第九十一話 戦いが無事に終わって
さてさて、無事に拠点を押さえて、ビルゴの仲間であるブレッドも倒した。
ここでブレッドについて、アルス殿下からお願いがあった。
「サトー、悪いがブレッドを回収してくれ。私のマジックバッグには空きが無いんだ」
「分かりました。では、アイテムボックスにしまいますね」
という事で、俺はブレッドの成れの果てをアイテムボックスに収納した。
魔獣化した存在とはいえ、死体をアイテムボックスにしまうのは抵抗があるな。
とはいえ、まだまだやる事が沢山ある。
「さっさと歩け」
「コイツはダメだ。担架を持ってこい」
先ずは、拠点としていた建物の中にいた闇組織の構成員を運び出す。
既に守備兵が建物の中に入っていて、構成員を運び出していた。
全員で三十人以上はいるのだが、十人近く担架に乗せられて運び出されて行った。
どうもうちの従魔達の気の障る事を言ったのか、中にはボコボコにされている者もいた。
そして、俺は馬車を運んできた冒険者にも声をかけた。
「大丈夫?」
「あ、はい。何だか動揺して、何が何だか分からないですが」
「そりゃ、しょうがないね。依頼を受けたら、事件に巻き込まれたと」
「はい、仕事の割に報酬が良いので依頼を受けました」
「周りの人は怪しいから止めておけと言ったのですが、俺達はお金がなくて」
嘘を言っている様でもないし、戦闘に加わった訳でもない。
どうしようかなと思っていたら、ラルフ様が手助けをしてくれた。
「君達に罪は無いけど、一度話を聞かないとならない。悪いが本日は念の為に兵の詰所で寝てもらい、明日朝話を聞かせて貰おう」
「「「「はい」」」」
「そう、しょげた顔をするな。依頼はキチンとこなしたのだ。ギルドには報酬を払う様に言っておこう」
「「「「えっ?」」」」
「その代わり、これからは周りの助言も良く聞くのだぞ」
「「「「はい!」」」」
おお、流石はラルフ様だ。
キチンと落とすべき所に落とした様だ。
あの新人冒険者も、これから頑張って貰いたい。
でも、よく考えたら俺も新人冒険者なんだよな。
因みに、夜間というのもあるので、ワース商会と併せて詳しい現場検証は明日朝から行うらしい。
なので、夜間は担当の兵がガッチリと警備を行います。
そして、こっちが本命です。
誘拐された子ども達が運び込まれているのですが、何故か全員がスヤスヤと眠っています。
おもちが側にいたはずなので、病気とかでは無さそうです。
俺の疑問に、建物の中から出てきたシロとミケとマリリさんが答えてくれた。
「戦闘で怖い思いをさせちゃダメだから、あんこちゃんに頼んでわざと眠ってもらったんだよ」
「ちゃんと朝には起きるから、大丈夫だよ」
「まだ幼い子どもです。心の傷がより深くならない様と、今回対応させて貰いました」
子ども達を眠らせたのは、マリリさんの案らしい。
流石は気遣いのできる侍従だ。
子ども達は、そのまま連れてかれる予定だった馬車に乗り屋敷に向かう事になった。
そのままラルフ様も含めて、俺達も屋敷に帰る事になった。
「「「すう、すう」」」
そして帰る事になった途端、従魔達が寝てしまったのだ。
俺は従魔達の寝床にしているバスケットをアイテムボックスから取り出して、リーフ達を寝かせた。
「「すう、すう」」
そして、シロとミケも寝息を立ててしまったのだ。
オリガさんとガルフさんが、寝てしまったシロとミケをおんぶしてくれている。
「すみません、オリガさん、ガルフさん。シロもミケも、こんな時間まで起きている事はないので」
「しょうがないですよ。シロちゃんとミケちゃんも頑張っていましたから」
笑顔で返してくれるオリガさんは、全く問題ないと言っていた。
しかし、二人ともビアンカ殿下と同い年なのになあと思っていたら、ビアンカ殿下も欠伸をしていた。
エステル殿下も相当眠そうだし、全員がこのまま眠ってしまいそうだ。
そして俺達と子ども達を乗せた馬車は、無事に屋敷に到着した。
すると、待っていたかの様にエーファ様とサーシャさんとエルシーが馬車のところにやってきた。
起きていた侍従も、馬車のところに複数人集まってきてくれた。
「子ども達はわざと眠らせていますので、そっと運んで下さい」
「ええ、その方が子ども達の為にも良いですわね。何より、子どもはもう寝る時間ですわ」
エーファ様は、既に寝てしまっているシロとミケの頭を撫でながら馬車の方に向かった。
馬車の方では、エルシーがとある小さな犬獣人の女の子を大事そうに抱っこしていた。
念の為にその女の子を鑑定したが、間違いなくエルシーの妹であるキャロルだった。
「エルシー、妹に会えてよかったわね」
「皆様には、感謝してもしきれません。まさか妹を再び抱っこする日が来るとは思っていませんでした」
「そうね。今は遅いから、明日お互いにゆっくりと話をして上げましょうね」
「はい」
リンさんは、涙が止まらないエルシーに付き添いながら屋敷の中に入っていった。
俺も小さな虎獣人の男の子を抱っこして、屋敷の中に入っていった。
子ども達は全員で二十人程で、とある客室に布団を並べて纏めて寝かせるらしい。
俺も男の子をその部屋に寝かせようと思ったら、ちょっとしたトラブルが発生。
「すぅ、すぅ」
「あのサーシャさん、男の子がガッツリと服を掴んで離してくれないのですが」
「あら、それはしょうがないですわね。じゃあ、サトーさんもこの部屋で寝る事になるわね」
しょうがないと言った感じで、サーシャさんがこの部屋で寝ることを勧めてくれた。
そして、いつの間にかシロとミケにエステル殿下とビアンカ殿下もこの部屋で眠っていたのだ。
エルシーもキャロルを抱いたまま、すやすやと眠っていた。
「じゃあ、全員運び終わりましたら。サトーさん、お休みなさい」
「おやすみなさい」
そしてサーシャ様が部屋のドアを閉めると、男の子に抱きつかれたままの俺も直ぐに夢の中へとなった。




