは、橙也とはまるで反対に確実に着実に急所を、致命傷を貫いている。

 だからこそなのか、怪物は剣と爪や足での攻撃を絶えず続けていているのに、橙也はド素人の喧嘩殺法ながら根性だけでしがみついてくるのが異常に思えた。


「ガッ…ハァ!!胸に剣がッ…だけど…でも…だけど!!漸く捕まえた!!」


 怪物の最後の一撃とも呼べる剣が、橙也のライダーアーマーの胸を貫いた。

 勝った、と思えた瞬間に剣の刃を橙也はへし折って不意打ちの強烈な拳の一撃を叩き込んだ。


「ぜぇ…はぁ…俺は何度死んだって!絶対に人を救う!!それが今の俺に出来ることだッ!!」


 何回何十回も刺し貫き、血を流し続けてもアドレナリンだけで動く橙也に、武人とも呼ぶべき強い存在であった怪物は根負けしてしまった。

 橙也は口に溜まった血を吐き出してから、飛び蹴りの助走を駆け出し飛び上がる。


「最後は、そう…ライダァァァァキィィィック!」

『縺吶?√☆縺セ縺ェ縺??ヲ縲る%蜊翫?縺ョ縺雁燕繧呈ョ九@縺ヲ騾昴¥菫コ繧偵←縺?°窶ヲ縺ゥ縺?°窶ヲ險ア縺励※窶ヲ縺上?√l窶ヲ窶ヲ』


 走り出した彼の右足全体に今までと同じかそれ以上の光が駆け巡り、怪物の胸を貫いた。

 泣き叫ぶ様な咆哮をあげる怪物は胸を貫かれてその場に膝をついた直後に塵となって炎が上がる街の風へと吹き飛んでいった。


「はぁ…はぁ…終わっ…たぁ……」


 ライダーキックの後に、振り返った橙也は怪物の最後を見届けると同時に、変身が解けて地面に倒れそうになる直後、抱き上げる腕があった。


「お前、どういう…いや、それよりも大丈夫だったか?」

「アルバー、トさん…ごめんなさい…居ても立っても居られなくて…飛び出しちゃいました…」

「何とか意識はありそうだな…。衛兵達が向かってくる、下手に捕まる前に家に戻るぞ」


 アルバートは乱暴だが優しく、ボロボロで血塗れの橙也を抱き抱えて現場から急ぎ立ち去る。

 橙也は彼の背中で闘いで疲れたのか終わった安心感と共に、深い深い眠りに落ちた。





To be continue…!

AとBを分けた理由は、異世界系が好きな友人が「現代パートは『仮面ライダーとしては良い』『異世界転生系ではいらない』」と言われたので分けました。


もしも、良かったらSNSなどで宣伝してくれると嬉しいです。

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