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溺愛王子と寡黙令嬢  作者: 御節 数の子
エマの人生
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エマの人生5

マリーは私への殿下の仕打ちにひどく腹を立ててくれた。そして、私が止めるのも聞かずに皇后陛下へ直談判する場を設けてくれた。


私は黙ってしまったが、皇后陛下の質問に答えていくうちに、陛下の顔は険しくなり、口元を扇で隠すようになった。


「わかりました。エマ。どんなことがあっても2年間はダレルに尽くしなさい。その後のことは考えておきます」


皇后陛下の言葉を合図に、私は頭を下げて退室した。


皇后陛下の助言の元、私はダレル殿下に尽くした。父が出資してくれたブローチを、教えてもらった誕生日にダレル殿下に渡す。彼からは何も言われなかったが、私はめげなかった。その後もお茶に誘ったり、花をプレゼントしたり、ダレル殿下の気を引こうとしたが、彼は一向に向くことはなかった。ダンスの練習は1人で行い、婚約者同士で参加を求められたお茶会も1人で行った。


特にお茶会での会話は気を使った。子ども同士のお茶会とはいえ、保護者として親も側で参加している。婚約者とともに参加を促しているにもかかわらず、1人でくる次期王妃。子どもとは言え、心無い噂は耳にする。


最初は対処できなかったが、勇気をもって皇后陛下に相談することにした。


「なんてこと!将来の王妃が今から舐められるわけにはいけません。私が教えて差し上げましょう」


子どもの、それも他人の子どものことなんて聞いてくれないかと思っていたが、皇后陛下は私に積極的に社交界での振る舞いを教えてくれた。時には母も参加し、大人のお茶会にも参加させてもらった。


ダンスに関しても噂を聞きつけた国王陛下が相手役を買って出てくれた。また、噂を聞きつけた父や兄も参加し、誰と踊るかでひと悶着起こるときもあった。


相変わらず、殿下からの興味は引けなかったが、マリーだけではなく、多くの大人に愛されていることを知った。


私の家族はこの時、私がダレル殿下の興味の範疇外であることを知ったが、私に対して怒ることはなかった。むしろ、両親は国王皇后両陛下に突っかかるシーンもあったが、すぐにそれもなくなった。


私が王宮に入って1年。12歳になる貴族の子どもたちのデビューとなるパーティが開かれる。毎年恒例のパーティで、私とダレル殿下の2人での社交界デビューをすることとなった。それぞれはすでにデビューしているが、2人となると初めてだ。


父はこの日のために私にドレスを新調してくれた。薄い桃色をベースに、殿下の瞳の色がアクセントに入っている。母からプレゼントされたネックレスをつけ、マリーに化粧をしてもらった。


「さ、終わりましたよ」


鏡の中にいる私は、まるで私じゃないようだった。


「今日の主役は、デビュタントする方々ではなく、間違いなくエマ様ですねえ」


ニコニコしているマリーに、私は言った。


「マリー、化粧台の引き出しを開けてくれる?」


マリーは不思議な顔をしながら、化粧台の引き出しを開けた。そこにはきれいに包装された箱が入っていた。


「エマ様、これは・・・?」


「マリーにはお世話になってるから、簡単だけどプレゼントだよ」


「わ、私に・・・!?」


マリーは目を見開いて驚いてくれた。秘密にしていた甲斐があったというものだ。


「早速開けても・・・?」


「うん。気に入ってくれるといけど・・・」


驚いてくれたのはよかったが、気に入ってくれるとは限らない。


マリーが中を開けると、銀色のバレッタが入っていた。


「わぁ!きれいな銀色!!ありがとうございます!」


マリーは私に感謝の言葉を言いながら、早速自身の髪をバレッタで止める。今はメイド服だから派手な印象を受けるが、茶色の髪の毛に非常によく似合っていた。


その時、扉がノックされた。マリーが扉を開けると、そこにはダレル殿下の姿があった。もともと容姿端麗なダレル殿下ではあったが、今日はさらにめかし込んでいる。息を呑むな、という方が無理であった。


「どうした?早く行くぞ」


「失礼しました。ダレル殿下のお姿に、思わず見惚れてしまいました」


私は素直な感想を述べ、ダレル殿下の手を取った。そのとき、ダレル殿下はため息をついた。


私に何か粗相でもあったのだろうか。確かにダレル殿下の来訪にすぐに反応できなかったが。


「ダレル殿下。エマ様を見て何かおっしゃることがあるのでは?」


マリーが嗜めるようにダレル殿下に問うが、ダレル殿下は何も答えなかった。


「いいわ。マリー。行ってくるわね」


私は今にも怒鳴り出しそうなマリーを表情と口調で宥め、パーティ会場に向かった。


パーティ会場でアナウンスに従って壇上に立つと、多くの貴族たちから拍手をもらった。その中には今年、デビュタントの子がいないにも関わらず招待された両親の姿もあった。


ダレル殿下は相変わらずだった。いつかその瞳に私が映るといいな、という願望はあったが、それが叶うことはなさそうだ、ということもわかりつつあった。

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