7最高の旦那様
替えのドレスはカスタムしたものじゃなかったから平凡なものだったけど、私はそれで十分だった。むしろ、パルパラよりも私を信じてくれたことが嬉しくて、自分を信じてくれる人に出会えたことがただただ幸せだった。
「やっぱ都会ってのは疲れるなあ」
馬車の中でだらんと大の字になったイアルはだらしない顔でため息をついた。
「でも、すごく格好よかった」
「まぁ、俺も一応男ですから」
イアルは嫌味のない笑顔でそう言うと「綺麗だったなぁ」と目を閉じた。私はちょっとだけ恥ずかしい気持ちになりながらも少し嬉しかった。
「ふわふわの犬を飼って、それから毎日のんびり2人で暮らして……いつの間にか子供ができて、みたいなそういう地味な生活だけど、それでも本当に俺についてきてくれる?」
そんな可愛い子犬みたいな顔で言われて断れるわけないじゃないか。
「私も、そういうのがいいわ」
「でもさ、もーっと俺にわがままいっていいんだぜ? そのための旦那なんだしさ」
あまりにも屈託のない笑顔に私も思わず口角が緩んだ。
「ありがとう」
「これからは、我慢せずなんでも俺に頼ってくれよ。ほら、家まで長いから一緒に」
私はイアルに引き寄せられて腕の中で眠った。馬車の優しい揺れと少し土臭い香り。これからはあの大好きな自然いっぱいの家で幸せな日々を過ごすんだ。
イアルにお腹の子供のことを話すのはもう少しだけ後にしようかしら。
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誤字脱字報告ありがとうございます!
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