第六十九話 バスク子爵領の屋敷に到着
カラカラ。
誰も乗っていない馬車を、馬が引いています。
馬に馬車が壊れかけていると言ったら、流石に大人しくしてくれた。
「「「うう、お兄ちゃんごめんなさい」」」
「もう良いよ。その代わりに、マリリさんとオリガさんとエルシーが目覚めたら謝らないとね」
「「「うん」」」
シロとミケとリーフも、流石にしょぼーんとしています。
三人は起きている全員に謝ったので、目覚めていない三人に後で謝るそうです。
「ああ、歩けるっていいね」
「本当じゃな。あんな事があったので、余計に感じるのじゃ」
「あはは……」
因みに俺達は守備兵の護衛を受けながら、徒歩でバスク子爵の屋敷に向かっています。
守備兵から馬車で送ると言われたのだが、流石に俺達の馬車で酷い目にあったので全員が遠慮していた。
逆に王族の二人は、自分の足で歩けている喜びを噛み締めていた。
俺にも、二人の気持ちがよく分かります。
そして、防壁の門から歩く事十五分。
「ここが私の屋敷になります」
「「おお!」」
バスク子爵の屋敷に到着です。
流石にバルガス様の屋敷に比べると小さいけど、それでも中々の規模だな。
「皆様、お待ちしておりました。どうぞ中へ」
「「はーい」」
俺達が玄関に着くと、侍従が出迎えてくれた。
すると、何故かリンさんが侍従を見て微妙な表情をしていた。
何かあったのかな?
「オリガさんとマリリさんは、屋敷内の自室に運んでおります。同行されていた女性は、客室に運び侍従が様子を見ております」
「色々対応頂き、ありがとうございます」
侍従が屋敷に運び込まれた三人の様子を教えてくれたけど、まだ目を覚ましていない様だ。
侍従の話を聞いたシロとミケが、シュンとしてしまった。
「「シュン……」」
「あら、どうしちゃったの?」
「ああ、この二人は馬車を急ぐ様にと言っちゃったんですよ」
「「うん……」」
流石にシロとミケも、馬車の事で罪悪感を感じている様だ。
すると、この話を聞いた侍従が、シロとミケにとある提案をしてきた。
「じゃあ、二人とも夕食の準備のお手伝いをしてくれる? 美味しいご飯を作って、三人に元気になって貰いましょうね」
「おお、シロ頑張る!」
「ミケも頑張る!」
侍従さんの提案に、シロとミケが元気よく答えている。
目標ができたので、シロとミケもやる気を出した様だ。
「わざわざ二人の為にすみません」
「いえいえ、このくらいはなんて事ありませんよ」
俺が侍従にお礼を言うと、さらりと返されてしまった。
この侍従は、かなりできる人の様だ。
「では、こちらが宿泊頂く部屋になっております」
「「はーい」」
侍従に部屋を案内されたところで、ビアンカ殿下より話があった。
「では、この後応接室で今後の事を話すぞ」
「え、今から?」
「当たり前じゃ。事は早く進めないと」
「えー!」
ビアンカ殿下がエステル殿下を嗜めるけど、これではどっちが姉なのか分からないぞ。
「じゃあ、シロちゃんとミケちゃんは私と一緒にお手伝いしましょうね」
「「はーい」」
「リーフも行く!」
シロとミケと共に、リーフを始めとする従魔達は侍従の後をついて行った。
俺達は、めんどくさそうにしているエステル殿下を連れて応接室に向かった。




