第九十七話 順調な道中
馬車は防壁の門を出て、俺達は街道に出ていきます。
王都に向かう街道なだけあって、人通りも行き交う馬車も多い。
「街道を歩いている人や、他の馬車に気をつけろよ」
「「ブルル」」
「任せろだって」
相変わらず普通の馬車よりも速い速度で進んでいるのだが、前回の様な暴走とは違って今回はまだ穏やかだ。
馬も、前回の暴走を反省しているのだろう。
「リンさん、王都へはどのくらいで着きますか?」
「普通なら、馬車で一日半かかります。まあ、夕方までに着くと思いますよ」
リンさんも苦笑しながら俺の質問に答えてくれたけど、もう普通の馬車の速度で計算はできないよな。
「「はぁー」」
フェアとレイアは、シロとミケと共に馬車の前で流れていく景色を眺めていた。
フェアとレイアは普段と違って見える景色が面白いらしく、初めて見たワクワクした表情でいた。
「「「すー、すー」」」
因みに従魔達は、新しく仲間になったショコラも含めてバスケットの中でお休み中です。
「いやあ、流石に速いね」
バリバリボリボリ。
「この分だと、昼食前に途中の街に着くね」
バリバリボリボリ。
エステル殿下、お菓子を食べながら昼食の話をしないで下さい。
俺に抱っこされているコタローでさえ、なんだこいつはという目でエステル殿下の事を見ていますよ。
エステル殿下の事は放置しつつ、他のメンバーで今後の事を話す事に。
「俺は、当分は王都にあるバスク子爵家の屋敷でお世話になるんですよね?」
「はい。と言っても、恐らく数日だと思われます」
「謁見時に、サトーには屋敷が与えられるだろう。恐らく、取り潰し確定のオーカス子爵の屋敷じゃ。ちょうどバスク子爵家の屋敷の隣じゃ」
この世界に来てまだ一か月経っていないのに、まさか俺が貴族になって屋敷をもらう事になるとは。
まあ、既に五人の子持ち状態だし、前世ではあり得ない状態だよな。
「あうー」
「コタちゃんはご機嫌ね」
「サトーに抱かれているからな」
因みに、コタローはリンさんや他の人にも段々と慣れ始めてきた。
ここにいるメンバーなら、もう抱っこしても泣かなくなっている。
そしてコタローは、俺とビアンカ殿下以外にはコタちゃんと呼ばれる様になっていた。
そして、お昼前には王都に近い街に到着。
食堂が開店していたので、少し早めの昼食にする事に。
「「「はぐはぐはぐはぐ」」」
腹ペコ軍団のシロとミケとエステル殿下は、一皿目を食べ終えて既にお代わりをしている。
しかし、エステル殿下は馬車内でお菓子も食べまくっていたはずなのに、よくあんなに昼食を食べられるな。
「フェアとレイアも、食べるのはゆっくりで良いぞ」
「「うん」」
まだ小食のフェアとレイアも、美味しそうに昼食を食べていた。
少しずつ食べられる量も増えてきたし、痩せている体型もその内良くなるだろう。
「うまうまうま」
「コタローは、だいぶ食べられる様になったな」
「うまうまうま」
コタローも、マリリさん特製の離乳食を沢山食べている。
マリリさん曰く、コタローはようやく普通の赤ちゃん並みに食べられる様になったとの事。
というか、侍従って赤ちゃんの食べられる量も知っているんだ。
「この分だと、夕方前には王都に着きますね」
「なに、早く着く分には何も問題はない」
そして、やっぱりというか俺達はかなり速いペースで進んでいるらしい。
街に入る際にシロとミケに念の為馬の調子を聞いてもらったが、馬曰く超余裕らしい。
「そうそう、早く着けば夕食も食べられるしね」
「「そうそう」」
「「「……」」」
俺達は、昼食を食べながら既に夕食の事を気にしている腹ペコ軍団の事を呆れた目で見ていた。




